今回は先手三間飛車に対して、△52金を保留して△64銀と上がる将棋を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 △32金▲75歩△64銀。
第1図から△52金右▲75歩△44歩(または△32銀)と上がる将棋は、こちらの記事や、こちらの記事で検討した。
△52金右と上がる方がメジャーな対策で、今回検討する△52金を保留する指し方は少数派だ。
△32金に▲56銀は△44歩と突いて、▲75歩に△64銀▲59角△42角と対応できる。
▲56銀△44歩に▲59角も、△42角や△64銀として▲75歩を牽制できる。
△32金▲75歩と石田流を目指した手に、すかさず△64銀と出る。
▲75歩を直接咎めにいく作戦だ。
第2図 ▲68角の変化
手順 ▲68角△42角▲76銀△33角▲67銀△42角▲74歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△88歩▲77桂△86飛▲65桂△82飛▲95角△89歩成▲84飛△同飛▲同角△82飛。
▲68角と引く手から見ていきたい。飛車先を通す自然な手だ。
対して△42角と引く。
▲76銀と受けてきたら△33角と戻り、▲67銀△42角・・・で千日手模様になる。△33角に▲77角は、△64銀に▲76銀とした変化と合流する。
千日手になっては先手不満なので、△42角に▲74歩と交換したいところ。
△74同歩▲同飛に、△61金型を生かして△86歩▲同歩△88歩と攻める。
△61金型は▲74同飛が先手にならない、というメリットがある。一方、金が玉から離れているので、細心の指し方が必要になる。
△88歩▲77桂△86飛▲65桂に△87飛成は、▲86歩で次に▲78銀と▲84飛を狙って先手指せる。
▲65桂に△82飛と引き、▲95角△89歩成▲84飛△同飛▲同角に△82飛と自陣飛車を打って丁寧に指す。
最終図以下、▲41飛(▲85歩△99とに▲41飛は△51香と打てる)△84飛▲61飛成△99とが予想され、後手が駒得になる。
駒得の後手を持って指してみたいが、これはこれで長い将棋だ。
第3図 ▲76銀の変化
手順 ▲76銀△52金▲96歩△42金右。
▲76銀を見たら△61金型の役目を終えたので、△52金から玉を固める。
最終図、先手の駒組みが難しい。
▲97桂は、△12香▲85桂△11玉▲86歩△22銀と穴熊に組んで後手十分。
▲56歩△94歩▲65歩と動くのも、△77角成▲同飛△53銀と引いて対応できる。
▲76銀と上がると、飛車先が重くなるので捌きづらくなる。
第4図 ▲65歩の変化
手順 ▲65歩△77角成▲同飛△65銀。
△64銀に▲68角や▲76銀では後手の主張が通る展開になった。
△64銀に▲65歩と強く反発する変化を見ていきたい。
▲65歩に△同銀は▲33角成△同桂▲77桂で先手指せるので、△77角成とするのが勝る。
対して▲77同桂もあって、△75銀に▲85桂と跳ね、△同飛は▲96角△95飛▲63角成で先手指せる。
だから▲85桂に△74歩となり、▲76歩△84銀▲86歩△33角▲64歩△同歩▲63角が一例。
形勢は難しいが、先手の飛車が捌けていないのが気になる。
▲77同飛△65銀にどうするか。
第5図 ▲78飛の場合
手順 ▲78飛△44角▲77桂△66銀▲同銀△同角▲65桂△99角成。
▲78飛と引いて次に▲77桂を見せる。
▲78飛に△55歩は、▲77桂△54銀▲74歩△同歩▲85桂が好手だ。
△85同飛には▲62歩が続く好手。どう応じても▲74飛が厳しい。
▲85桂に△84飛が勝るが、▲62歩△51金(△同金は▲95角)▲86歩と支えておいて、次に▲66角を狙って形勢難解。
▲78飛には△44角が勝る。▲77角にはそこで△55歩と突けばよい。
▲77桂△66銀▲同銀△同角▲65桂と跳ねるが、△99角成と自然に駒得して後手指せる。
最終図以下、▲53桂成には△44馬と引けるし、▲74歩△同歩▲同飛も△64銀が手堅い。
▲65桂に△64銀も見えるが、▲73桂成△同銀▲74歩で、△64銀には▲65歩、△62銀には▲46角がうるさい。
これらと似た変化で、こちらの記事がある。
第6図 ▲79飛の場合
手順 ▲79飛△55歩▲77桂△54銀▲74歩△同歩▲85桂△88角。
▲79飛と引いた場合はどうか。
▲79飛に△44角は、▲77桂△66銀▲同銀△同角▲65桂と進んだとき△99角成と取れない。
よって△88角成になるが、▲69飛△64銀▲74歩△同歩▲53桂成△同銀(△78馬は▲64飛△同歩▲41銀)▲63飛成と強引に成り込んで攻めが繋がる。
▲79飛の場合は△55歩が勝る。
第5図のときと同じように▲77桂△54銀▲74歩△同歩▲85桂とするが、▲79飛型を咎めて△88角と打てる。
△88角以下、▲74飛は△65銀▲75飛△66銀とぶつける。▲89飛にはじっと△77角成と成っておく。
△88角に代えて△84飛は、▲62歩△51金▲66角△75角▲同角△同歩▲同飛△74歩▲78飛としておいて形勢は難しい。
▲65歩の反発の成否は、後手の作戦の成否に関わる。
▲65歩に△77角成▲同飛△65銀と応じて、▲78飛は△44角、▲79飛は△55歩と使い分けて後手が対応できそうだ。
後手が十分に考えられる作戦だ。