今回は角換わりの序盤について検討したい。

目次

第1図 銀を動かす前に▲16歩

手順 ▲16歩△33銀▲15歩△94歩▲96歩△72銀▲78金△74歩▲48銀△42玉▲46歩△73桂▲58金。

第1図から▲16歩とするの先手の工夫だ。

▲38銀と上がる前に▲16歩と打診して、▲15歩の位が取れたら▲48銀と中央を守る。

▲48銀型にすることで△73桂ー△65桂の攻めに対応しやすい。

△73桂に▲58金とするのがポイントで、代えて▲68玉だと△65桂▲88銀(▲66銀は△64歩で、次に△86歩から一歩交換される)△86歩▲同歩△同飛▲66歩△95歩(▲同歩は△同香▲同香△98角で後手指せる)▲65歩△96歩▲98歩△81飛で、先手桂得だが歩切れでまとめづらい。

▲68玉が▲58金に代わっていれば、△65桂▲88銀△86歩▲同歩△同飛▲87銀△81飛▲86歩△55角▲66角△64角▲47銀△64角▲48玉として後手の攻めが空振る。

△73桂に代えて△73銀ー△64銀とする場合は、後手は9筋の交換を入れない方が勝る

9筋が入っていると△64銀に▲56銀ー▲66歩と対抗し、△75歩のとき▲65歩△76歩▲同銀△73銀▲77角の変化が先手はやりやすい。将来の△94角や△95角の筋が消えてる。

9筋が入っている場合は△75歩に▲65歩とし、9筋が入っていない場合は△75歩に▲67銀と引くのが一般的な考え方だろう。

これらの変化は、こちらの記事で詳しく検討した。

第2図 ▲16歩△14歩に▲38銀に△33銀

手順 △14歩▲38銀△33銀▲36歩△62銀▲37桂△42玉▲46歩△64歩▲35歩△同歩▲45桂。

△14歩と受けてきたら▲38銀と上がる。

△33銀に▲36歩△62銀▲37桂と桂の活用を急ぐ。

▲48銀型より金銀の連結が良いので、▲45桂と跳ねる将棋との相性が良い。

△64歩を見て▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けていく。

最終図以下、△22銀は▲15歩△同歩(△44歩は▲14歩△12歩▲24歩△同歩▲13歩成△同歩▲12歩△同香▲34角が両取り)▲24歩△同歩▲同飛からガンガン攻める。

△44銀は▲24歩(先に▲15歩△同歩を入れるのもある)△同歩▲同飛△23歩▲29飛として、次に▲15歩△同歩▲34角を狙う。

この角打ちが受けづらく、△24角は▲12歩△同香▲24飛△同歩▲12角成。△41角は▲24歩△同歩▲15香△同香▲12角成で攻めが続く。これはよく出てくる攻め方だ。

第3図 △52金と備えた場合

手順 △52金▲68玉△64歩▲35歩△同歩▲45桂△22銀▲15歩△44歩▲14歩△12歩▲33歩△31金▲24歩△同歩▲同飛△45歩▲13歩成△同歩▲12歩△同香▲23角△33銀▲29飛△34角▲同角成△同銀▲23角。

第2図は先手にガンガン攻められる。△52金と備える手はどうか。

△52金と上がると、△81飛ー△62金の下段飛車の将棋を目指す場合は一手損する。

だから、△52金を見て▲78金と腰掛け銀を目指すのも有力だ。

手損なしの▲48金△62金型の場合は、先手が一手損したいので▲69玉と手番を調整するが、△52金と上がってくれれば▲69玉とする必要がなくなる。

▲69玉とずらす理屈については、こちらの記事で検討した。

△52金に▲68玉と上がり、△64歩を見て▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けていく。

△64歩と突くと、将来▲24歩△同歩▲同飛ー▲64飛と取る筋ができるので、△64歩の瞬間が仕掛けるタイミングだ。

▲35歩△同歩▲45桂に△44銀は第2図と同じで、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛として、次に▲15歩△同歩▲34角を狙う。

△22銀▲15歩に△同歩は▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛として、次に▲15香△同香▲12角△31玉▲24歩を狙って攻めが続く。

▲15歩△44歩▲14歩△12歩の局面で、第2図では▲24歩△同歩▲13歩成△同歩▲12歩△同香▲34角が両取りだったが、△52金が入っていると両取りにならない。

