目次
第1図
34手目△65歩と仕掛けるところで、△73桂と跳ねると▲45桂が成立した。
▲66歩は後手の駒組を牽制する意味があった。そこで後手は△65歩▲同歩△73桂と▲66歩を咎めに行く。
対して▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛と手順に下段飛車に構えることができれば先手十分だ。しかし▲45桂に△65桂の攻め合いが気になる。
そこで▲45桂と跳ねるのを我慢して、▲29飛と形を整えたのが第1図だ。
これなら△65桂に▲66銀とかわすことができる。以下△86歩▲同歩△同飛なら▲56銀とする。△64歩には▲97角があり、後手は桂が危ない。
手順 △65銀▲45桂△44銀▲66歩△54銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△84飛。
▲29飛に後手は△65銀と歩交換で満足する。
そこで▲45桂と跳ねていく。△22銀と引くと▲66歩△54銀▲75歩△同歩▲53桂成△同金▲74歩となって先手指せる。△64歩が消えているので▲65桂の筋がちらつく。
▲45桂△44銀とかわしたら、▲66歩△54銀▲24歩から歩交換をする。
△65銀に▲66歩△54銀▲45桂でも合流するが、▲45桂△22銀のとき先手に含みがあるのでこちらの手順の方が勝る。
どっちでも手順でも合流する場合は、より手が広い方(含みがある方)を選ぶのがセオリーだ。
▲29飛と引いた局面で、先手は次に▲75歩がある。△84飛は▲75歩を防ぎつつ、▲71角のキズを消した手だ。
第2図
手順 ▲15歩△同歩▲13歩・・①△同香▲12角・・②△同桂▲14角△41角▲15香。
△84飛と浮かれた局面は先手の手が難しい。▲56銀は△64角が好ポジションだ。▲47金と受けると△55銀左で後手が主導権を握る。
△84飛に▲79玉と引くのは△75歩▲同歩△65歩で、これも先攻されている。先手番らしくない。
そこで▲15歩△同歩▲13歩と仕掛ける。△13同香は▲12角がある。
△13同桂には▲14角△41角▲15香で先手指せる。単に▲15香と走りたいが、△17歩がある。
▲14角△41角を入れておけば、△17歩に今度▲24歩△同歩▲32角成△同角▲24飛△23歩▲27飛で先手良しだ。角金交換でも金の価値が高い。
▲14角は積極的な手だが、代えて▲56銀も味わい深い手だ。△64角なら▲35歩△同銀▲15香で先手良し。▲56銀に△81飛▲79玉と囲っておく。
▲14歩のキズがあり、後手は歩を渡せない。機を見て▲35歩から攻めれば先手ペースだろう。こちらの順も有力だ。
手順 △24角・・①▲35歩△同銀▲71角△61歩▲24飛△同歩▲64角・・②▲95歩△同歩▲同香。
▲13歩に△24角と受ける手はどうか。
対して▲35歩は手筋の突き捨てだ。△同角なら▲15香、△同歩なら▲95歩△同歩▲同香△同香▲25歩で先手良し。
▲35歩で単に▲95歩△同歩▲同香も考えられる。
△35同銀▲71角で、△52金と逃げると▲53桂成△同金▲24飛△同歩▲51角がある。
△61歩は最善の受けだが、▲24飛△同歩▲64角で攻めが続く。
△24角の受けは1筋をしっかり受ける狙いだったが、いつでも▲24飛と切られるので怖い手だ。
手順 △33桂▲15香△17歩▲24歩△同歩▲12歩成△25桂▲11と△18歩成▲49飛△16角▲58銀△37桂成▲56香。
▲13歩に△33桂とするのは攻め合い志向の手だ。▲同桂成△同銀▲12歩成は一足早く桂馬を渡すので、△18歩成▲49飛△67歩で後手ペースだ。▲同金に△55桂がある。
△67歩の筋は後手の狙い筋だが、△45桂▲同歩が△44銀に当たるので一手遅い。細かいところだが、大切なところだ。
