テーマ図

手順 ▲68玉△14歩。

今回は4手目△94歩の将棋を検討したい。

△94歩▲25歩に△95歩と突き越すと、▲78金が強気の一手になる。△88角成▲同銀△33角の筋を消して、次に▲24歩と突く意図だ。

7手目▲78金と上がる変化は、こちらの記事で検討した。

△94歩▲25歩に△32金とするのは、こちらの記事で紹介した変化と思想が似ている。

△32金に▲24歩なら△同歩▲同飛△88角成▲同銀△22銀として、▲28飛なら△27歩と打つ。

△32金に▲78金なら△33角と上がって坂田流向飛車を目指す。▲68玉ー▲78玉と囲いたいが、▲78金と上がってしまったので先手は囲いに苦労する。

△32金に▲68玉なら△84歩から横歩取りにする。▲58玉と立つ青野流を先手はやりたいが、▲68玉と上がっているので▲58玉と寄ると一手損する。

いずれの変化も難しいが、今回は▲68玉と上がる変化を検討したい。

手順 ▲24歩△同歩▲同飛△85歩▲78金△86歩▲同歩△同飛▲34飛。

後手は▲68玉を見て△84歩と突く。

▲24歩△同歩▲同飛に△88角成▲同銀△33角は、▲21飛成△88角成に▲77角でも▲77桂でも先手指せる。▲24歩に代えて▲78金としても△85歩▲24歩で、本線の変化と合流する。

△86同飛に▲87歩と打つと△76飛と横歩を取られる。

△86同飛に▲26飛△23歩▲87歩△82飛の進行は相掛かりになる。一局だが、現代では▲24歩を保留する指し方が主流で、先手の作戦の幅が狭くなっている。相掛かりになると後手の主張が通る。

強く▲34飛と取りたい局面だ。

手順 △88角成▲同銀△27角。

▲34飛に後手はどう受けるか。△33角は横歩取りにおける形だが、▲36歩と突かれ、勇気流と呼ばれる作戦になる。勇気流は佐々木勇気八段が創案した戦法だ。

佐々木八段が書いたこの本は高段者向けの内容でとても難しいが、あらゆる変化が書かれていておすすめだ。

本線に戻って▲34飛△33角とした局面と比べてみる。通常の勇気流と比べて△94歩がぬるい印象だ。これは△94歩が得になっていない。

△94歩と△14歩の比較

手順 △33桂。

△94歩が△14歩に代わっている場合も考えられる。この場合は▲34飛に△33桂と跳ねる作戦が有力だ。

将来△13角と出る筋があるので△14歩が損にならない。△13角と覗くと▲68玉を睨むので、△33桂戦法の場合は▲58玉型の方が適している。

本線の変化だと△14歩が△94歩に代わっているので、△33桂と跳ねるのは後手が損している。一方で△88角成▲同銀△27角の順をやるときは△14歩より△94歩の方が得している。

△94歩を生かす意味でも、▲68玉を咎める意味でも、▲34飛に△88角成▲同銀△27角とやってみたい。

通常の勇気流でも△88角成▲同銀△27角の筋はあった。まずはその違いを比べてみたい。

通常の勇気流との比較

手順 ▲34飛△33角▲68玉△88角成▲同銀△27角。

通常の勇気流は、▲34飛△33角と上がらせてから▲68玉と上がる。

しかし本線の変化では▲34飛と取る前に▲68玉と△94歩の交換が入っている。

▲34飛△33角▲68玉の手順で、最後△88角成▲同銀△27角とする変化よりも、本線の変化だと△33角を上がらずに△88角成とできているので、△94歩の一手得している。

△27角に▲38銀の変化

手順 ▲38銀△45角成▲24飛△22歩。

▲38銀と上がるのは自然な応手。△45角成▲24飛と回り、△23歩は▲25飛△34馬▲65飛で次の▲63飛成と▲77角の両方が受からない。▲25飛に△33桂も▲45飛△同桂▲46歩で先手良し。▲25飛に△44馬としても▲77角で馬が消える。

よって△22歩が勝る。

最終図で▲75角が見えるが、果たして打てるか。

手順 ▲75角△76飛▲53角成△56歩▲同歩△同飛▲26馬△同飛▲同飛△35馬▲46飛。

▲75角と打てば馬が作れるので打ってみたい。対して△76飛▲53角成△56歩が用意の切り返しだ。

▲56同歩△同飛となって、▲75馬と引くと△35馬が王手飛車だ。△56同飛に▲54歩と打っても△42銀で状況が悪くなる。

怖いようでも▲26馬と引く。△23歩の突きには▲57歩が飛車取りにしつつ、△35馬のラインをケアして味が良い。

▲26馬に△同飛▲同飛△35馬(△35角は▲46歩がぴったり)で王手飛車がかかるが、▲46飛で受かる。

最終図から△46同馬▲同歩となると、後手の歩損と手損で作戦負けになる。▲46飛以下△41玉▲57歩△42銀と先手の飛車を負担にさせるように駒組をしたい。

形勢は互角。力戦の将棋だ。

手順 ▲87銀△82飛▲86歩△33桂▲58金。

▲75角はうまそうに見えて、△76飛▲53角成△56歩の反撃が先手は気になった。

代案として▲87銀△82飛▲86歩と銀冠に組んで駒組する順が有力だ。後手は馬ができているのが主張になるが、一方で馬に手をかけているので手損だ。銀冠に組む順は、馬の存在に囚われずに手得で勝負する意図がある。現代調と言えるだろう。

と言っても、最終図はこれからの将棋だ。

△27角に▲48金の変化

手順 ▲48金△45角成▲24飛△22歩▲75角△76飛▲53角成△42銀▲54馬△同馬▲同飛△41玉。

▲38銀に代えて▲48金とする手も考えられる。同じように進んで▲75角△76飛▲53角成のとき、△56歩がないという意味だ。△56歩なら▲77銀くらいで問題ない。

後手は△56歩と打てないので、△42銀と上がる。以下▲54馬△同馬▲同飛△41玉となった最終図は互角だ。

▲38銀と上がる変化でも後手は△41玉の最終図に誘導できるが、それだと最後▲85角が痛い。▲48金の変化なら△41玉に▲85角は△59角▲79玉△48角成▲同銀△26飛で後手良しになる。▲48金の格好は△59角のキズがある。

まとめ

後手は▲68玉を見たら△84歩から横歩取りを目指す。

△94歩は▲34飛に△88角成▲同銀△27角の変化を選ぶ意図だろう。△94歩が△14歩に代わっていれば▲34飛に△33桂とする変化を選びたい。

△27角に▲38銀と▲48金の分岐になる。

▲48金は△45角成▲24飛△22歩▲75角△76飛▲53角成のとき△56歩を警戒した意味だが、以下△42銀▲54馬△同馬▲同飛△41玉と進んで△59角のキズが残る。先手陣の形が悪いのも気になる。

一方で▲38銀は形が良い。しかし△45角成▲24飛△22歩に▲75角と打つ手を選ぶかは不明だ。

▲75角と打って△76飛▲53角成△56歩▲同歩△同飛▲26馬△同飛▲同飛△35馬▲46飛とする順を選ぶか、▲87銀△82飛▲86歩と銀冠を組む順を選ぶかは先手の課題。

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