今回は角換わりの将棋を検討したい。
目次
第1図 先手の駒組みの岐路
手順 ▲37桂△73桂▲35歩。
後手は▲96歩に△94歩と受けずに駒組みを進めている。
第1図から▲37桂か、▲47銀か、▲95歩か、序盤の岐路だ。
第1図から▲95歩は△73桂と跳ねて、▲37桂に△75歩▲同歩△65桂▲88銀△86歩▲同歩△同飛▲47銀△35歩の仕掛けが成立する。
▲37桂と跳ねると△35歩の攻め筋を与える。
▲95歩△73桂に▲47銀なら△35歩の攻め筋はないが、一回△44歩と突かれ、▲37桂に△75歩▲同歩△65桂の攻めを狙われる。
こちらの記事で検討した変化だ。先手としては気になる変化だ。
▲47銀△73桂▲95歩の手順でも同じことだ。
▲95歩と位を取るのを焦らず、▲47銀△73桂に▲37桂(▲37桂△73桂▲47銀も同じ)と駒組みすると後手の△75歩仕掛けを牽制できる。
△75歩▲同歩△65桂に▲88銀と引いて後手の攻めは無理筋だ。
△94歩なら通常の角換わり腰掛け銀に将棋に戻るし、△81飛を見て▲95歩と突けば、上記リンクの変化を回避することができる。
今回は、第1図から▲37桂と跳ね、△73桂に▲35歩と仕掛ける変化を検討したい。
こちらの記事でも少し触れた内容になっています。
第2図 △35同歩は先手持ち
手順 △35同歩▲45桂△22銀▲75歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲74歩△65桂▲23飛成△同金▲73歩成△25角▲47銀打。
△35同歩と取る変化から見ていきたい。
▲45桂に△44銀は、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と歩交換しておいて先手十分。
▲45桂△22銀には▲75歩と突く。▲24歩△同歩▲75歩とすると、△23金で攻めが続かない。
▲24歩△同歩▲同飛△23銀に、▲75歩△同歩を入れた効果で▲74歩と打つことができる。
以下△65桂▲23飛成△同金▲73歩成△25角に▲47銀打としっかり受けた図は、先手を持って指してみたい。
瞬間は先手玉が怖いが、耐えることができれば▲63とや▲82となど、楽しみが多い。
第3図 ▲35歩に△62金の変化
手順 △62金▲34歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲47銀△75歩▲48金△76歩▲同銀△81飛。
▲35歩を手抜いて△62金が有力だ。
▲45桂△22銀▲34歩は△44歩で後手不満ない。いつでも△65桂から反撃できるのが大きい。
▲45桂△22銀に▲24歩△同歩▲同飛は、次に▲22飛成△同金▲71銀△72飛▲62銀成△同飛▲71角を狙った手だが、△81飛が味の良い手。
後手陣は安定しているが、先手陣の駒は立ち遅れている。
△62金に▲34歩△同銀▲24歩△同歩(△36歩は▲35歩で先手良し)▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲47銀(△36歩を消した手)と駒組みするが、△75歩と反撃する。
▲75同歩は△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛で後手不満なし。
後手だけ桂馬が活用できていて、いつでも△77歩の攻めがある。
△75歩▲48金△76歩▲同銀に、強く指すなら△36歩▲同銀△54角だ。以下▲25歩と反撃してどうか。
△86歩▲同歩△同飛▲87銀△81飛▲86歩と収まるならやりたいが、△86同飛に▲75銀や▲22歩の反撃が怖い。
後手は無理せず、じっと△81飛と形を整えておきたい。
最終図は一局だが、後手番としては不満ない。
第4図 ▲35歩に△75歩の変化
手順 △75歩▲同歩△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△83飛▲34歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲47銀△62金▲48金△81飛。
△62金も後手有力だったが、△75歩と攻め合う変化も有力なので見ていきたい。
対して▲34歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲47銀とするのは、第3図の変化と比較して△62金を省略できている。以下△76歩▲同銀△86歩で後手指せる。
△75歩に▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛も、△76歩▲同銀△86歩で後手ペース。
先手が先攻したにもかかわらず、▲75同歩と戻すことになる。
△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩に△81飛と引くのは、▲34歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲45角△24銀▲63角成で先手指せる。
▲24同飛に△23金も、▲29飛△24歩▲35歩△同銀▲45角△41角▲65銀△同歩▲73桂として先手指せる。
よって▲87歩には△83飛が勝る。これなら△63銀に紐がつく。
以下▲34歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲47銀に、△62金と上がって△63銀と紐をつけてから△81飛と引く。
最終図はこれからの将棋だが、後手としては△83飛ー△81飛の動きで手損しているのが気になる。
後手が妥協した順で、好んで指す指し方ではないだろう。
第5図 △88歩と打つ
手順 △88歩▲同金△86歩▲同歩△同飛▲87歩△66飛▲同歩△57桂成▲同玉△79角。
△62金ー△81飛もあるが、後手が妥協した順だ。
代えて△88歩▲同金△86歩▲同歩△同飛▲87歩△66飛と踏み込む順をやってみたい。
最終図以下、▲68飛は△36歩▲同銀△56銀で後手指せる。
▲48玉△88角成の瞬間に反撃したいが、金の実利は大きいし、次に△66馬が残っている。
先手が怖い格好だ。
第1図の▲35歩の仕掛けには、△62金と△75歩のいずれも後手が十分に戦える。