テーマ図
手順 △94歩。
今回は相掛かりで▲68玉ー△52玉の将棋を検討したい。
▲36歩に△74歩と△94歩のいずれも考えられる。
△74歩以下、▲24歩△同歩▲同飛△73桂の進行が予想される。▲68玉型なので、将来△65桂と跳ねる手が厳しくなるケースが多い。▲58玉型なら△65桂に▲68銀と数を足す受けがきく。▲58玉型よりも▲68玉型の方が△74歩ー△73桂とする指し方が有効になる。
△74歩と突く将棋は、こちらの記事で検討した。
今回は△94歩と突く変化だ。△74歩よりも前例が多く、主流の指し方だ。
先手の分岐が多く、ちょっとした違いで後手の対応が変わる。手順を覚えるというよりは、理屈を理解することの方が重要だ。
△94歩は次に△76飛と取る意味
手順 ▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛△76飛。
△94歩も△74歩も、次に△76飛と取る意図だ。すぐ△76飛は▲82歩と打たれて桂馬を取られる。△94歩は△93桂と逃げるスペースを作っている。
△94歩に代えて△74歩は、▲24歩△同歩▲同飛で、次に▲74飛と歩を取られる可能性がある。△94歩なら▲24歩△同歩▲同飛に△23歩と追い返せる。これが△94歩と△74歩の違いだ。
▲26飛に△76飛と取った最終図は、後手十分。
△23歩に▲25飛なら△76飛に▲85飛を用意しているが、△34歩から駒組になったとき▲25飛型がどこまで得か不明だ。
△94歩に▲37桂△76飛の局面が先手の分岐点
手順 ▲37桂△76飛▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲84飛△83歩▲87飛△71金▲27銀△34歩▲38金。
▲24歩は良いタイミングで突きたい。▲37桂と跳ねるのが先手の構想だ。対して△76飛と取る。△94歩からの継続手だ。
△76飛と取った局面が先手の分岐になる。①▲24歩△同歩▲同飛の変化か、②▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲82歩とする変化か。先に▲82歩△93桂を入れる場合もあるが、結局①の変化と合流する。
まずは▲24歩と突く変化から見ていきたい。
△24同歩▲同飛に△23歩は、▲84飛と転回する。△76飛と取ってくれたからできるようになった手だ。
△83歩▲87飛で、次に▲82歩△93桂▲81歩成を狙っているので△71金と受けるが、悪い形になる。
対して▲27銀と△36飛と回る手を消してどうか。
最終図はこれからの将棋だが、△71金の格好が悪いので、後手は好んで指したくない変化だろう。
▲82歩ー▲81歩成から▲84飛と回る変化
手順 △36飛▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲84飛△82歩▲96歩△34歩。
▲24同飛に△23歩は、▲84飛△83歩▲87飛△71金で悪い形になる。一局の将棋だが、後手はもっと積極的な指し方をしたい。
△36飛とする手が有力だ。▲68玉型なので、△76飛ー△36飛とすることで△76桂のキズができている。
▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲84飛△82歩▲96歩として次に▲95歩を狙うが、後手は△34歩と角を使う。
最終図で▲95歩と突けるかどうか。
△34歩に▲95歩の変化
手順 ▲95歩△88角成▲同銀△28角▲94歩△19角成▲93歩成△37馬▲同銀△同飛成。
▲95歩と突く手には、△88角成▲同銀△28角と打ち込む。
以下▲94歩△19角成▲93歩成△37馬▲同銀△同飛成と駒を取り合った最終図は、後手が駒得で、次に△76桂や△28竜の攻めがあり後手指せる。
▲95歩とは突きづらい。
△34歩に▲22角成△同銀▲46角の変化
手順 ▲22角成△同銀▲46角△28角▲77桂△26歩▲65桂△27歩成▲73桂不成△72金▲33歩△31金▲81桂成△37と▲82成桂△62金。
すぐの▲95歩はうまくいかなかったので、▲22角成△同銀▲46角と、▲73角成を狙いつつ△28角に備える。
△28角▲77桂に△26歩と垂らして一直線の攻め合いになる。
最終図以下▲73銀や▲72成桂△同金▲81飛成△71歩▲73歩が予想されるが、△42玉ー△33玉の逃げ足が早いので、やや後手持ちか。
手順中▲22角成に△同金や、▲33歩に△同銀など分岐は数多くある。
△28角の他に、△75角▲87飛(▲94飛や▲88飛も考えられる)△46飛▲同歩△26歩▲28歩△54角という順も有力。
△36飛に▲15歩の変化
手順 ▲15歩△23歩▲84飛△83歩▲87飛△71金▲14歩△同香▲13歩△11歩▲14香△16飛。
