今回は角換わりで、重要な課題局面を検討したい。
こちらの記事からお読みいただくと、より理解が深まります。
目次
第1図 △38角と打つ
手順 △71飛▲88玉△41飛▲58金△38角。
第1図から△41飛と回る変化もあるが、▲88玉のとき何を指すか難しい。
△42玉と寄ると▲45歩の仕掛けを誘発する。
一回△71飛と途中下車してから△41飛とすることで、後手は一手パスできる。
△71飛▲88玉△41飛に、先手は右四間飛車に組み換えたい。
▲28飛と上がると△81飛▲58金(▲45歩も△65歩とできる)△65歩と後手が先攻できる。
だから先に▲58金と寄る。
これなら△81飛に▲45歩△同歩▲同桂△44銀▲75歩として先手指せる。
▲28飛ー▲48金の格好よりも先手玉が固い条件で仕掛けることができている。
▲58金に△63金▲28飛△62玉▲48飛と進むと、無事に右四間飛車にできた。
▲48飛の局面は、こちらの記事の変化と合流している。
難解だが、先手が誘導したい局面の一つだ。
今回は▲58金に△38角と打つ変化を見ていきたい。
第2図 △38角に▲39飛
手順 ▲39飛△27角成▲48金△36馬▲45桂△25馬▲33桂成△同桂。
△38角に▲39飛と寄る変化から見ていきたい。
△27角成に▲48金と寄って馬にプレッシャーをかける。
対して△28馬は▲69飛と逃げておいて、次に▲47銀ー▲38金で馬を取ることができる。
△36馬が勝り、▲45桂で両取りが掛かるが、△25馬▲33桂成△同桂と応じる。
最終図は後手が銀桂交換の駒損だが、歩2枚と馬が大きく、後手まずまず。
第3図 △38角に▲26飛
手順 ▲26飛△49角成▲47銀△39馬▲83角△63金▲72角成△62金▲83馬△63金▲82馬△62金▲35歩△同歩▲45歩△同歩▲75歩△同歩▲45桂△同銀▲74歩。
△38角に▲26飛が勝る。
△49角成に▲47銀と引いて▲29飛を狙い、△39馬でそれを受ける。
先手も▲83角と打ち込んでいく。
△63玉や△63銀と受けると、▲75歩△同歩▲56角成と馬を作って先手指せる。
よって△63金が勝り、これなら▲75歩△同歩▲56角成に△65歩と突いて馬にプレッシャーをかけることができる。
▲72角成△62金▲83馬△63金に▲72馬△62金▲83馬・・・となると千日手模様だが、△63金に▲82馬と入るのが好手。
▲82馬に△42玉と取ると、▲86歩△同歩▲同銀として次に▲84歩を狙って先手指せる。
▲82馬に△62金と引き、▲86歩に△63銀▲85歩△72金を用意する。
△62金に▲35歩△同歩▲45歩△同歩▲75歩△同歩▲45桂△同銀▲74歩と、歩と桂を捨てて▲74歩を実現する。
最終図、後手は△76歩と△61桂に分岐する。
第4図 ▲74歩に△76歩の変化
手順 △76歩▲68銀△77歩成▲同銀△72歩▲73歩成△同歩▲74歩△同歩▲64馬。
△76歩と突く変化から見ていきたい。
△76歩に手抜いて▲73歩成は△77歩成▲同金△61金で、銀をボロッと取られるので指しづらい。
△76歩に▲68銀と逃げるのがちょっとした工夫で、▲76同銀△72歩▲73歩成△同歩▲74歩△同歩▲64馬と進めるより、▲68銀と引き、△77歩成▲同銀の格好で△72歩▲73歩成△同歩▲74歩△同歩▲64馬と進めた方が先手玉が固い。
最終図の局面まで進んで、▲64馬と活用できた。後手の馬が働いていないので、馬の働きの差で形勢に差をつけたい。
第5図 △34桂の場合
手順 △34桂▲46歩△54銀▲27飛。
第5図、先手は▲64馬と活用できた。
▲74馬を防いで△63金と上がると、▲82馬と入っておいて将来▲55桂の狙いができる。
△34桂は打ってみたい手で、▲27飛なら△63金▲82馬△46歩▲56銀△49馬のように攻めることができる。
△46歩が入るのは後手嬉しい。
だから△34桂に▲46歩と打つのが大切な一手だ。
△26桂なら▲45歩で先手良し。
△54銀と引かせてから▲27飛とすることで△46歩と打たれない。次に▲37飛ー▲35飛のように活用もできる。
こうなると△34桂が空振っている。
補足 ▲74馬を入れるかどうか
手順 ▲74馬△63金▲64桂△62玉▲83馬△73金▲同馬△同玉▲52桂成△43飛▲56飛△同銀▲同銀△49飛成。
第5図最終図以下、△42玉▲74馬△71飛が予想され、もう▲74馬△63歩の交換は入らない。
