通常の角換わりは先手が先に仕掛ける展開になりやすい。△33金型早繰り銀は△33金の形が悪いのがデメリットだが、▲77角と上がって▲33角成と角交換をしているので先手は一手損をする。その手の分を生かして後手が先に仕掛ける展開にしようとする作戦だ。

よって根本の考え方は「後手が早い動きでリードを奪う」になるが、場合によっては角換わり後手の基本理念である「スキを作らず待つ」という考え方もできる。しかし「スキを作らず待つ」という指し方をした場合に△33金型の作戦を選ぶかという謎が残る。このあたりはそれぞれの思想によって指し方が変わるだろう。

第1図

△33角が△33金型を作る最初の一歩。先手が▲同角成のせずに▲78金とすると△42銀で雁木模様になるか、△62銀としてあくまで△33金型を目指す手もある。先手がもう一手▲48銀とした場合も、△42銀の雁木模様と△74歩の早繰り銀が考えられる。

第2図

△74歩が早繰り銀を目指した手。代えて△64歩から腰かけ銀を目指す順もある。△74歩に▲55角は以下進んで▲24同飛に△22銀で受かる。△22歩は▲21金がある。最後△45桂とした図は後手良し。▲31金に△86歩▲同歩△88歩▲同金△57桂成が一例の進行。

第3図

▲47銀では▲36歩ー▲37桂を急いで△44歩をつかせる順もあるが、△35歩から桂頭を攻める手が生まれるので損になる変化もある。手堅く▲47銀としたいところだ。

第3図が分岐点。

①△42玉▲56銀△75歩 ②△94歩▲56銀△75歩とする順が主に考えられる。他には△42玉▲56銀△94歩▲66歩△73桂のように持久戦を目指す手もある。これはスキを作らす待つ指し方だ。△42玉は7筋から離れるが2筋に近づく。△94歩は2筋から遠いが7筋が近い。どっちも一長一短ある。

第4図

△75歩に▲66歩もあるが、△76歩▲同銀△86歩▲同歩△同飛▲87金△82飛▲86歩△54歩となって、先手の主張があまりない。△75歩には▲同歩△同銀▲24歩と反撃したいところだ。少し脱線して▲24歩に代えて▲45歩もよくある手。しかしこれも受け身の将棋になりそうだ。▲68玉に代えて▲66歩とするのは△54歩▲65歩△55角と強く対応されて後手指せる。このとき後手の玉が固い。一局ながらも先手としては選びたくない変化だ。

やはり本命は▲24歩。「銀が5段目にきたら継ぎ歩」は常套手段だ。

△24同歩に▲25歩が狙いの継ぎ歩で、△同歩は▲同飛で成功だ。そこで①△76歩 ②△86歩が有力。

△76歩に▲66銀は△同銀▲同歩△25歩で歩損が残る。△35歩は▲25飛を消したり、▲16歩ー▲17桂の攻めをされたときに△36歩とできるようにした手。最後▲16歩とした図は先手不満ない。次に▲15歩として▲45角のラインで攻めることもできるし、△15角が消えただけでも大きい。△△33金型早繰り銀において▲16歩の価値はとても大きい。頻出する手だ。

機をみて先手は▲77歩△同歩成▲同銀△76歩▲66銀と壁銀を立て直す。▲24歩と取り込めたので今度は銀をぶつけることができる。

第5図

△86同銀には①▲同銀 ②▲55角のどちらも有力。

①▲同銀△同飛▲87歩で、△76飛の図は先手に手段が多く迷う。

まずは▲77銀

△75飛▲24歩に△27歩▲同飛△26歩▲同飛△15角▲28飛△27歩が気になる反撃。▲同飛は△36銀で後手良し。△27歩に▲58飛は△25飛と転換する。以下▲39金と受けておいてどうか。▲38金でも同じようだが△28歩成▲同金△39銀が厳しい。▲39金なら△28歩成に▲同飛と取れるので大丈夫だ。以下△同飛成▲同玉△39飛▲49飛△同飛成▲同玉△69飛▲59飛△同飛成▲同玉・・・は連続王手の千日手になる。

▲83角は一回△27銀が入る。△62金が細かい手で、△52金だと▲65角成△71飛に▲82銀と打ちやすい。△62金だと▲82銀△41飛のあとに△73桂の活用を見ている。しかし今度は4筋が薄いので▲45歩の味がいい。次に▲55銀を見て、先手不満ないだろう。

もう一つ無難な手としては▲77桂がある。

△25歩と戻すと▲85角から▲65桂が狙い筋。これも先手を持ちたいだろう。

▲77桂には桂には桂で、△73桂とする手も考えられる。対して▲24歩には△27歩が気になる反撃。

△26歩に▲同飛と応じると△44角が痛い。▲28飛と引くことになるが△27角と打ち込んでくる。△85桂▲同桂には△38銀が狙い筋。これは後手の攻めが刺さっている。△85桂には▲66銀や▲86銀と受けておけば難しい将棋だが、後手の桂馬を捌かせている。

△73桂に▲24歩とするとすかさず△27歩が飛んできたのでじっと▲66銀もある。△44角の筋をカバーし、次に▲24歩とする狙いだ。△27歩▲同飛△85桂の攻め筋を事前に受けている意味もある。▲82角と打ち込んだ図は先手が厚い格好。先手陣にスキがないので香取りが間に合う。

△76飛の図は▲77銀、▲83角、▲77桂のいずれも有力だ。好きな展開を選ぶことができる。

△76飛代えて△82飛はどうだろう。先手は初志貫徹▲24歩と取り込むが、これが入るかどうか。

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