目次
第1図
今回は第1図の▲48金△62金の同型を見ていきたい。
角換わりの同型は、先手に先攻されるので後手が嫌う傾向にある。
例えば▲58金△52金の同型は、先手良しが結論だ。
第2図
▲45歩から仕掛け、▲11角と打つ攻め方は「富岡流」と呼ばれる。
一気に攻め込んで、▲62同成桂で受けなしに追い込むことができた。あとは先手玉が詰むかどうかだが、際どく詰まない。
84手目△68銀に▲88玉は絶対手で、▲68同金は△同馬▲同銀△88金以下詰み。▲68同銀も△97角以下詰む。
96手目△69馬に▲同金は△89飛以下詰む。▲78歩が正しい応手で先手が逃げ切った。
▲58金△52金の同型は、富岡流が優秀で指されなくなった。
後手は同型を嫌って、△65歩と位を取る指し方もあった。
第3図
後手から動くことはできないが、先手の攻めを待って反撃する姿勢だ。
これも難しいが、機を見て▲45歩と仕掛けることができるので先手不満のない局面だろう。
昭和、平成の頃は▲58金△52金の将棋が多く指されたが、2016年頃から▲48金型の将棋に移行していった。
▲48金から▲29飛と一段飛車に構えるのは、固さよりもバランスを好むソフトの影響だ。
同型はどの戦型でも出てくる。先攻できる先手が有利と思われるが、少しの利を生かすのも大変だ。むしろ千日手が嫌で、無理やり打開させられているケースもある。
横歩取りの同型、雁木の同型、早繰り銀の同型などいろいろパターンがある。
角換わりの同型は先手有利が定説だが、第1図はどうか。
第1図から▲45歩と仕掛けていく。
対して①△45同歩 ②△65歩 に分岐する。
第4図
△45同歩に▲同桂は△44銀▲46歩△43歩と進んで、▲24歩△同歩▲同飛には△13角があり打開が難しくなる。
▲45同銀に△同銀は▲同桂△44銀▲63銀で先手良し。
△52玉は▲63銀のキズを消しつつ、△41飛を見た手だが、▲24歩△同歩▲54銀△同歩▲45桂△44銀▲75歩で先手良しだ。
最終図以下、△63銀と受けたら▲74歩△同銀▲46歩と支えておいて、後手だけ銀を使っているので先手指せる。
△92角と受けると▲93銀△83角▲84銀成がある。
△45銀▲74歩△92角には、▲73歩成△29角成▲62とでも、▲24飛△74角▲23角でも先手良しだ。
第5図
△55銀とかわす方が難しい。
対して▲24歩△同歩▲25歩と継ぎ歩する。
△46銀と出るのは構わず▲24歩と取り込んで先手指せる。
△22歩と受けたら、▲44歩と垂らしておいて▲43角を狙って先手良し。
最終図▲79飛の格好は先手玉も狭く怖い格好だが、後手陣も見た目以上に傷んでいる。
△46銀成には▲29飛で飛車が活用できる。△48金に▲29飛△28歩としなかったのはそのためだ。
どこかで▲75歩と攻めたい。最終図は先手指せる。
第6図
△46銀に代えて△44歩もある。
▲24歩△22歩を入れて▲56銀と引く。▲24歩に△28歩は▲同飛△39角▲38飛△48角成▲同飛△45歩▲63角で先手良し。
△47銀の反撃があるが、▲57玉で受かっている。
△36銀成で△46角を狙う手には、▲58玉と受ける手もあるが、▲63銀と踏み込んで先手指せる。
▲63銀に△同金▲72角△37成銀でも、単に△37成銀でも同じになる。
△45桂に▲67玉だと△37桂不成がある。▲47玉の丁寧に面倒を見れば飛車金の両取りが残っている。
続きをもう少し。
△82飛とかわして△24銀とするのは手強い手だ。
▲24同飛には△46銀がある。
△24銀には▲58銀が冷静な手だ。スペースを埋める受けだ。
最終図以下△35銀は▲48玉△46銀▲47金と受けに回れば、▲73馬など先手に楽しみが多い。
△36銀成に代えて△48銀不成もあるが、▲同玉でさっぱりする。
