9筋の駆け引きについて考えたい。
9筋については人によってそれぞれ考え方があり、棋風にもよるところ。
今回は、その中の一つの考え方を検討したい。
目次
第1図 4手目△94歩の場合
初手から ▲26歩△34歩▲76歩△94歩。
後手が△94歩と突くタイミングは4手目と、△44歩▲48銀に△94歩と打診する2通りの作戦がある。
4手目△94歩の打診に▲96歩と受けると、△35歩▲25歩△32飛の早石田流や△54歩▲25歩△52飛のゴキゲン中飛車の作戦がしやすくなる。
早石田流の変化はこちらの記事で検討した。
ゴキゲン中飛車の変化はこちらの記事で検討した。
早石田流、中飛車以外にも9筋の交換を生かす作戦はいろいろあり、いずれも一局だが、序盤早々、後手に作戦の幅を与えているのが先手つまらない。
4手目△94歩に▲96歩と受けない方が、後手の作戦を限定できる。
第2図 4手目△94歩に▲96歩と受けない
手順 ▲25歩△95歩▲68玉△88角成▲同銀△22銀▲48銀△33銀▲58金右△22飛。
△94歩に▲96歩と受けない方が、後手の作戦を限定できる。
とはいえ△95歩の位も大きいので、先手は△95歩の位を咎める指し方をしたい。
▲25歩△95歩に▲68玉は無難な一手だ。
▲68玉と上がると、△88角成▲同銀△22銀のとき▲24歩△同歩▲同飛は△33角があるので▲24歩と突けない。
▲68玉に代えて▲78金なら△88角成▲同銀△22銀に▲24歩と突くことができる。
以下△同歩▲同飛△35角▲28飛△57角成▲36角(△52飛は▲52歩)で馬の作り合いになる。
▲78金には△88角成▲同銀△22銀の他に△42飛や△32金もある。
詳しくはこちらの記事で検討した。
第2図の最終図から▲65角は△74角▲43角成△42金で一局。△42金に代えて△52金左とすると、▲24歩△同歩▲23歩で先手良しになるので注意が必要だ。
こうした展開は△95歩の位が生きる。
▲65角を打たずに▲78玉ー▲86歩ー▲87銀のように駒組みして、機を見て▲96歩から逆襲を狙ってどうか。
4手目△94歩は振り飛車党が好む印象だ。
△94歩に▲96歩と受けると後手に作戦の幅を与えるので、受けない方が後手の作戦を限定できる。
先手の利を追求するなら△94歩に▲25歩を選びたい。
第3図 6手目△94歩の場合
初手から ▲26歩△34歩▲76歩△44歩▲48銀△94歩。
次に△44歩と止めてから△94歩と打診する変化を見ていきたい。
後手が居飛車党なら、▲96歩と受けてきた場合は雁木にしたとき若干得、という主張だ。
後手雁木に対して▲36歩ー▲37銀と繰り出すのが主流の指し方だが、このとき▲95角のラインを消しているので後手が攻めやすくなる。
一方で、▲46歩ー▲47銀の右四間飛車にする変化のときは9筋の交換が先手の得になる変化がある。
こちらの記事の変化と比較すると分かりやすい。
だから一概に9筋の交換が入っての後手雁木が得、と言えないところもある。
4手目△94歩に▲96歩と受けたときは後手に△35歩や△54歩の作戦を与えたが、6手目△94歩の場合はそれがない。
6手目△94歩に▲96歩と受けるのも自然な指し方だ。
第4図 相手が居飛車党なら▲96歩と受けずに振り飛車を誘う
手順 ▲68玉△95歩▲58金右△32銀▲25歩△33角▲36歩△43銀▲78玉。
△95歩と位が取れたら、後手は振り飛車の持久戦にして9筋の位の大きさを主張したい。
後手が居飛車党なら、振り飛車は不慣れと見て、▲96歩と受けずに振り飛車を誘ってみるのも面白い。
最終図から▲78玉を見て△84歩と居飛車にするのは、▲37銀△85歩▲77角△32金▲88銀と進んで9筋の2手分が甘い。
9筋の位は持久戦になれば生きるが、急戦模様になると甘くなる。
最終図から△42飛▲56歩△62玉・・・と進めば通常の対抗型の将棋で、9筋の位が取れているのが後手の主張。先手は居飛車党に振り飛車を指させているのがアドバンテージになる。
もちろん形勢も互角だ。