相掛かりの変化を検討したい。少数派の作戦ながら、重要なテーマだ。
目次
第1図 △74歩に▲76歩の変化
手順 ▲37桂△74歩▲76歩。
後手は▲96歩に△94歩と受ける作戦だ。
▲68玉を見て△74歩を突く。▲24歩から▲74飛と歩を取られた変化のとき、後手は△73銀ー△64銀と繰り出すが、このとき▲68玉型の方が戦場に近いので後手は嬉しい。
▲68玉型に△74歩と突く理屈については、こちらの記事で検討した。
▲37桂△74歩に対して▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛△73銀・・・と進む前例が多い。
以下の変化はこちらの記事で検討した。
今回は先手が▲24歩と突かず、▲76歩とする変化球だ。
第2図 △76同飛の変化
手順 △76同飛▲66角△86飛▲87歩△82飛▲24歩△同歩▲同飛△73銀▲23歩△13角▲25飛△24歩▲45飛△42銀▲16歩△31角▲77桂。
△76同飛と取る変化から見ていきたい。一番強い手だ。
対して▲66角として、次の▲77金を狙う。
△86飛▲87歩△82飛と飛車の生還に、▲24歩△同歩▲同飛と動く。
以下△73銀と歩を受けるが、▲23歩△13角▲25飛△24歩▲45飛△42銀▲16歩と角を狙う。
対して△23金には構わず▲15歩と攻めて、△同歩▲同香△14歩▲同香△同金▲15歩で金が取れる。
▲16歩△31角に、今度は▲77桂と左辺からの動きを見せる。
最終図は、△31角が悪形で先手の駒がのびのびしている。先手を持ちたい人が多いだろう。
次に▲95歩△同歩▲15歩△同歩▲同香△14歩▲93歩のように、1筋と9筋を絡めて攻めることができる。
最終図から△44歩は▲同飛△43銀に▲24飛と回ることができるので、△31角に代えて△44歩とし、▲同角(▲同飛なら△43銀で、▲24飛がない)に△31角とする変化が有力だ。これなら次に△43銀ー△44歩と手順に形を整えることができる。
第3図 ▲76歩を取らない変化
手順 △73銀▲87歩△82飛▲46歩△64銀▲47銀。
△76同飛と取らず、△73銀とするのは無難な順だ。
対して▲77金△82飛▲86歩と金冠を目指すのも有力な指し方。
相掛かりの金冠についてはこちらの記事をご覧ください。
▲87歩は穏やかな手だ。
最終図は一局。△75歩▲同歩△同銀は、▲24歩△同歩▲25歩で先手指せる。
すぐに△75歩とはできないので、△54歩や△41玉から駒組になる。
第4図 ▲37桂△74歩を入れずに▲76歩
手順 ▲76歩△同飛▲24歩△同歩▲同飛△86飛▲23歩△13角▲25飛△24歩▲45飛△42銀▲16歩△31角▲15歩△同歩▲95歩△同歩▲93歩。
▲37桂△74歩の交換を入れずに▲76歩と突く変化もある。さっきと似た手順になる。
△76同飛に▲24歩△同歩▲同飛とし、△23歩は▲84飛△83歩▲87飛△71金の格好が悪いので先手不満ない。
▲24同飛に△86飛と戻るが、そこで▲23歩△13角▲25飛△24歩▲45飛△42銀▲16歩と角を狙う。
対して△23金に▲15歩△同歩▲同香だと、今度は△14歩▲同香△同金▲15歩△25金で失敗。
△23金に▲15歩△同歩▲同飛△14歩▲同飛と踏み込む順が有力だ。ぎりぎりだが、攻めが繋がっている。
△31角と引く手に、△31角▲15歩△同歩▲95歩△同歩▲93歩と両端を絡めて攻める。
最終図以下△93同香は▲77桂と跳ねて、次に▲85飛を狙う。形勢は互角だが、△31角が悪形なので先手楽しめる展開だ。
第5図 ▲76歩に△74歩の変化
手順 △74歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛△73銀▲75飛△64銀▲87歩△82飛▲25飛△34歩▲46歩△44歩▲37桂△42銀▲48金△43銀。
▲76歩に△74歩の変化を見ていきたい。
淡々と駒組すると、▲76歩に代えて▲37桂△74歩▲24歩・・・とした変化と合流している。
最終図は一局だが、▲76歩と通した甲斐がない。
第6図 ▲45歩の変化
手順 ▲45歩△同歩▲同飛△88角成▲同銀△42銀▲48飛△46歩。
▲76歩を生かすなら、△44歩に▲45歩と突く手が考えられる。
しかし以下△同歩▲同飛△88角成▲同銀△42銀▲48飛△46歩とされると逆用されている。
先手は飛車の動きで手損しているので、受け身になりやすい。
▲76歩を生かすのは難しく、結局▲37桂△74歩の変化に合流する気がする。
そうなると、▲37桂に代えての▲76歩は、△76同飛の変化を与える分、損になる。