近代将棋だったかどこだったか、昔の将棋の本に米長邦雄先生が浴衣姿で、座布団に詰将棋を書いて持っている写真があった。

中学生の頃だったか、地元のお世話になっている方に「この詰将棋解けないんだけど」と見せられた。

それがこんな図だった。

実際の写真を見せたいのだが、見つけることができなかった。

もう一度見てみたかったが、残念。

考えてみると、たしかに解けない。その日は解けないまま終わった。

家に帰ってもう一度考えてみる。

まだ解けない。

不思議に思ってパソコンにかけてみると、なんと、その詰将棋が不詰めだということが分かった。

最初は23手目▲23銀不成に△15玉と逃げて▲35竜△16玉▲36竜△17玉▲27金△18玉▲38竜△19玉▲28竜までかと思ったが、▲23銀不成に△25玉と逃げられて詰まない。

なんという米長先生のフェイク!!!

どういう意図でその座布団の写真を撮らせたのだろう。

米長先生の遊び心だろうか。

後日その詰将棋を見せてくれた方に、不詰めだということと、その詰将棋を改良し、詰む詰将棋を送った。

変えたところは、▲53飛を▲63飛に移動、△54金を追加、▲12歩を追加。

こうすることで、ちゃんと詰む詰将棋が完成した。

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【解答】

▲33桂打△22玉▲31角△同金▲21桂成△同金▲52飛△32金打▲33桂成△31玉▲32成桂△同金▲21金△同玉▲23飛成△同金▲11歩成△31玉▲32銀△22玉▲43銀成△11玉▲12香△21玉▲32飛成まで25手詰。

▲33桂打に△12玉は▲21角△22玉▲32角成△同銀▲21飛以下詰み。

▲21桂成△同金に▲52飛限定打だ。▲72飛から打つと、△32金打なら▲33桂成△31玉▲32成桂△同金▲21金△41玉▲61飛成△51歩▲52飛成で詰む。

しかし、▲72飛に△62歩合が好手。▲同飛寄成に△32金打とすることで、△41玉のとき▲61飛成とできず、不詰めになる。

▲52飛に代えて▲42飛は△32銀打で詰まない。

△54金がいないと、初手から▲33桂打△22玉▲31角△同金▲21桂成△同金▲33桂成△31玉▲51飛で、どの合駒をしても詰む。△54金がいれば△41桂合で詰まない。

▲63飛と△54金の関係で、▲52飛を限定にできたことは運が良かった。

▲21金と打ってあとは収束だ。うまくまとまったと思う。

それから時が経って、2019年。佐藤康光先生とお話する機会があり、偶然この座布団の詰将棋の話題になった。話を聞くと、佐藤先生もどうやら不詰めの罠に陥ったようだ。

改良した詰将棋を解いていただいて、とても嬉しかった。

この詰将棋は改良したので自作と言ってよいか微妙だが、この座布団の詰将棋を必死に考え、改良したことでいろんな出会いがあった。

人と人との繋がりを感じる思い出の詰将棋になった。

One thought on “米長先生の座布団のなぞ【自作詰将棋解説・番外】”
  1. 近代将棋1994年10月号で駒場和男氏が、11月号で北原義治がそれぞれエッセイで取り上げていますね。

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