テーマ図

手順 △84飛。

前回は▲58金に△73桂とした変化をこちらで検討した。▲58金に△73桂とした図は課題局面であるが、△73桂とした瞬間は▲71銀や▲71角の割り打ちや、▲75歩の桂頭攻めが発生するので怖い手だ。

そこで工夫したのが△84飛と浮く手。▲71銀、▲71角のキズを消しつつ、次に△73桂と跳ねたとき▲75歩の桂頭攻めをケアした手だ。

△84飛に▲35歩の変化

手順 ▲35歩△同歩▲15歩△同歩▲45桂△34銀▲24歩△44歩▲23歩成△同金▲22歩△27歩▲同飛△26歩▲同飛△25歩▲21歩成△26歩▲24歩。

まずは▲35歩と仕掛ける手から見ていきたい。△同歩▲15歩△同歩▲45桂と仕掛けていく。

▲45桂に△44銀は▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と一歩交換しておいて先手十分。△44銀と上がってくれると▲45桂を歩で取られる心配がない。

▲45桂に△22銀は▲24歩△同歩▲15香△同香▲12角と打ち込んで先手指せる。▲15歩△同歩を入れずに▲45桂とすると、△22銀▲15歩△44歩と変化される。後からだと1筋が入らない。

△24同歩に自然に▲同飛も考えられるが、△23銀▲71角△63金▲23飛成△同金▲53桂成△同金▲51銀△同玉▲53角成△63銀打で先手の攻めが細い。

銀を逃げるなら△34銀が本命だろう。対して▲56角は△36歩▲同銀△37角で後手良しだ。▲24歩が勝る。これに△同歩は▲15香△同香▲12角で先手良しだ。△81飛型だと無い筋だが、△84飛の不安定さを咎めた指し方だ。

▲24歩△44歩▲23歩成に△同銀は▲33歩△22金▲15香△同香▲11角△12金▲32歩成△同玉▲44角成が厳しい。

よって△23同金になり、▲22歩には連打して飛車先を止める。△25歩に▲29飛は△22金で先手失敗なので、勢い▲21歩成△26歩▲24歩と踏み込む。△24同金は▲33角だ。

最終図の形勢はどうか。

手順 △45歩▲23歩成△同銀▲22と△46歩▲同銀△34銀▲32と△51玉。

▲24歩に△同金は▲33角、△14金は▲33桂成△同玉▲51角がある。

▲24歩に△27歩成▲23歩成△37とは、▲33桂成△51玉▲56銀で先手指せる。後手の駒が少ない印象だ。△49飛は▲59金打、△28飛は▲39金、△38飛も▲29金がある。味の良い飛車の打ち込みがない。

▲24歩に△45歩と取る。▲23歩成△同銀▲22とに、単に△34銀は▲44桂△51玉▲71金と縛られたとき、▲24角に△42歩が用意できない。△46歩▲同銀を入れてから△34銀とすれば、今度▲44桂△51玉▲71金には△93角と催促して問題ない。

最終図から▲71金、▲75歩、▲65歩などが候補になる。▲75歩は△同歩なら▲56角で銀取りと▲83金の狙う意図だ。放置しても▲76桂がある。

▲65歩は次に▲66角を狙っている。△65同歩は▲63歩が痛い。

先手の手段が多いので、先手持って面白そうな局面だ。

▲45桂に△同銀の変化

手順 △45同銀▲同歩△36歩▲同銀△46角▲29飛△37角成。

▲45桂に△34銀とかわしても▲24歩からの攻めがうるさかった。以下も際どい勝負だが、後手は怖い格好になる。

△45同銀はさっぱりとした指し方だ。通常は▲35歩△同歩▲45桂と仕掛けるが、今回は▲35歩△同歩▲15歩△同歩▲45桂と仕掛けている。▲15歩△同歩が入っていると、後手の持ち駒に歩が多い点、△16歩と伸ばす楽しみがある点、とメリットが多いので△45同銀とやりやすい意味がある。

最終図は互角の戦いだ。以下▲47銀は△46桂、▲47金は△38馬▲79飛△55桂や△35歩で駒損を取り返せる。形勢は互角だが、先手でこうした展開は不満という見方もできる。先手を持って早い仕掛けを目指すなら、具体的な良さを求めたいところだろう。

