すぐに役立つ戦術を紹介したい。

今回は初手▲78飛の意図についてだ。

初手▲78飛からスタート

初手から ▲78飛△84歩▲76歩△85歩▲77角△34歩▲66歩。

初手▲78飛と回る。

通常の初手は▲76歩や▲26歩と歩を突く手なので、いきなり飛車を動かすのはびっくりする。

対して△84歩と居飛車にしてきたら▲76歩と突いて、よくある将棋と合流する。

▲76歩に△34歩と突くのは、▲75歩と早石田流に組む変化を与える。

△85歩▲77角を決めてから△34歩と突くのが良いだろう。

△34歩に▲66歩と止めてこれからの将棋だ。

△34歩に▲68銀と角道を止めない指し方もあるが、この瞬間に△77角成とするのが好手だ。

▲77同銀には△45角と打てる。▲68銀の次に▲58金左と上がれれば△45角の筋がなくなるので、▲77同銀と取りやすくなる。

この理屈についてはこちらの記事で検討した。

2手目△34歩からの居飛車

初手から ▲78飛△34歩▲68銀△84歩▲76歩△85歩▲48玉△42玉▲38玉△32玉▲77角。

▲78飛に△34歩から居飛車にする変化を見ていきたい。

対して▲68銀と上がる。初手に続いて歩を突かない手だ。

代えて▲48玉もあるが、△32飛から相振り飛車になったとき玉の位置が形の決めすぎになるキライがある。

▲68銀△84歩▲76歩△85歩に▲77角と上がるのは△同角成で、上記の変化と合流する。

▲77角と上がらずに▲48玉と上がるのが工夫だ。

対して△86歩は、▲同歩△同飛▲79金で受かる。以下△87飛成は▲22角成△同銀▲88飛とぶつけて先手指せる。▲79金に△82飛と引くのも、▲83歩△同飛▲22角成△同銀▲65角の筋がある。

逆襲されるので△86歩とは突きづらい。

▲48玉△42玉▲38玉△32玉と囲い合ってから▲77角と上がる。▲38玉まで寄ったことによって△45角の筋がなくなっている。

△77角成に▲同銀と取れるタイミングで▲77角と上がりたい。

最終図は一局だが、こうなると2手目△34歩と突いた甲斐がない。▲66歩を保留できている分、先手の作戦の幅が広い。

1筋を突き合いを入れるのは後手有力

初手から ▲78飛△34歩▲68銀△14歩▲16歩△84歩▲76歩△85歩▲48玉△86歩▲同歩△同飛▲22角成△同銀▲79金△87飛成▲96角△82竜▲88飛。

△14歩と打診する手は有力だ。△15歩と位が取れれば、持久戦になったとき生きる。

▲16歩の突き合いが入ったら△84歩ー△85歩と伸ばす。

▲48玉に△86歩と仕掛ける。

1筋が入っていない状態ではやりづらかった仕掛けだが、1筋が入っていると△86同飛▲79金に△88角成▲同飛△同飛成▲同金△15歩がある。以下▲同歩は△18歩▲同香△19飛がある。

△86同飛に▲22角成△同銀▲79金と寄る。

△87飛成に▲88飛は△同竜▲同金△15歩で合流するが、▲96角と変化できる。

△82竜に▲88飛とぶつけてどうか。

最終図以下△86歩は▲77銀から逆襲できる。

△72竜は▲82歩△同銀▲63角成△同竜▲82飛成△72竜▲91竜△82角▲92竜△74角▲83歩△同角▲同竜(▲82竜△同竜▲88香は△42玉で先手大変)△同竜▲66角△72竜▲83銀で先手指せる。

△88同竜▲同金△72金は▲38玉や▲38銀で△15歩の攻めを緩和できる。先手は角を手放しているが、手得なのと玉が囲えている点で、後手陣よりまとめやすい。

形勢は互角で、お互い一手一手難しい将棋だ。

相手が居飛車党で、これを狙ってくる相手なら3手目▲68銀に代えて▲48玉と上がって相振り飛車を誘うのもある。

▲48玉以下△14歩▲16歩△84歩▲38玉△85歩なら、▲76歩と▲68銀を後回しにすればよい。

相振り飛車対策の▲78飛

初手から ▲78飛△34歩▲68銀△32飛▲76歩△52金左▲86歩△62玉▲85歩△24歩▲38金△25歩▲66角△同角▲同歩△22飛▲88飛。

▲78飛△34歩▲68銀に△32飛と相振り飛車を目指すのはどうか。

このとき▲76歩△52金左▲86歩と▲66歩を止めずに駒組みできるのが先手のポイントだ。

▲66角と上がるのも工夫で、▲22角成△同飛▲88飛とするより▲66歩の一手分、得できる。

最終図からは▲77桂ー▲67銀ー▲89飛ー▲58金ー▲68玉(または▲68金ー▲58玉)のようバランス重視の指し方が予想される。相振り飛車というよりも、相掛かりや角換わりに近い感覚が求められる。

昔からある相振り飛車ではなく、現代版の相振り飛車だ。

初手▲76歩の場合

初手から ▲76歩△34歩。

初手▲76歩とした場合と比較してみたい。

▲76歩に△84歩なら▲78飛と回って、初手▲78飛の場合と合流する。

△34歩にどうするか。

▲66歩と止めると△32飛から相振り飛車にされたとき、先手の角道は止まっているのに後手の角道は通っている。一局の将棋だが、後手が攻勢をかける将棋になりやすい。

▲66歩と止めた相振り飛車についてはこちらの記事で検討した。

▲75歩と石田流を目指すのは、△42玉▲66歩△64歩からのエルモ囲い+右四間飛車が課題だ。

こちらの記事で検討した変化だ。

エルモ囲い+右四間飛車を警戒するために、▲75歩△42玉に▲78飛と回る工夫も現れた。

こちらの記事で検討した。

初手▲76歩と▲78飛はいずれも一局であるので、自分のやりたい変化を事前に持っておいて、好みで選ぶと良いだろう。

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