△52玉と▲63銀をケアすると、▲47銀が手厚い一手になる。
△46金は攻め続ける手だが、後手の攻めが細い。▲47歩△56金▲59飛と催促して先手指せる。
第7図
△44歩は良くなかったので、△25同歩と取ってみる。
▲同桂△24銀▲34銀と出てプレッシャーをかける。▲34銀は次に▲43歩△52玉▲23銀成△同金▲45角の攻め筋がある。
後手は△47歩と反撃する。▲58金には△38角がある。
▲38金にはもう一回△37歩がある。▲39金と引くと△46角で後手指せる。以下▲43歩△52玉▲23銀成とすると△56銀がぴったりだ。△46角は△28歩成▲同飛△38歩成の攻めも狙っている。
よって▲37同金になる。
△48歩成に▲43歩△52玉▲23銀成とすると、△43金で後手玉を逃がす。▲24成銀で銀は取れるが、△47とがある。
そこで単に▲23銀成とする。
対して△58とも好手だ。▲同玉は△23金▲45角△34角で切り返されるので、取ることができない。
▲79玉に△86歩▲同歩△45角と斜めのラインをケアしておく。
最終図は難しいが、後手十分指せる変化だ。
▲34銀と出ないで▲75歩とする手も有力だ。
▲34銀と比べて比較的穏やかだ。
▲75歩に△46歩と垂らすのは、▲74歩△47歩成▲73歩成△同金▲74歩△72金▲44桂と攻め合って先手良しだ。
△92角と受けたら▲44歩△75歩▲27飛としておく。
▲44歩に代えて▲34銀と出るのは、△75歩▲27飛△33歩と催促される。このとき△92角が△81飛に紐をつけていて、▲43歩△52玉▲23銀成がきかない。
△52玉は43の地点から逃げつつ▲63銀をカバーした手だが、▲93角の打ち込みがある。
△52玉で△74角とすると▲34銀△44銀▲46角△35歩▲45歩で銀が取れる。△52玉にも同じようにやると、▲46角に△33歩と打たれて困る。
△92角で△83角なら▲93角はなかったが、△81飛に紐がつかないので▲34銀から▲23銀成の攻めができるようになる。
▲93角以下△44銀▲同銀△41飛とするのはドキッとする手だ。
▲45銀と支えると△81角で後手良しだ。よって▲55銀打とする。
△54歩で銀を取られるが、▲75角成△55歩▲45歩と支えておいて先手指せる。
馬と角に働きの差がある。
△24銀には▲34銀と▲75歩のどちらも考えられるが、▲75歩が勝りそうだ。
第8図
▲25歩に△47歩▲38金△65歩と、攻め合う順はどうか。
▲34歩に△65桂と、わが道を行く戦いだ。
対して▲33歩成△同桂に▲43歩とするのは疑問だ。▲23歩成△同歩を入れるのが正しい。
なぜかというと、△43同金と取られるからだ。
△45桂に▲33とは△同玉▲45桂△44玉の格好が厚い。
進んで△66歩▲同銀△56角が厳しい。▲同歩は△66銀以下詰む。
△57金で必至になる。▲33とから王手は続くが、△52玉ー△63玉で上部が厚く詰まない。
▲23歩成は忘れずに入れる必要がある。
△52玉に▲44銀が好手だ。△同銀は▲66銀で先手指せる。
桂馬を取ると▲64桂がある。
△77桂成▲同玉に△44銀は▲64桂△63玉▲72桂成△同玉▲64金で先手良しだ。
そこで▲77同玉に△67歩成を入れる。▲同玉は△66銀打▲58玉△36歩▲55銀△同銀で、▲44桂と▲64桂どちらも打てない。以下▲56銀△54銀▲55銀△同銀・・・は千日手だ。
▲67同金に△44銀とすれば、▲64桂△63玉▲72桂成△同玉▲64金が打てなくなる。
▲64銀でも△55角と強引に消しに行く。
以下は一例の変化だが、▲64歩は強い踏み込み。最終図▲51飛まで進めば先手指せそうだ。
▲45歩△同歩の変化は膨大だが、先手指せる。
やはり角換わり同型は先手良しかと思われるが、さらに同型を維持する②△65歩の変化が注目されている。