今度は△12歩に▲33歩と打つ。

△33同桂に▲同桂成△同銀となっては攻めが続かないので、△同桂に▲24歩△同歩▲同飛△45歩▲34歩と攻める。以下△23歩に▲33歩成△同銀▲64飛と歩を補充できる。

▲33歩△31金には▲24歩△同歩▲同飛△45歩▲13歩成△同歩▲12歩△同香▲23角とねじ込む。

最終図以下、△23同銀▲同飛成は先手成功。

▲23角△28歩▲同飛△27歩▲同飛△26歩▲同飛△25歩には、▲12角成△26歩▲34馬で先手指せる。▲34角成ー▲12馬ではなく、▲12角成ー▲34馬の順番で取るのが攻めの手筋だ。

第4図 △33銀を保留する工夫

手順 △64歩▲36歩△62銀。

△33銀と上がると後手は▲45桂の攻めを気にしないといけなくなる。

そこで、△64歩と△33銀を保留する工夫が登場した。

△64歩に▲24歩△同歩▲同飛は△86歩▲同歩△88歩▲同銀△33角で後手良し。△82飛の横利きがあるので▲34飛に△88角成と取れる。

△64歩に代えて△62銀と上がると、△82飛の横利きが消えるので▲24歩と突かれてしまう。

以下△同歩▲同飛△13角▲34飛△23銀は、▲36飛△57角成▲22歩△35歩▲26飛△22金▲24歩△34銀▲68銀△25歩(△84馬は▲56角)▲57銀△26歩▲56角で先手良し。

▲36歩を見てから△62銀と上がることで▲36飛と引かせないようにしている。

△64歩に▲63角△72角▲同角成△同銀と飛車の横利きを消して▲24歩△同歩▲同飛とする手には、△42玉▲28飛△74歩▲78金△73桂から△65桂を狙って後手十分。

第5図 ▲24歩と突く

手順 ▲24歩△同歩▲同飛△13角▲34飛△23銀▲64飛△57角成▲66角△同馬▲同飛△55角▲46角△同角▲同飛△55角▲66角△同角▲同飛。

▲24歩と突く手を考えてみたい。

△同歩▲同飛に△33角▲34飛△63銀とゆっくり指す順も有力。先手の飛車が狭いので飛角交換になることが予想される。

▲24同飛に△13角は馬を作りに行く順。

▲34飛に△33銀は▲14飛と回られるので△23銀と上がる。

▲64飛△57角成に▲66角と打てば馬を消せるが、以下△同馬▲同飛△55角▲46角△同角▲同飛△55角▲66角△同角▲同飛・・・で千日手模様になる。

これは先手不満だ。

第6図 ▲37桂と活用してから▲24歩

手順 ▲37桂△42玉▲46歩△63銀▲24歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△88歩▲66角△33角▲同角成△同玉▲25飛△89歩成▲24角△44玉▲85飛△同飛▲同歩△52銀▲82飛△95角。

