テーマ図
今回は△32銀型の雁木に対して、先手の対策を見ていきたい。
△32銀型のメリットは、低く構え、▲37銀からの攻めに対応しやすくする点にあった。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
簡単に復習したい。
後手が目指したい局面
上の図になれば、△32銀型が生きる。
▲37銀と繰り出して攻めたいが、①△73銀▲35歩△同歩▲46銀△45歩。②△73桂▲46銀△65桂のように反撃できる。
手順 ▲58金右△43銀▲37銀△32金。
▲58金右を見たら、後手は△43銀と上がる。
最終図はこれからの将棋ではあるが、▲58金右の一手分、先手の攻めが遅い。作戦的には後手が得をしている。
先手の理想図
先手の理想は、▲58金右を保留して▲35歩と仕掛けることだ。一手早く攻めることができるだけでなく、7筋8筋から攻められたとき▲58玉と逃げる余地があるので玉が広い意味もある。
最終図以下、①△62銀は▲35歩。②△52金と上がって、▲35歩△同歩▲46銀△34銀▲38飛△43金右を用意されると先手は仕掛けづらいので、▲58金右と上がって駒組に入る。
このあたりも詳しくは記事になっているので、ぜひご覧ください。
これらを踏まえた上でテーマ図を見てみる
先手は居玉で▲37銀と繰り出す。これが先手の工夫だ。
△43銀なら▲68玉△32金▲35歩で、先手の理想図と合流する。
△74歩とあくまで△43銀を保留した場合、先手はどうするか。
△74歩の場合
手順 ▲26銀△73銀▲35歩△43銀▲34歩△同銀▲38飛△43銀▲35銀。
先手は一目散に▲26銀と棒銀を目指す。対して△43銀▲35歩△32金なら、▲34歩△同銀▲38飛△43銀▲35銀から攻めてもいいし、一回▲68玉と上がって先手の理想図に合流させても先手満足の序盤戦だ。
▲26銀に△73銀も似た進行になる。
先手は▲26銀から▲35歩と仕掛けていき、△43銀と上がらせることに成功した。この展開は△32銀型が生きない。
▲26銀に△45歩は▲35歩と攻めていける
手順 △45歩▲35歩。
△45歩には構わず▲35歩と攻めていける。これは先手十分。△77角成には▲同銀と形良く取り返せる。
▲68玉△73銀の交換が入っている場合は△45歩で互角
手順 ▲35歩△同歩▲同銀△77角成▲同銀△86歩▲同歩△88歩。
▲68玉△73銀の交換があって▲26銀と出た場合、△45歩で互角の将棋だ。
▲35歩と仕掛けたいが、△同歩▲同銀△77角成のとき取り方が難しい。▲同桂は△75歩だし、▲同銀も△86歩▲同歩△88歩が痛い。後手指せる変化だ。
よって先手は△45歩に▲78金と上がることになり、△42飛▲37銀△64銀でこれからの将棋だ。
▲26銀に△73桂の変化
手順 △73桂▲35歩△45歩▲33角成△同銀▲34歩△同銀▲22角△33角▲同角成△同桂▲38飛△35歩▲22角。
▲26銀に△73桂の変化を見ていきたい。▲35歩に△45歩と切り返す狙いだ。
対して▲34歩が自然だが、△77角成で、▲同銀は△86歩▲同歩△65桂。▲同桂は△55角で、後手に攻めのターンが回る。よって▲34歩と取り込まず、▲33角成が勝る。
△同銀▲34歩△同銀▲22角△33角▲同角成△同桂と進んで、すぐ▲22角は△55角の切り返しが嫌なので一回▲38飛と寄るのが良いだろう。最終図は先手の香得が見込める。
序盤の注意点
手順 ▲77角。
後手が△85歩を決めない場合がある。先手は▲77角ー▲88銀と上がってテーマ図を目指したいので、△84歩型でも▲77角と上がる。
最終図以下△62銀には▲37銀。△43銀を見たら居玉の役目は終わったので、さっと▲68玉と上がる。
▲77角は違和感ある手だが、こうした理屈がある。
アイディア
△73桂と跳ねる展開は△62銀の壁が気になる。それなら△72銀型にするのはどうか。しかし△73桂▲35歩△45歩▲34歩△77角成▲同銀△86歩▲同歩△65桂▲66銀のとき、▲95角の王手飛車があるので△86飛と走れない。
ではもっと早い段階で△94歩▲96歩の交換を入れるのはどうか。
研究していると、このようなアイディアがたくさん出てくる。ダメなアイディアであることが多いが、たまに「行けるんじゃね!」というアイディアに当たるととても嬉しい。