今回は角換わりで、後手が△94歩を受けない将棋を検討したい。
目次
第1図 △61金型のまま駒組み
手順 △54銀▲37桂△44歩▲29飛△73桂▲48金△31玉。
第1図は▲96歩と突いた局面。対して△94歩と受ければ通常の角換わりだ。
▲96歩に△73桂もあって、以下▲95歩なら△44歩▲37桂△52金として次に△75歩と仕掛ける作戦。
こちらの記事で検討した。後手有力の作戦だ。
先手がこの後手の作戦を避けるなら、▲96歩△73桂に▲37桂と跳ねる手がある。
▲37桂に△44歩なら▲48金△52金▲29飛として、▲95歩を省略して駒組みできる。
今回は▲96歩に△54銀▲37桂△44歩と駒組みする作戦を見ていきたい。
△44歩に代えて△73桂と跳ねると▲45桂△22銀▲75歩で先手指せる。
△44歩と突いて▲45桂を消してから△73桂と跳ねるのが勝る。
第2図 重要な課題局面に
手順 ▲95歩△62金▲79玉△81飛▲56銀。
△31玉に▲95歩と取ると、△62金▲79玉△81飛▲56銀で重要な課題局面になる。
最終図以下△65銀と△75歩▲同歩△65桂に分岐するが、△75歩▲同歩△65桂の攻めは先手指せるとされているので、△65銀が多く指されている。
△65銀▲55銀△43角に、▲45歩と▲66歩△76銀▲同銀△同角▲68玉△75歩▲45歩に分岐する。
これは先手どちらも考えられる。
▲45歩の図も、△65歩と△54歩に分岐する。
△65歩の変化は、こちらで検討した。
△54歩の変化は、こちらで検討した。
△54歩の変化は、相入玉で点数勝負になる。
分岐が多い上に、一つ一つの変化がとても難解だ。
第3図 先手が第2図の最終図を避ける場合
手順 △81飛▲95歩△62金▲29飛△54銀▲38金。
第2図の変化で、△54歩と突く変化は持将棋になる可能性が高い。
先手が△54歩の変化を避ける場合、△43角に▲45歩の変化を選ぶか、そもそも第2図の最終図を避けるかが考えられる。
第3図から△81飛▲95歩△62金▲29飛△54銀に▲48金と上がると、△44歩▲79玉△31玉▲56銀で第2図に合流する。
▲48金に代えて▲38金と上がる作戦がある。
第4図 ▲38金の工夫
手順 △44歩▲56銀△31玉▲45歩△同歩▲同桂△44銀▲46歩。
▲38金に△44歩▲56銀△31玉と駒組みしてきたら、先手は▲45歩と仕掛けることができる。
▲48金型で▲45歩と仕掛けると、△41飛▲44歩△同銀▲45歩△同銀直▲同桂△同銀▲同銀△同飛▲47銀△同飛成▲同金△38角で後手良しになるが、▲38金の場合なら▲45歩△41飛▲44歩△同銀に▲49飛と回ることができる。
▲38金型で▲45歩なら△同歩▲同桂△44銀と対応するが、▲46歩と支えて、次に2筋の歩交換を狙う。
▲45歩△同歩▲同桂△44銀▲46歩と進む場合は▲48金型の方が先手は嬉しいので、▲38金型で金が玉から離れているから△45同歩と応じやすい、という見方もできる。
最終図、先手は▲45歩の仕掛けを通すことができた。
最終図以下△65歩▲15歩△同歩▲75歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛が予想され、先手は局面を動かすことができた。
第5図 △41玉の工夫
手順 △41玉▲56銀△31玉。
後手が第4図を避ける場合、△44歩と突かずに△41玉と引く工夫がある。
代えて△31玉▲56銀△44歩と進むと第4図に合流する。
△31玉▲56銀に△44歩を突かずに何か指したいが、それが難しい。例えば△22玉だと▲45歩と突いて、次に▲46角を打てば先手作戦勝ちになる。
後手は反発したいが、△22玉の当たりが強い。
△41玉▲56銀△31玉と△31玉型の格好にしておけば、▲45歩に△65銀▲47銀△54銀と千日手模様にして、▲48金に△44歩と反発する筋や、▲45歩にすぐ△86歩▲同銀△65銀と仕掛ける筋がやりやすい。
△86歩と突く理屈については、こちらの記事で検討した。ただ、第5図と比較すると端の関係が違う。
第6図 △81飛を保留しておけば▲38金のとき含みが多い
手順 ▲95歩△31玉▲38金△52金▲56銀△65銀。
▲38金と上がる変化は第5図の最終図の評価が重要だが、先手が目指したい場合、第1図のように後手に駒組みされると目指すのが難しい。
▲95歩△31玉に▲38金と上がると、△81飛を保留しているので△52金と駒組みできる。
▲56銀に△42金右と固める手もあるが、積極的に△65銀▲55銀△63金と指してみたい。
類型にこちらの記事があるが、この変化と比べて▲38金型なので後手が得している。
先手は▲38金と上がりづらく、▲48金△62金▲56銀△81飛▲79玉と進むと、後手は▲38金と上がる変化を消しつつ第2図に誘導できる。
第7図 デメリット
手順 ▲56銀。
ただ、第1図の後手の駒組みにはデメリットもある。
▲95歩を後回しにし、▲56銀と上がる。
▲45歩に△41飛と回る格好にしたいが、△62金▲45歩△81飛▲44歩△41飛では一手遅れてしまう。
▲56銀に△52金でも△94歩でも▲45歩の仕掛けがある。
後手が第1図のように駒組みすることで▲38金の変化を警戒できたが、第7図の変化が生まれる。
第7図の評価も重要だが、そもそも第4図、第5図をどう見るかで後手の駒組みの仕方が変わる。