第5図最終図で▲74馬△63歩の交換が入っていれば、なお先手がよい。
△34桂の瞬間、▲74馬とするのは際どいタイミングだ。△63歩ならそこで▲46歩とする狙いだ。
問題は▲74馬に△63金とできるかどうか。
対して▲64桂△62玉に▲83馬と入るのが好手。
次に▲72馬を狙っていて、△64金としても▲65歩△63金▲76飛で先手優勢。
よって△73金と寄る。
対して▲52桂成△同玉▲73馬△26桂▲62金△43玉▲63馬は、△42飛打で先手の攻めが細い。
代えて△42飛は▲45馬△62飛▲44歩で攻めが続く。
△73金にさっぱり▲73同馬が勝り、△同玉▲52桂成△43飛▲56飛△同銀▲同銀△49飛成と進む。
最終図以下、▲67金右と逃げると△63玉で捕まらない。
一回▲62銀と打ち、△83玉に▲67金右と上がる手は有力。先手指せる。
△49飛成に▲65銀もあって、△58竜▲74銀打(▲74金△82玉▲83銀△81玉▲62成桂は△78竜▲同玉△48飛▲68飛△67金▲同玉△49馬で後手勝ち)△84玉▲79歩△49飛(△57馬は▲68金打がある)▲83金△75玉▲85銀(部分的には必至)△78飛成(△79飛成は▲97玉で先手勝ち)▲同歩△79角▲98玉△88金▲同銀△66玉▲79銀△57玉(△同飛成は▲58金△78竜▲88角で先手勝ち)▲67角と一直線に攻めても先手良い。
最後▲67角はただの場所だが、△同玉は▲68金△66玉▲58飛で受けなし。▲67角に△79飛成は▲37飛がぴったりだ。寄せを狙っているが、寄せ切らなくても入玉して点数勝ちが見込める。
いずれの変化も先手が良い。
よって▲74馬△63歩の交換は入りそう。
第5図の△34桂に▲74馬△63歩▲46歩ともできるが、単に▲46歩と打っても先手不満ないので、リスクを取って▲74馬を入れるかは微妙なところだ。
第6図 形勢不明
手順 △63歩▲74馬△76歩▲同銀△46歩▲64桂△51玉▲73歩△71歩▲56銀△34銀引。
△34桂と打つのはもったいなかった。
△63歩▲74馬を入れて、△76歩と打つのが有力だ。
▲同銀に△46歩と打つことで、▲56銀に△64桂を用意している。
△64桂を打たれると嫌なので、▲64桂△51玉(△42玉は▲46銀と取れる)▲73歩△71歩の交換を入れてから▲56銀と出る。
▲73歩に△47歩成は▲72歩成で先手良し。▲64桂△51玉に▲56銀もあるが、△73歩と打たれる可能性がある。
▲56銀に△34銀引と銀交換を避けてどうか。
最終図は次に△49馬や△38馬ー△37馬の活用や、機を見て△64歩と桂馬を取るのが楽しみだ。
最終図は互角だが、先手が攻め続けるのも容易ではないので△76歩に▲68銀と引いてみたい。
▲68銀なら△64桂がないので、△46歩に▲56銀とぶつけることができる。
第7図 ▲74歩に△61桂の変化
手順 △61桂▲73歩成△同桂▲83馬△54歩▲67桂△46歩▲56銀△38馬。
△61桂と打つ変化を見ていきたい。
△76歩▲68銀に△61桂と打った方が得に見えるが、▲73歩成△同桂▲83馬で、将来▲75桂と打つ筋があるので後手が損している。
△61桂と打つと▲91馬と香が取れるようになるが、△46歩▲56銀△同銀▲同歩△47歩成で後手良し。
▲73歩成と桂を取り、△同金ならそこで▲91馬と取る。
金が後手玉から離れて弱体化しているので、今度△46歩は▲同銀△同銀▲同飛△同飛▲47香で先手指せる。
△73同桂に▲83馬を引き、△46歩に▲56銀△同銀▲74馬(将来▲55桂を狙えるように)△63金▲56馬を用意する。
▲83馬に△54歩で▲55桂を消されたので、▲67桂と打って▲75桂を狙う。
最終図以下、▲74馬は△63金▲同馬△同玉▲45銀△同飛▲56金△41飛▲46飛△44歩▲75桂△53玉▲74歩△72歩と辛抱されて、先手の攻めが細い印象だ。
最終図から▲24歩△同歩▲75桂△56銀▲34歩△同銀▲24飛△43玉(△34銀に紐を付けつつ、▲74馬を避けた手)▲39歩の変化も考えられる。
▲39歩以下△49馬は、▲56馬△33銀(△23銀打は▲25銀が痛い)▲28飛で一段落する。
△57銀不成▲38歩△58銀不成は、▲74馬と引いてどうか。
△38角と打つ将棋は、後手陣がまとめづらく、後手を持って指すのが大変なので実戦例が少ないが、いずれの変化も形勢は難解だ。