今回は角換わりで、後手が△31玉と引く変化を検討したい。
目次
第1図 手番を調整する▲69玉と▲27飛
手順 ▲69玉△41玉▲79玉△31玉▲27飛△54銀▲45桂。
第1図から▲69玉と手番を調整する。
理屈については、こちらの記事で検討した。
▲69玉△54銀▲79玉△63銀▲88玉△54銀▲45桂の局面に先手は誘導したい。
こちらの記事などで検討した変化だ。
▲88玉型で▲45桂と跳ねる変化は先手指せると言われている。
▲69玉に△41玉▲79玉△31玉は、後手も手番を調整し、その局面を避けた意味だ。
△31玉に代えて△52玉とした変化は、こちらの記事で検討した。
△31玉に▲27飛と浮く。
対して△42玉なら▲28飛△54銀▲29飛で、先手は一手パスできる。
▲27飛の局面は後手の分岐点だ。
▲27飛に△65歩と突く将棋はこちらの記事で検討した。
▲27飛に△22玉と上がる変化はこちらの記事で検討した。
今回は▲27飛に△54銀と上がる変化だ。
△54銀は△65歩の攻めを見せた手で、▲28飛や▲29飛には△65歩▲同歩△同桂▲66銀△64歩とできる。
△54銀に▲35歩△同歩▲45桂は、△34銀▲24歩△42玉で、▲27飛の形が悪い。
単に▲45桂と跳ねるのが勝り、ここで△42銀と△22銀の分岐になる。
第2図 △42銀の変化
手順 △42銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△44歩▲15歩△同歩▲75歩△45歩▲74歩△65桂▲同歩△22角▲45歩△76歩▲88銀△43銀上▲26角。
△42銀と引く変化はこちらの記事で詳しく検討した。
最後、△43銀上に▲26角、▲46角、▲64歩など先手の手が広い。
▲46角と打って△75桂に▲64角を用意するのも有力だし、▲26角と打って▲73歩成を狙うのも一案だ。
現状、この変化は先手指せるとされている。
第3図 △22銀の変化
手順 △22銀▲35歩△44歩▲53桂成△同金▲34歩。
△22銀と引くのも先手指せると言われていたが、最近になって見直された手だ。
対して▲24歩△同歩▲同飛は、△44歩▲75歩△45歩▲74歩△65桂▲同歩△86歩▲同歩△76歩▲同銀△33角が飛香両取りになって先手不満。
▲35歩に対して△同歩は、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と歩交換し、次に▲75歩を狙って先手指せる。
▲35歩に△44歩と桂を取りに行く。
▲53桂成△同金▲34歩とし、先手は桂損ながらも▲34歩と取り込めたのが主張だ。
△33銀と上がれないので壁銀を解消しづらい。
最終図から△95歩▲同歩△65歩とするか、単に△65歩とするか、何気ないが全く違う変化になる。
第4図 単に△65歩の変化
手順 △65歩▲62角△63金▲44角成△52桂▲26馬△95歩▲同歩△66歩▲同銀△86歩▲同歩△64桂。
まずは単に△65歩と突く変化を見ていきたい。
対して▲62角△63金▲44角成と馬を作る。▲62角に△64角は▲65歩△同桂▲66銀で後手困る。
後手は△52桂と馬を追い、▲26馬に△95歩と突く。
以下▲95同歩△66歩▲同銀△86歩▲同歩に△64桂と活用するのが、△52桂からの狙いだ。
最終図からも変化は多岐に渡る。
最終図以下▲65歩と打って、△56桂▲同歩の局面は▲27飛が受けに利き、▲44桂の楽しみも残っているので先手良し。
よって▲65歩には△76桂が勝り、▲77歩△88角(△88歩は▲76歩△89歩成▲68玉で先手指せる)▲69玉(▲同金△同桂成▲68玉は△42金打で、次に△86飛を狙う)△47歩(▲同飛か▲同金によって△53歩か△42金かを選ぶ意図)が一例。
▲65歩と打たずに▲67銀と引くのも自然で、△86飛▲87歩△82飛でどうかという将棋だ。
第5図 △95歩を手抜いて▲15歩
手順 ▲15歩△96歩▲14歩△86歩▲同歩△12歩▲65歩△75歩▲98歩△76歩▲同銀△86飛▲77歩。
△95歩に▲同歩と取った第4図の変化も先手持ちだが、さらに良さを追求して、△95歩に▲15歩とする順が有力だ。
△15同歩は▲同香△14歩▲同香△同香▲15歩で、香が入ると▲33香と打ち込んで攻めていける。
▲15同香に△13歩ならそこで▲95歩と戻せば、先手が得している。
▲15歩△96歩▲14歩に△86歩はタイミングで、▲同銀なら△88歩▲同玉(▲同金は△66歩)△64桂とできるので、▲86同歩に限定させる意味がある。
単純な攻め合いでは後手玉の方が薄いので△12歩と受けるが、先手は満足して▲65歩△75歩▲98歩と受けに回る。
最終図▲77歩と受けた図は先手玉が固いのが主張だ。一方で、後手玉への攻めは遠くなっているので長い将棋だ。
△95歩を手抜いて▲15歩も先手持ちで、遅めの△95歩を咎める意味でもやってみたい変化だ。
第6図 △95歩▲同歩△65歩の変化
手順 △95歩▲同歩△65歩▲29飛△86歩▲同歩△42金▲72角△82飛▲61角成△64桂▲71馬△52飛▲67銀△43角。
最後に△95歩▲同歩△65歩の変化を見ていきたい。
対して▲62角なら第4図の変化に合流する。
△95歩に▲15歩の変化を回避できているので後手が少しだけ得している。
第4図の変化にするのもあるが、△65歩に▲29飛と引くのがより勝る。
対して△86歩▲同歩△66歩は、▲62角△63金▲44角成△52桂のとき▲66馬と引けるので先手良し。
△42金は▲62角を警戒した手だが、今度は▲72角と打ち込む。
このとき△95歩▲同歩が入っていなければ、△82飛▲61角成△32玉と形を整えて難しいのだが、△95歩▲同歩が入っていると△32玉に▲94歩と伸ばして先手良し。
△95歩▲同歩が入っているので、後手が忙しくなっている。
△64桂▲71馬△52飛▲67銀に△43角は面白い一手で、次に△55銀と上がる手を狙っている。
△43角に▲65歩△同銀▲66歩なら△76銀▲同銀直△88歩と攻める。
最終図以下、▲56歩や▲61馬△82飛▲43馬△同金直▲94歩などが有力で先手指せる。
まとめ
今回は▲45桂に△22銀と引く変化を検討した。
最近、見直された手だ。
▲35歩△44歩▲53桂成△同金▲34歩の局面は後手の分岐点だが、単に△65歩は▲62角△63金▲44角成△52桂▲26馬△95歩に▲15歩があり、△95歩▲同歩△65歩には▲29飛が有力だ。
遅すぎず早すぎずのタイミングで△95歩▲同歩を入れたいが、そのタイミングが難しい。
先手十分対応できる変化だ。