△84飛に▲56銀の変化

手順 ▲56銀△73桂▲79玉△81飛。

次に▲56銀の変化を見ていきたい。

△73桂に▲48金△81飛▲29飛なら通常の形に戻るが、▲48金の瞬間に△65歩▲同歩△同銀と仕掛けて後手ペースになる。もう通常の将棋には戻らない。

▲79玉と囲い、△81飛と引くと多くの将棋と合流する。

△81飛に▲45銀と仕掛ける将棋はこちらの記事で紹介した。

▲45銀と仕掛けずに▲68金右△63銀▲88玉△54銀とする将棋はこちらの記事で紹介した。

こうした変化に合流したのは、通常後手が△81飛と1手で引くところを△84飛ー△81飛と2手かけて引いているからだ。角換わりの将棋は違う変化を検討していても、結局合流することがある。

△84飛▲56銀△73桂に▲45桂の変化

手順 ▲45桂△22銀▲24歩△同歩▲同飛△44歩▲71角△52金▲53桂成△同金▲62角成△63金▲72馬△53玉▲48金△23銀▲29飛△24歩▲79玉△33桂。

△73桂に▲79玉の変化も一局の将棋だが、積極的に▲45桂と仕掛ける手を見ていきたい。

△22銀には▲24歩△同歩▲同飛と交換する。△44歩で桂馬は取られるが、▲71角と打ち込んで馬を作る。▲71角に△52玉は▲34飛△43銀▲32飛成△同銀▲42金△61玉▲62角成△同玉▲32金△45歩▲22金で駒得になり、先手指せる。

▲62角成△63金に▲44馬は、△23歩▲29飛△33銀▲71馬△38角で先手微妙。手順に△33銀と壁銀を解消できるのが大きい。

△53玉は▲55銀を防いだ手だ。代えて△52玉としたいが、▲25飛△33桂▲55銀の攻めが成立する。

最終図から、積極的に指すなら▲95歩△同歩▲92歩△同香▲93歩△同香▲71馬だ。他にもじっと▲88玉と上がる手も有力。桂損ながらもその代償が歩得と馬なので、先手十分戦える。ただ、この先が不透明なので先手はしっかり方針を立てておく必要がある。

手順 △44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛。

△44銀はどうか。これには▲24歩から一歩交換しておく。▲48金型ならこれで先手十分だが、▲58金型なので△38角の打ち込みがある。

先手は△38角に対応できるか。

手順 △38角▲25飛△49角成▲47銀△39馬▲15歩△同歩▲同香△13歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△81飛▲75歩。

△38角には▲25飛△49角成▲47銀と対応する。次に▲29飛で馬が取られるので△39馬と寄るが、先手玉から遠のくので辛い手だ。

△39馬に▲15歩△同歩▲同香と攻める。△14歩は▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛が次に▲51角を狙って厳しい。△81飛と受けても▲14香がある。

▲15同香に△13歩と辛抱も、それでも▲24歩から▲34飛で攻めが続く。

最終図以下、△63銀は▲32飛成△同玉▲22歩△同玉▲24歩と激しく攻め立てて先手良し。

△38角に代えて△65歩の攻め合いも、▲35歩と攻めて先手指せる。△同歩や△同銀と取らせてから▲65歩と戻せば、単に▲65同歩とするよりも先手が得する。

まとめ

今回は▲58金型で、後手が△84飛と上がる将棋を見た。

△84飛には▲35歩と仕掛けるか、▲56銀と上がるかの分岐になる。

▲35歩△同歩▲15歩△同歩▲45桂には△34銀と△45同銀の分岐だ。△34銀は後手玉がかなり怖い格好になるので、△45同銀が有力か。

▲56銀△73桂に▲79玉△81飛はよくある将棋に戻る。これは一局の将棋。

△73桂に▲45桂が成立するかどうかは大切なところ。△44銀は▲24歩から一歩交換して先手十分と見たい。△22銀と引くと、後手は桂得を主張に、先手は歩得と馬を主張にする将棋になる。先の見通しが不透明で、先手に具体的な方針があるかが重要だ。

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