▲15歩と突く手はどうか。△同歩なら▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲23歩△13角▲84飛△82歩▲15香で先手良しになる。
▲15歩に△23歩▲84飛△83歩と追う。▲87飛に△71金と我慢する。
▲14歩と取り込んだとき、後手はどうするか。△14同香から△16飛とするのは積極的な指し方だ。他に△16歩や△17歩も考えられる。
最終図は△14飛と△18飛成を見ている。最終図以下、▲86飛△同飛(△14飛は▲16香で先手良し)▲12歩成△同歩▲同香成という変化があり、形勢は難しい。
▲82歩ー▲81歩成から▲15歩の変化
手順 ▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲15歩△34歩▲14歩△23歩▲27飛△16歩。
▲82歩△93桂▲81歩成△同銀を入れてから▲15歩と突くとどうなるか。△同歩なら▲23歩△13角▲84飛△82歩▲15香で先手良し。
▲15歩に△23歩は▲84飛△82歩▲96歩で、△26歩と垂らす筋がないので先手指せる。
▲15歩には△34歩が勝る。▲14歩に△23歩と打ち、▲25飛には△18歩から連打して香が取れる。▲27飛なら△18歩▲同香△17歩に▲同飛と取れる。
▲27飛と引く手には△16歩と垂らして後手十分。1筋を逆襲している。
△36飛に▲15歩の変化でも△34歩の変化は選べるが、後手の持ち歩が少ないのでやりづらい。
△36飛に▲23歩の変化
手順 ▲23歩△13角▲25飛△35角▲45桂△13桂。
▲23歩△13角▲25飛とする変化はどうか。これには△35角と先手の飛車を狭くしておく。
▲45桂で次に▲37歩を狙うが、△13桂が好手で後手良しだ。
△13桂に代えて△24歩は▲35飛△同飛▲53桂成△同玉▲17角で先手良しになる。△13桂なら同じように進んで▲17角のとき、△26歩▲同角△36飛打とできる。
この変化は先手失敗だ。
△36飛に▲25飛△23歩の変化
手順 ▲25飛△23歩▲85飛△83歩▲82歩△93桂▲75飛△62金▲58玉△34歩▲77桂△64歩▲81歩成△同銀▲96歩△74歩▲同飛△72銀。
最後に▲25飛と引く変化を見ていきたい。△23歩に▲85飛の転回が狙いになる。△83歩が飛車に当たらないが、▲82歩△93桂が飛車に当たるので、結局後手を引く。
△93桂に▲87飛は、△71金▲96歩△34歩▲95歩△88角成(単に△同歩は▲77桂の変化を与える)▲同銀△95歩▲94歩△28角▲93歩成△同香で後手指せる。
▲75飛も▲81歩成の狙いだが、△62金の形が良い。▲58玉ー▲77桂と駒組するが、△64歩で先手の攻め方が難しい。
▲81歩成△同銀▲96歩に△74歩が好手。代えて△72銀と上がると▲95歩△74歩▲25飛の変化を与える。先に△74歩なら、▲25飛は△33桂▲29飛△75歩と一足早く桂頭を狙える。
▲74同飛に△72銀と上がり、次に△76歩を狙う。▲64飛としても△63銀の味が良い。最終図は後手十分だ。
△36飛に▲25飛△34歩の変化
手順 △34歩▲83歩△24歩▲85飛△93桂▲84飛△88角成▲同飛△37飛成▲同銀△76桂▲58玉△88桂成▲同銀△81歩▲39金。
▲25飛には△23歩が勝るが、△34歩と突く手も見える。
対して▲83歩と垂らす。△同銀は▲82歩△93桂▲81歩成でと金ができる。
△86飛と回りたいのだが、▲22角成△同銀▲77角△89飛成▲22角成△13桂▲24飛△35角▲34飛△22金▲35飛で先手良し。この手が成立しないのが後手は痛い。
△24歩は、▲同飛なら△23歩▲29飛△86飛と回る意図だ。しかし▲85飛と回られて8筋が受けづらい。
△93桂▲84飛△88角成▲同飛(▲同銀は△95角の王手飛車)△37飛成▲同銀△76桂とするが、非常手段の印象だ。
△81歩▲39金とお互い自陣に手を入れた最終図。形勢は互角だが、先手だけ持ち駒に桂馬があり、後手が好んで選ぶ変化ではないだろう。
まとめ
今回は△94歩と突く変化を検討した。すぐ△76飛は▲82歩があるので、△93桂の余地を作り、次に△76飛と取る狙いだ。△74歩との違いは、▲24歩△同歩▲同飛で歩を取られる心配がない点。
△76飛に▲24歩と▲15歩の分岐になる。今回は▲24歩と突く変化を検討した。
△24同歩▲同飛に△23歩もあるが、▲84飛△83歩▲87飛△71金が悪形なので選びづらい。▲24同飛に△36飛とやってみたい。
ここで▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲84飛、▲82歩△93桂▲81歩成△同銀▲15歩、▲15歩、▲25飛、▲23歩が主に考えられるが、いずれも後手が十分戦える。