テーマ図

前回は△73銀に代えて△73桂とする変化をこちらの記事で検討した。△73桂に▲68玉だと△65桂の仕掛けが成立するが、▲58金と備えれば△65桂の攻めは無理気味だ。

後手は▲15歩の位を取られているので、持久戦にはしたくない。早い動きを目指す△73銀だ。

後手が早繰り銀を目指す場合は△94歩▲96歩を入れない方が良いケースがある。9筋の交換の有無を比較しながら見ていきたい。

手順 ▲47銀△64銀▲56銀△31玉▲66歩。

△73銀に▲47銀から▲56銀と腰掛ける。対してすぐ△75歩は▲同歩△同銀に▲24歩△同歩▲25歩の継ぎ歩がある。△25同歩は▲同飛が十字飛車だ。

△75歩と仕掛ける前に△31玉と引いて、次に△75歩▲同歩△同銀とできれば、△21桂に紐がつくので今度は▲24歩△同歩▲25歩に△同歩と取ることができる。

しかし▲66歩が間に合う。この手が間に合うと△75歩に▲65歩や▲67銀など受けやすくなる。

▲66歩に△54歩の場合

手順 △54歩▲68玉△44歩▲79玉△52金▲58金△43金右▲88玉△22玉▲45歩。

△54歩は▲65歩に△53銀や△55銀を用意した手だが、この場合は疑問。「角換わり将棋に5筋は突くな」の格言があるように、▲71角のキズが生まれるので後手の駒組に制限がかかる。

お互い駒組した最終図。▲45歩と仕掛けた局面は先手ペース。△55歩には一回▲44歩と取り込める。△45同歩に▲71角は△72飛▲26角成△75歩で馬があまり生きないので、じっと▲45同銀△44歩▲56銀と一歩交換しておくのが良いだろう。

▲66歩に△75歩の変化

手順 △75歩▲65歩△76歩▲同銀△73銀▲77角。

▲66歩には△75歩と仕掛けるのが勝る。▲65歩も考えられるが、▲15歩の位を取った分先手の手が遅れているので欲張った指し方だ。

▲65歩以下、△76歩▲同銀△73銀▲77角が一例の進行だ。最終図から先手は▲36歩ー▲48金ー▲37桂の格好が理想だがあと3手かかる。その前に後手は△72飛ー△84銀と動いてくる。こうした展開は持久戦にはならない。

先手は持久戦にして▲15歩の位を生かすというテーマがあるが、その意図とは合わない進行だろう。

このような展開になったときは、9筋の交換は先手の得だ。後手から△95角や△94角の筋がない。

▲96歩△94歩を入れると早繰り銀を警戒できる、という理屈はこちらの記事の考え方と似ている。

△75歩に▲67銀と引いて穏やかに

手順 ▲67銀△76歩▲同銀右△55銀。

△75歩に▲65歩と反発すると激しい展開になる。先手は穏やかに指して▲15歩を生かしたいので、▲67銀が良さそうだ。

後手は動きを目指して、△55銀と進軍する。

手順 ▲58金△46銀▲68玉△55銀▲79玉。

△46銀を受けるなら▲48飛だが、△44歩▲38金△52金の進行は一局ながらも玉飛接近の格好で、先手が受け身になる。

▲48飛にすぐ△27角の打ち込みに▲36角は、△同角成▲同歩△26角▲37角△同角成▲同桂△35歩。△27角に▲45角は△同角成▲同歩△44歩▲同歩△同銀上で、いずれも後手指せる。

すぐの△27角には▲56歩が好手だ。以下△56同銀は▲58金。△64銀は▲45歩で先手指せる。▲48飛に△44歩は次に△27角と打ち込む意図だ。

▲48飛は受け身になるので、一歩を犠牲に▲58金△46銀▲68玉と駒組を急ぎたい。▲79玉まで囲えれば先手は立派な陣形だ。

ここから後手の手が広い

手順 △74歩▲36歩△52金。

ここから後手の手が広い。いくつかバリエーションがある。

△52金と上がると▲72歩△同飛▲83角のキズがある。

△74歩は次に△64銀と引く準備だ。すぐ△64銀と引くと▲65歩の反発が気になる。しかし△74歩と打った後も△64銀に▲65歩がある。タイミングを見て△64銀と引きたい。

先手も▲88玉と▲36歩のどちらを優先するか悩ましい。先手の方針としては▲37角と設置したり、▲37桂と跳ねたりするイメージだ。

▲79玉と囲った局面は、現状、先手の模様が良いとされている。▲15歩の位や先手玉の固さや厚さを評価している。

ただ先手陣の駒は偏っていて、後手玉めがけて右辺から動いていく将棋にはなりづらい。左辺を意識して、盤面全体で戦うことになる。長い戦いになるだろう。

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