△33桂に▲24歩△同歩を入れておくと△18歩成に▲24飛△23歩▲14飛とできる。これは許せないので、△25桂で遮断してから△18歩成と飛車をいじめる。
△18歩成に▲49飛以外に逃げると△26角から△37桂成と攻められる。
▲49飛にも△26角はあるが、▲49飛を咎める意味で△16角と打ちたいところだろう。飛車を逃げると△27角成で手厚くなる。
▲58銀は△37桂成を防いだ手だが、構わず△37桂成がきく。▲同金は△49角成▲同銀△39飛で後手指せる。
▲56香と攻め合った図の形勢は難しいが、先手持ちたい人が多そうだ。
手順 △45桂▲同歩△67歩・・①▲79玉△55銀左・・②▲58玉△45銀直▲46歩△55桂▲45歩△47桂成▲同玉△45銀▲58玉。
△45桂▲同歩△67歩はより過激な手だ。▲同金には△55桂がある。
△67歩に▲79玉とかわすと△55銀左で後手と主張が通る。単に△55銀左▲12歩成△67歩とすると▲58玉や▲59玉と逃げられて先手良しだ。
△67歩には▲58玉とかわすのが良さそうだ。△45銀直には▲46歩から面倒を見て、最終図は駒得の先手が指しやすそうだ。
第3図
手順 △63金▲56銀△64角▲47金△55銀左▲同銀△同銀▲83銀△62飛▲48金。
△84飛に代えて△63金はどうか。
同じように▲15歩△同歩▲13歩とすると、△24角や△13同香▲12角△31玉▲23角成△28歩▲同飛△39角で後手良しだ。このときは△84飛と違って後手の形が良い。
△63金は▲15歩の筋はケアできているが、▲56銀△64角▲47金の変化のとき後手はやや損する。
△55銀左とぶつけていきたいが、▲同銀△同銀に▲83銀がきく。△同飛は▲72角なので△62飛と逃げるが、▲48金と△38銀のキズを消しておいてどうか。
先手は次に▲81角から▲72角成や▲72銀不成を狙うのが早い攻めになる。
△84飛も△63金も一長一短あるところだ。
第4図
手順 △44歩▲56銀△65銀▲55銀△75歩▲同歩△76歩▲88銀△84飛▲66歩△54歩▲64角△53角▲65歩△55歩▲53角成△同金▲62銀。
△65銀に代えて△44歩ともう一手待つ手も考えられる。
▲29飛と引く前に▲64歩とするのは△65桂があったが、▲29飛と引けているので今度は▲64歩もある。
しかし△55銀で次に△64銀や△65桂を見せられて、▲64歩△55銀の交換は先手が得したとも言えない。
▲56銀△65銀▲55銀とするのは△82飛型を咎めにいく積極的な手だ。
△75歩▲同歩△76歩▲88銀に△86歩は▲66歩がある。
▲88銀に△84飛とするのは▲66歩に△54歩を用意した手だ。▲66歩に△54銀とするのは▲同銀で、△同飛は▲83角。△同歩は▲74歩△同飛▲83銀で先手良しだ。
しかし△54歩も▲64角の筋が生まれて後手は怖い格好だ。
最終図▲62銀以下、△63金は▲51角△41玉(△31玉は▲73銀成)▲73銀不成△54飛▲64歩が一例で、先手ペースだ。
まとめ
▲66歩は後手陣の駒組を牽制する一手だ。▲66歩とつくだけで、お互い駒組に緊張感が走る。
後手は△62金-△81飛型を組みたいが、いつでも▲45桂と仕掛けを見せられて素直に組むことができない。
そこで△65歩▲同歩△73桂とするのは、▲66歩を咎める意味があった。
△73桂に▲45桂は△65桂で攻め合いになる。▲45桂とせずに▲29飛とするのは穏やか路線だ。
以下進んで▲29飛と歩交換し、一歩持ったので▲75歩を狙っている。
後手は△84飛か△63金かで▲75歩を受けるが、どちらもメリットデメリットある。
△65歩▲同歩△73桂も仕掛けも先手は十分対応できそうだ。先手有力な変化だ。