目次
第1図
先手は▲79玉型で▲45桂と跳ねるか、▲88玉型で▲45桂と跳ねるかが難しいが、現状では▲88玉型で▲45桂と跳ねる図は先手指せると見られている。
よって第1図を後手は避ける傾向にある。
第1図を一手一手見ていくと深くなりすぎるので、大切な変化を大雑把に見ていきたい。
第2図
△52玉に▲79玉△42玉となれば、▲79玉型で▲45桂と跳ねる変化になる。
△52玉に▲69玉とあえて1手パスするのが、▲88玉型▲45桂を目指す工夫だ。
後手が第1図を避けるなら、▲69玉に①△63金 ②△63玉 ③△41玉▲58玉△42玉 ④△41玉▲58玉△44歩 ⑤△44歩▲79玉△41飛など変化が多い。
いずれも後手は第1図を避けている変化だ。
第1図で、後手は3つの指し方がある。
第3図
一つ目は△44銀とする手。
2筋の歩交換を許すが、△65歩から攻めを狙った手だ。
二つ目は、△22銀と引いて▲35歩△同歩と面倒を見る順。△44歩を実現されるとまずいので、先手はどんどん攻める展開になる。
そして今回検討する、△22銀▲35歩△44歩とする変化だ。先手は桂損になるが、▲34歩と▲45歩の拠点と位を主張している。後手の△22銀が壁銀になっている。
▲79玉型▲45桂で、△22銀だと▲75歩△同歩▲53桂成△同玉▲74歩の攻めが有力だ。
▲88玉型で同じ攻めをやるのはどうか。
第4図
同じように△53同玉▲74歩△44歩とする手もあるが、△53同金▲74歩に△65桂がやってみたい反撃だ。
▲同歩に△33角が急所のラインだ。
▲79玉に△76歩▲88銀△75桂と進んで、後手を持って指してみたい。
△75桂に代えて△86歩▲同歩△75桂とすると、▲87桂と合わされて先手良しになる。
△22銀に▲75歩の攻めはうまくいかない。そこで▲35歩から攻める。
▲45同歩に△52玉と待つ変化も難しいが、本命は△65歩と仕掛ける変化だ。
▲65同歩に△95歩▲同歩△75歩とするか、単に△75歩とするかで変化が大きく変わる。
比較しながら見ていきたい。
第5図
△95歩▲同歩△75歩に対して▲64歩とつく。
△86歩▲同歩△65桂にはどうするか。まずは▲66銀とかわす変化から。
▲66銀に△86飛と走る手には、▲87金が好手で、△81飛に▲82歩から全連打していけば先手指せる。
問題は△74桂▲65銀直△同銀▲同銀△86桂▲44桂とした局面だ。
▲44桂に対して後手の手も広いが、△78桂成▲同玉△66金として後手玉が詰まなかったら分かりやすいだろう。
手順中▲52金に△同金は▲同桂成△同玉▲63歩成以下飛車を抜かれる。詰みまではいかないが、最後▲67歩とした格好が固い。
最終手で△21玉と逃げると▲32桂成△同銀▲同成桂△12玉▲23銀以下詰むが、△13玉または△12玉が正しい応手で詰まない。
▲39飛と寄るところで、▲56銀△55桂の交換が入っていても後手玉は詰まない。
第6図
▲66銀とかわす変化は先手自信なかったので、▲65同銀とする変化が考えられる。
以下一直線に進んで、△86飛に▲87歩合は△76桂▲97玉△82飛で後手指せる。
▲86桂と打った図は後手の手が広い。
一例で、△96歩▲同玉△68桂成▲同金△76銀打とする手には、▲51角△31玉▲63とが攻防手になる。
△87銀不成▲同玉に△76銀打としたいが、▲96玉とされる。
先手玉を下段に落とすことに成功したが、後手玉も危険だ。
最終図は後手玉がどこに逃げても、詰みもしくは△76金が取れる。
この変化は先手勝ちだ。
第7図
次に△65桂に代えて△76歩▲同銀△74桂とする変化を見ていきたい。部分的には厳しい攻め筋だ。
これには▲87金△98歩▲同香△86桂▲96香と対応する。
以下進んで△65角も強手だ。▲同銀左△同銀▲99桂△76銀▲78角と数で受ける。
▲78角は大切な一手で、▲69角だと将来△71飛と寄る変化のとき△79飛成とできるので先手が損する。
△85桂と跳ねる手には▲58角△71飛▲65銀として、玉頭を緩和する。▲58角に代えて▲44角も有力な変化だ。
以下進んで▲62との局面は難しい。
後手が▲58角を嫌って、△95香▲同香△85桂とする手もある。これなら▲58角に△97歩を用意している。
しかし先に香を渡すのでリスクがある。具体的には▲44香△43歩▲58角の変化が有力だ。
第8図
次に△86飛と走る手はどうか。
▲87金△81飛に▲82歩△同飛▲71角と反撃する。