すぐの▲24歩は後手が対応できた。

▲37桂△42玉▲46歩△63銀としてから▲24歩と突くのはどうか。

△24同歩▲同飛△86歩▲同歩に△33角▲34飛△88歩は、▲33飛成△同桂▲88銀で飛角交換ながらも先手は歩得が主張になる。

△33角の前に△88歩として、▲同銀は△33角が激痛。

△88歩に▲66角と切り返す。

対して△13角は▲29飛△89歩成▲15歩で先手良し。▲29飛に△65歩と追うのも▲22角成△同角▲23歩△33角▲22銀と打ち込んで先手指せる。

▲66角には△33角▲同角成△同玉と応じるのが勝る。

以下▲25飛△89歩成▲24角△44玉▲85飛△同飛▲同歩と進んで後手玉が怖い格好だが、△52銀と▲41飛を消し、▲82飛の打ち込みに△95角が好手。

▲82飛にすぐ△23銀と上がると▲52飛成△同金▲45銀△55玉▲66銀で詰む。△95角▲68銀を入れてから△23銀とすることで▲66銀を消している。

最終図は後手指せる。

ちなみに▲96歩△94歩の交換が入っていると、△95角がないので最終図は先手指せる。

端歩の関係も重要だ。

第7図 △74歩ー△73桂を急ぐ工夫

手順 △33銀▲36歩△62銀▲37桂△74歩▲46歩△73桂。

△33銀を保留し△64歩ー△62銀と駒組することで▲45桂の攻めを警戒することができた。

もう一つ、後手に有力な対策がある。

あっさりと△33銀と上がり、△74歩ー△73桂と急ぐ指し方だ。

最終図から次に△65桂を狙っている。

▲78金としても、△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛で後手指せる。

▲66歩と突けば防ぐことができるが、△52金から駒組みし、将来6筋が争点になる。

最終図から仕掛けるなら▲45桂で、以下△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩で難解な将棋だ。

△22歩が重要なところで、代えて△23歩とすると▲34飛△33桂▲21角△42玉▲32角成△同玉▲33桂成△同銀▲同飛成△同玉▲25桂以下詰む。▲34飛に△41玉としても▲22歩△同金▲31角が痛い。

△74歩ー△73桂を急ぐ指し方は、こちらの記事で検討した。

第8図 ▲46歩とする工夫

手順 ▲46歩△33銀▲48銀△62銀▲36歩△74歩▲37桂△73桂▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩▲15歩△同歩▲同香△同香▲12角。

第3図の△33銀保留や、第7図の△74歩ー△73桂に対する先手の対策として、右銀を保留して▲46歩と突く工夫がある。

第8図から▲48銀と上がると、△62銀▲36歩(▲24歩△同歩▲同飛は△33角▲34飛△42玉で、△86歩▲同歩△88歩と△28歩の両方を狙われる。▲38銀型なら△28歩はなかった)△64歩と△33銀保留の形になる。

右銀を動かす前に▲46歩と突き、△64歩には▲24歩△同歩▲同飛と歩交換できる。△33角には▲28飛と引いて△86歩▲同歩△88歩の筋をケアできる。

▲46歩△33銀を見て、▲48銀と上がる。

▲48銀型でも第7図と同じように△74歩ー△73桂を急いできたら、▲45桂と仕掛け、△44銀▲24歩△同歩▲同飛△22歩に▲15歩が成立する。

▲38銀型だと▲15歩△同歩▲同香に△42角が好手で、▲34飛△15角が王手になり失敗だった。

▲48銀型だと△15角が王手にならないので△42角が成立しない。

最終図▲12角と打ち込んだ局面は先手良し。△31金と引いても▲23歩と追撃できる。

△73桂に代えて△52金とすれば、▲24歩△同歩▲45桂の仕掛けには△44銀▲24飛△22歩▲37銀△64角として後手まずまず。

しかし△52金と上がると▲78金から腰掛け銀の将棋にされたとき、後手が△81飛ー△62金の下段飛車に構えると一手損する。この理屈は第3図の変化と同じだ。

また、▲48銀型になったのを見て、△62銀▲36歩△64歩▲37桂△42玉と第2図の変化にするのも考えられる。

▲38銀型よりバランスが悪いので、▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けた変化のとき先手がやや損をしている。

第9図 ▲46歩に△42玉

手順 △42玉▲24歩△同歩▲同飛△47角▲28飛△74角成▲15歩△同歩▲13歩。

▲46歩と突くと早繰り銀がなくなるので、△42玉と上がりやすくなる。

▲46歩や▲37桂を見ずに△42玉と上がると▲37銀ー▲46銀と早繰り銀にされたとき玉が近い。

△42玉に▲38銀△62銀▲36歩△64歩▲37桂△63銀と進むと、第6図の変化に合流する。

△42玉▲24歩△同歩▲同飛には△47角と打つ。

対して▲38角△同角成▲同銀とすると、△86歩▲同歩△88歩▲同銀△33角で先手困る。

△47角に▲28飛△74角成▲15歩△同歩▲13歩と反撃してどうか。

最終図以下△13同香は▲12角で成功なので、△13同桂▲15香△14歩▲同香△23歩が予想される。

先手は香が捌けたが、後手の馬も大きいので後手十分に戦える。

▲46歩とする将棋は、こちらの記事で詳しく検討した。

角換わりの何気ない序盤でも、変化が膨大だ。

後手の対策も整備され、なかなか先手がやりたい局面にならない。

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