テーマ図
今回は△88歩と打った局面を調べたい。
ここに至るまではこちらの記事で検討した。その記事では△88歩に▲33桂成を本線だった。これで先手指せるので△65歩の仕掛けは無理気味、と紹介していた。
研究は日々進む。その結論に疑問を持ったので改めて見ていきたい。
手順 ▲33桂成△同銀▲88金△54桂▲55銀△44銀▲54銀△同銀▲66歩。
△88歩の瞬間に▲33桂成を利かす手から見ていきたい。△同銀ならそこで▲88金と戻す。後手の銀が下がったので△54桂に▲55銀とかわせるようになる。
△44銀のぶつけに▲同銀は△同歩で、△46桂や△66桂、△66角など先手陣にキズが残る。
△44銀に▲54銀△同歩▲66歩で後手の攻めを余しに行く。駒得が見込めるので、先手を持って指したい。
手順 △33同金▲56桂△54桂▲65銀△46桂▲31角△52玉▲54桂。
▲33桂成△同金に▲88金と戻すと、今度は△54桂で銀が捕まる。以下▲67歩と支えても△46桂がある。よって▲88金と戻さずに攻め合いになる。
▲65銀に△同歩と応じると、▲64歩の拠点が大きく先手良しになる。
最終図▲54桂と攻めて、△同歩は▲64銀。△同銀は▲74銀でどうかという将棋だ。
手順 △89歩成。
これまでは▲56桂に△54桂が本線だった。形勢はどの変化も際どいが、先手指せる変化が多いと思う。
▲56桂に△54桂ではなく、△89歩成が気付かなかった手。一目ぬるく見えるからだ。この瞬間先手は猛攻する。後手玉を寄せ切れるかどうか、という段階に入っている。
手順 ▲44桂△同歩▲31角△52玉▲42銀△43金▲23飛成△42金▲同角成△同玉。
最終図までは一本道。後手玉にどう迫るか。
手順 ▲43金△51玉▲53金△52銀打▲65銀△62金▲64銀△66桂。
迫るなら▲43金から▲53金が自然だ。代えて▲22竜は△51玉▲65銀に△52金として受かる。
初手で▲11とも△54桂で良い。以下▲22竜△32桂▲43香が怖いが、△51玉▲32竜△52銀打か△52桂として後手指せる。
▲53金△52銀打▲65銀に△43桂と受ける手も有力。この手でも後手指せそうだ。△62金は攻め駒を蓄えてから一気に先手玉を詰ます意味。最終図△66桂と攻めて、先手玉が相当危ない格好だ。
後手怖い変化だが、△89歩成で後手勝てるなら先手は▲56桂と打てない。
手順 ▲88同金△45銀▲同歩△46桂▲47銀△58桂成▲同銀△45桂。
▲33桂成△同金▲56桂とできないとなると、▲88同金と変化する手が浮上する。
△88歩に▲77桂とかわすと、△45桂▲同歩△同銀で後手指せる。△88歩▲77桂を入れずに△45桂▲同歩△同銀とすると▲55角△44桂▲65銀△同歩▲91角成で先手良し。△88歩▲77桂を入れておけば、▲55角に△77桂成▲同銀△44桂で先手の角が負担になる。
▲88同金で壁になったので、△45銀▲同歩△46桂と反対側から攻める。
最終図まで進めば後手良しだ。最終図以下▲44歩△同歩とした局面とこれから調べる変化を比較してほしい。
手順 ▲44歩△38桂成▲43歩成△同玉▲41角△29成桂▲44歩△同玉▲32角成△54歩▲42馬。
▲44歩は手筋で、△同歩なら▲47銀△58桂成▲同銀△45桂となったとき、単に▲47銀とした変化と比べて43の地点が空いている。形勢自体は難しいが、この利かしが入れば大きい。
▲44歩に△42玉は▲32角成△同玉▲43金△21玉▲33金△28飛▲24歩△同飛成▲43歩成で先手優勢。
▲44歩には△同玉▲32角成△54歩に▲42馬と狭めておく。入玉の変化が絡むが、勝ちやすさもあり先手指せる。
▲44歩に△38桂成とはできなそうで、▲44歩△同歩が入る。
この図をどう評価するか。
手順 △44同歩▲47銀△58桂成▲同銀△45桂。
この局面の評価が重要だ。後手は△88歩▲33桂成△同金▲56桂の変化をクリアして▲88同金を利かすことに成功したが、先手も▲44歩△38桂成の変化をクリアして△44同歩を利かすことができた。違いはたった一歩だが、この差が勝ち負けに直結するほど大切だ。