△64飛に▲66歩が好手だ。▲67歩だと△65桂と逃げられる。▲66歩に△同飛は▲67金△63飛▲64歩で先手良しだ。
△97歩に▲62飛△52桂を入れると、▲97香に△85桂で後手良しになる。飛車打ちを保留することで、△85桂に▲82飛を用意している。
△52桂に代えて△31玉とするのは、▲61飛成△41歩▲52金△13銀▲41竜△22玉▲42金△43銀▲24歩△同銀▲43金△同金▲31銀△13玉▲59飛で先手勝ちだ。
最終図▲58金とした図は先手良し。
△86歩▲同金△68角の攻めは無理そうだが、△95歩▲同歩が入っているので後手はゆっくりした展開にしづらくなっている。
つまり▲82歩△同飛▲71角の攻めは、△95歩▲同歩が入っているからこそ、やりやすい。
△95歩が入っていなければ、最後▲66歩に△63飛として難しい。
先手に歩が多い点、△95歩▲同歩で先手玉の上部が広くなっている点があげられる。
第9図
▲82歩と攻めずにじっと▲86歩も有力だ。
▲86歩に△66角と攻める手に▲77角と合わせる変化はどうか。
進んで△96桂が捨て駒。▲96同金と取ると△95香▲同金△83桂がある。
最終図▲44桂となった局面は、先手も十分指せる変化だ。
△95歩▲同歩が入っていない場合、最後△96桂が歩を取りながら跳ねることができる。これは先手が損をしている。
▲77角合わせも有力だが、▲77歩の方が有力と見られている。
第10図
▲77歩に△75桂が狙いだ。
▲69飛に△87桂成▲同銀△65歩は▲46桂で先手良しになる。
▲69飛△65歩▲75銀△同銀▲46桂だと、△85歩▲同歩△64角で後手良しだ。
そこで▲75銀△同銀に▲55銀とする。
▲55銀と出てからは、ほぼ一本道だ。
▲72飛で王手角取りがかかるが、△52角合が用意の手。▲75飛成は△74銀と押さえて後手指せる。
先手は角を取らずに▲63金と攻め続ける。
▲63金に△86金は▲78玉と落ちておいて後手の攻めが続かない。
△86銀から王手をかけ、▲72飛か▲63金を抜きに行く。
△86銀▲76玉△77桂成▲同桂△同銀成で、▲同玉は△66銀▲同飛△同角▲67玉△77飛から先手の飛車を消して、最後に△63角とすれば後手勝ち。
▲67玉に代えて▲68玉としても△56桂▲同歩△77銀で後手勝ち。
つまり、最初の△86銀に▲78玉としても上記順で後手勝ちになる。
先手は△77銀成に▲75玉と角を取る。対して△64金として▲63金を抜きにいく。
△64金に▲86玉は△63金▲77玉で、いろいろあるが△66銀が分かりやすい。▲68玉は△67銀打▲79玉△77歩で後手勝ちだ。
先手は△66銀▲同飛△同歩に、▲52飛成から詰ましにいきたいが、際どく詰まない。
途中△54玉が正しい逃げ場所で、△64玉だと▲65歩以下詰む。
最終図までいけば後手が逃げ切った。
よって△64金には▲同金になる。
△63銀で王手飛車がかかるが、▲73玉と入玉を果たした。
最終図▲82玉とした局面は、先手が余している。
しかし一手間違えると奈落の底の変化で、先手も相当怖いだろう。
9筋がない場合、▲82歩はやや打ちづらかったので、▲86歩とする手は考えられる。
△66角▲77歩△75桂の順は、▲82玉まで同じように指してあまり変わらない。
今度後手は△74歩と桂頭のキズを消しやすい。
△95歩▲同歩が入っていると将来▲94歩と伸ばす楽しみがあり、後手はゆっくりした展開になりづらい。
ここまでがざっとした▲88玉型▲45桂の変化だ。ここまで見ても先手が指せそうな変化が多い印象だ。しかしどの変化も際どく、一手間違えると奈落の底の展開であることは間違いない。
先手は△95歩▲同歩△75歩か、単に△75歩かで、▲82歩とするか▲86歩とするかを選ぶことができる。
まとめ
▲88玉型▲45桂は先手指せるとされている変化だが、どの変化も際どい。
△75歩か、△95歩▲同歩△75歩かで展開が変わる。先手は端によって指し方を使い分ける必要がある。
△65桂と跳ねる変化は、▲66銀は後手指せる。▲65同銀は先手指せる。
△74桂と打つ変化は難しい。▲78角に△85桂とした局面が課題。
△95歩▲同歩があった場合、△86飛▲87金△81飛は▲82歩で先手指せる。
▲82歩で、▲86歩△66角▲77歩の変化も先手有力。この変化は9筋関係なくできる変化。
端が入っていなくて△81飛なら▲82歩の変化は難解。
先手が▲82歩と打ちづらい場合には▲86歩になって、後手は端を入れてないので△74歩と守りやすい。
どの変化も非常に難解で、まだまだ未解決な変化が多い。