△75歩に▲同歩とした変化はこちらから。
△75歩▲同歩も有力だったが、△65桂からたくさん攻められた。
△75歩に▲48金は穏やかな流れにする手だ。
第1図
ここで①△76歩 ②△65桂の2つの手段がある。
まずは①△76歩から。
△76歩▲同銀△86歩▲同歩△同飛で、後手は2歩持つことができるが、▲87銀と銀冠に組みことができるのでそこまで気にならない。
△63銀と▲74歩を受けた手に対して、▲35歩か▲45桂か、反撃する。
▲35歩△同歩▲45桂で、△22銀や△34銀だと▲74歩△同銀▲53桂成△同玉▲41角がある。
△44銀はやむを得ないが、▲24歩から飛車先をきって先手作戦勝ちだ。
最終図▲34角と打った図は先手指せる。
▲35歩に△同歩は素直すぎたようだ。
△62金は考えられる。
▲45桂△22銀▲34歩は△44歩で後手指せる。
△62金以下▲34歩△同銀▲74歩は怖いが、△65桂▲66歩△44角で対応できる。
▲74歩△同銀▲56角に△77歩として、▲同桂は△76歩▲同銀△86飛▲87銀△84飛。▲88金は△85歩とする順も考えられるが、△65桂とする方が現実的だろう。
▲74歩は勇み足なので駒組したいが、▲24歩とすると△同歩▲同飛△35銀で逆用される可能性がある。
▲29飛と引くと△28歩▲同飛△39角がある。▲25飛△34歩▲36歩△33桂に▲29飛も、△28歩▲同飛△39角がある。
よって▲27飛は仕方ないが、△54角が好ポジションだ。
形勢は難しいが、後手が主導権を握っている。
▲24歩がやりづらいとなると単に▲29飛になるが、後手の手番で、しかも歩を3枚持っているので後手不満のない展開だろう。
次に②△65桂を見てみたい。
△65桂▲88銀に△76歩は▲66歩で先手指せる。さっきも同じ筋が出てきた。
最終図は次に▲22歩△同金▲26桂を狙える。桂馬の価値が高い。
△76歩ではうまくいかないので、△86歩が勝る。
▲同歩△同飛に▲66歩とするのは、△88飛成▲同金△39銀▲38飛△48銀成▲同飛△39角で後手良しになる。
よって△86同飛に▲29飛と陣形を整える。
△76歩に▲66歩とし、△77歩成▲同桂△66飛▲67歩△86飛の局面から一手一手難しくなる。
▲65桂は△同歩で、△76桂が残る。先手は▲65桂と取ると△76桂が残るので、後手から△77桂成と取ってもらいたい。
そこで▲75角から▲64角と支えの歩を取りに行く。
後手は△63歩から角を追うが、一回▲82歩と押さえることができる。
△71飛▲55角△44銀に▲同角△同歩▲65桂は2枚替えだが、△64歩で後手が得する。やはり後手から△77桂成と取ってもらうことが大切だ。
▲66角△64歩となって、後手は支えの歩が復活した。
この局面は非常に難しい。最終図以下、▲45歩△33銀▲24歩△同歩▲25歩か▲45歩△33銀▲35歩が予想される。
▲55角に代えて▲75角は△83銀から△74銀と活用される。自然に駒を活用されるのが気になる。
▲75角で▲86角だと、△77桂成▲同銀△44歩で角の働きが弱い。
▲55角のラインが働きが一番良い。
△64歩までの進行は、2023年5月5日に行われた第33回世界コンピュータ将棋選手権の決勝、やねうら王VS二番絞り戦だ。
毎年行われるコンピュータ選手権は毎回勉強になる。そこで指された戦型や手が、プロの実戦に出てくる。
棋譜を見たい方はこちらからご覧ください。
第1図▲48金に△76歩、△65桂のどちらを選んでも後手は十分に戦えそうだ。
△75歩に▲同歩と取れないようでは、先手は悔しいだろう。
先手番で▲45桂とする変化でも似た筋が出てくる。部分的な手順を知っていれば応用がきく。