今回は角換わりで、△51玉型で△65歩と位を取る指し方を検討したい。
最近、注目されている指し方だ。
目次
第1図 テーマ図
手順 △65歩。
第1図から△42玉と上がれば先後同型になる。
△51玉型のまま、△65歩と位を取るのが後手の作戦だ。
第1図から△42玉▲56銀△65歩と位を取った将棋は、こちらの記事で検討した。
△65歩以下▲29飛△81飛▲66歩と反発して、先手十分戦える。
第1図の△65歩に対して▲56銀△54歩▲29飛△81飛▲66歩△同歩▲同銀△65歩▲77銀(▲同銀右△同桂▲同銀は△47銀で難解)△52玉で後手十分の態勢だ。
玉の位置を後回しにすることで、△54歩の一手が指せている点とスムーズに△52玉と上がれる点で後手が得している。
一方、一段玉なので先手からの仕掛けが怖い。後手は先手の攻めに対応できるかどうか。
第2図 ▲35歩△同歩▲45桂と仕掛ける
手順 ▲35歩△同歩▲45桂△34銀▲24歩△同歩▲同飛△23銀▲29飛△24歩▲22歩△同金▲55角△44角▲同角△同歩▲55角△31角▲73角成△同金▲43桂。
▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けていく。
歩の突き捨ては攻め手筋だが、この場合は単に▲45桂も有力。
以下△22銀なら▲24歩△同歩▲同飛で、△44歩は▲43角の打ち込みがある。
▲24同飛に△42玉は▲35歩と突いて、△同歩は▲71角△72飛▲62角成△同飛▲84金と打って、▲34桂のキズがある。▲35歩に△44歩も▲55角で攻めが続く。
単に▲45桂に△42銀は、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△33桂▲75歩で先手指せる。
飛車を渡す展開になるので怖いところでもあるが、先手の攻めは相当うるさい。
▲35歩△同歩▲45桂に△44銀は▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と歩交換しておいて、次に▲15歩△同歩▲34角を狙えば先手指せる。
以下△41角は▲24歩△同歩▲15香△同香▲12角成。△24角は▲12歩△同香▲24飛△同歩▲12角成がある。この攻め方は角換わりで頻出するので覚えておいて損はない。
△34銀のかわしに▲56角は、△44歩▲53桂成△同金▲34角△33金▲56角△55歩で角が詰む。
△34銀には▲24歩△同歩▲同飛とする。
△23金▲29飛△24歩は、▲22歩△同金▲31角△44角▲22角成△同角▲24飛で先手良し。
△23銀▲29飛△24歩が勝るが、▲22歩△同金▲55角△44角▲同角△同歩▲55角が厳しい。次に▲53桂成と▲44角を狙っている。
△31角と打てば両方受けることができるが、▲73角成△同金▲43桂が両取りになる。
▲73角成に代えて▲44角△43歩▲35角△42角▲56銀とじりじり指す手もあるが、先手の方針が分かりにくい。その点、▲73角成と行く方が単純だ。
最終図以下△62玉▲31桂成△45歩▲同歩△81飛▲44歩が予想され、先手持ち。
第1図の△65歩は後手が危ないという認識だ。
第3図 △94歩と受けずに△81飛と引く
手順 △65歩▲56銀△54歩▲45桂。
第1図の△65歩は後手が危険だった。
後手は△94歩と受けない工夫がある。
△94歩の代わりに△81飛と引けているので、▲35歩△同歩▲45桂は△22銀▲24歩△同歩▲同飛△42玉で無理筋だ。
△65歩に▲95歩と位を取るのも考えられ、△54歩▲29飛△52玉で長い将棋になる。先手がどう打開するかという将棋だ。
△51玉型を咎めたいので、先手は早く動く順を模索したい。
まず▲56銀と上がる。
対して△52玉は▲66歩△同歩▲同銀△65歩▲55銀左と進出して先手指せる。
△54歩と突かないと▲66歩と反発される。
△54歩に▲66歩△同歩▲同銀なら△65歩と打って、▲77銀は△64角。▲65同銀右△同桂▲同銀は△39銀と反撃できる。
△54歩に▲45桂と跳ねてどうか。
第4図 △42銀の変化
手順 △42銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△33桂▲75歩△26角▲58金△41玉。
▲45桂に△42銀、△22銀、△44銀のいずれも考えられる。
△22銀には▲53角と打ち込む。△42角は▲26角成、△44角は▲97角成とできる。
▲53角には△86歩と突き、▲同歩なら△44角。▲同角成には△42角とする順が有力だが、やや凝っている指し方の印象だ。
▲45桂に△42銀には、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△33桂▲75歩と突く。
△75同歩には▲74歩△同銀▲54飛の狙いだ。
▲75歩に対して△41玉は▲74歩△同銀▲24歩で、△26角には▲35角と打ち返せる。
△41玉と寄る前に△26角と攻防に利かしておきたい。
△26角▲58金△41玉とした図は形勢不明。先手側もギリギリの攻めだ。
第5図 △44銀の変化
手順 △44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△52玉▲66歩△55歩▲67銀△66歩▲同銀左△65歩▲77銀△94歩▲79玉△64角。
△42銀もあるが、先手にガンガン攻め込まれるのが気になる。
△44銀はじっくりとした路線だ。
▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と歩交換を許す代わりに△52玉と上がる手が間に合う。
最終図、後手は次に△33桂や△56歩▲同銀△46角を狙っている。
これからの将棋だが、後手としては不満のない陣形だろう。
まとめ
今回は居玉のまま△65歩と位を取る指し方を検討した。
第1図の△65歩は、▲45桂か▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けて、後手が危ないという認識だ。
だから、△94歩と受ける代わりに△81飛と引く工夫が登場した。
それでも▲45桂と仕掛ける筋はあるが、△42銀、△22銀、△44銀のいずれも考えられ、いずれも難解な将棋だ。
研究課題の一つだ。