今回は角換わりで、△54銀ー△41飛と回る将棋を検討したい。
目次
第1図 ▲29飛を後回しにする工夫
手順 ▲48金△81飛▲56銀△62金▲66歩。
テーマ図に至るまでで、先手に工夫がある。
▲48金△81飛▲56銀△62金▲66歩と、▲29飛を後回しにするのがポイントだ。
▲66歩に代えて▲29飛と引くと、△41飛▲66歩△44歩▲45歩△52玉の変化を与える。
▲29飛を保留して最終図になっていれば、△41飛には▲79玉と引き、△44歩▲45歩と仕掛けて先手指せる。
▲79玉と囲えている点と、▲48金に紐が付いている点で先手が得している。
この理屈については、こちらの記事でも検討した。
第2図 テーマ図
手順 △54銀▲29飛△41飛▲45桂△22銀▲75歩△同歩▲53桂成△同玉▲74歩△44歩▲82角。
△54銀を見て、▲29飛と引く。角換わりの基本図だ。
ここから分岐が多い。
今回は△41飛と回る将棋を検討したい。
玉の下に飛車を回るので違和感があるが、△41飛▲79玉△44歩となったとき、▲88玉は△31玉、▲45歩は△52玉と、先手の指し方によって玉の位置を決める意図がある。
この理屈については、こちらの記事で検討した。
一方、玉飛接近の形になるので▲45桂からの仕掛けが怖い。
△22銀に対して、▲15歩△同歩▲75歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛の仕掛けも有力。
こちらの記事で検討した。
他にも、△22銀に▲95歩△同歩▲75歩△同歩▲53桂成△同玉▲92歩△同香▲74角△91飛▲83角成もある。
▲75歩△同歩▲53桂成△同玉▲74歩△44歩(▲45銀の防ぎ)▲82角とするのは実戦例が一番多い指し方だ。
ここで△84角と△72金に分岐する。
△63玉は危険で、▲73歩成△同金▲55桂△72玉▲73角成△同玉▲53金△51飛▲54金△同飛▲65歩(▲97桂もある)で先手良し。
第3図 △84角の変化を簡単に
手順 △84角▲86歩△55歩▲47銀△81飛▲73歩成△同角▲同角成△同金▲85歩△33銀▲76歩△同歩▲同銀△43金▲77桂△42玉▲84歩△32玉▲85桂△84金▲73桂成△65歩。
△84角と打つ手もある。
▲86歩△55歩▲47銀△81飛▲73歩成に△同金は、▲同角成△同角▲72金△83飛▲73金△同飛▲82角で先手良し。
▲85歩でお互い角桂交換になり落ち着いたので、△33銀から立て直していく。
△43金では△42金もあって、以下▲24歩△同銀(△同歩は▲35歩△同歩▲34歩)▲77桂△43玉▲84歩が予想される。
これもあるが、△43金ー△42玉の方が後手玉が安定している。
▲84歩ー▲85桂から成桂を作ったが、後手玉から少し遠い。
△65歩から反撃する。
最終図以下、▲65同歩は△67歩と打ち、▲同銀は△75金、▲同金は△75歩▲87銀△76桂でどうか。
こちらの記事で検討した。
第4図 △72金の変化
手順 △72金▲73角成△同金▲同歩成△55歩▲47銀△45歩▲38桂△71飛▲72金△41飛▲45歩△33桂。
△84角に代えて△72金とする変化を見ていきたい。
後手玉の近くにと金ができるので神経を使う展開になるが、形勢は難しい。
△55歩に▲65桂も考えられるが、△同歩▲同銀△同銀▲同歩△43玉▲63と△81飛とされて、先手の攻めが重い。
△55歩▲47銀△45歩に▲同歩は△同銀で勢いがつく。
△45歩に▲58桂と打つと、▲58玉と寄る余地がなくなり先手玉が狭くなる。▲38桂が勝る。
▲38桂と打たれるとすぐの攻略は難しいので、△71飛▲72金△41飛と金を使わせ、▲45歩に△33桂と活用する。
第5図 後手玉は常に危険
手順 ▲62金△81飛▲46桂△45銀▲63と△44玉▲64と。
第5図から▲74とと引くと、△56歩と突いて、▲同銀は△45銀、▲同歩は△45桂▲46歩△37桂成▲同金△48角がある。
▲62金と寄れば、△56歩▲同銀△45銀に▲63とと寄って先手良し。
一方で、△81飛と逃げられるようになる。
ずっと玉飛接近の形が気になっていたので、解消できたのは嬉しい。
▲46桂と活用し、△45銀に▲63と△44玉▲64と、とと金を引っ張っていく。
第6図 △24歩が好手
手順 △86歩▲同歩△24歩▲同歩△28歩▲同飛△76歩。
一本△86歩と突く。
対して▲同銀も▲同歩もあるところ。
▲86同歩に限定したいなら△81飛に代えて△86歩は考えられる。
▲86同銀なら△76桂のキズができるので△45飛▲46歩△25飛と強く戦える。
だが、▲86同歩△81飛のとき、▲46桂ではなく▲72歩や▲35歩と変化できる。
歩を2歩持っていると、△45桂に▲46歩を用意できる。
▲86同歩に△24歩が好手だ。次に△25桂と跳ねられれば、△33玉ー△23玉と逃げ道が増える。
▲24同歩に△28歩▲同飛△76歩と進んだ最終図は形勢不明。
△76歩▲同銀△28歩とすると、▲49飛△86飛▲77玉で先手良しになる。
最終図以下、▲76同銀は△86飛▲87金に一本△67歩と叩ける。▲同玉は△75桂だ。
この理屈は、次の第7図で重要になる。
▲88銀は、△35歩▲同歩△86飛▲87歩△84飛▲74歩△36桂のように攻めていける。
銀取りを手抜いて▲52金は、△77歩成▲同金に△35歩が予想される。以下▲23歩成は△同金▲同飛成△同銀▲54金△同銀▲同と△45玉で耐えている。
第7図 あえて△65歩を残す
手順 ▲44歩△65歩▲46桂△45銀▲63と△44玉▲64と△86歩▲同歩△24歩▲同歩△28歩▲同飛△76歩▲同銀△86飛▲87金。
▲46桂と跳ねずに、▲44歩と突く手も考えられる。
△44同玉には▲74とと引いて▲64とを狙う。△53玉と戻っても、▲46桂と跳ねて攻めが続く。
▲44歩に△65歩としてきたら、▲46桂△45銀▲63と△44玉▲64とと進めて、以下△86歩▲同歩△24歩▲同歩△28歩▲同飛△76歩となった図は、第6図最終図と比較して△65歩が残る。
一見すると先手が損なのだが、△76歩に▲同銀△86飛▲87金と進めたとき、△67歩と叩けなくなっている。
▲87金に△84飛と引くが、▲63金で先手がはっきり良い。
▲44歩や▲64とに対して後手の手が広いので、また違った変化になるが、あえて△65歩を残す工夫は十分に考えられる。