相雁木になるには、まず先手が雁木を目指すところから始まる。

先手の雁木に対して、後手は早繰り銀や右四間飛車で対抗するのも考えられる。その将棋だと後手が先に攻めるので、先手は攻めを受け止めて反撃する。後手玉も薄く、攻めるのもリスクがある。

後手雁木で、先手が早繰り銀や右四間飛車にするのはよくある将棋だが、手番の差が大きい。

先手雁木に後手も雁木を目指すのは、後手番らしい選択だ。千日手を歓迎し、先手に攻めてもらいタイミングを見て反撃する。先手は相雁木のとき打開の目途がないと選ぶことができない。

基本図の第1図はお互い同型だ。

第1図

第1図に至る前に後手に駒組の注意点がある。それが△94歩だ。

△94歩のタイミングは△73桂を跳ねる前でも、もっと早くてもいいのだが▲95角と出る筋を消しておきたい。▲37銀から攻めたとき▲75歩とつく筋があるが、△94歩がないと▲95角があるので△84飛と受けない。その場合は△63金になるが玉が薄くなるのが気になる。

あともう一つ、▲37銀の可能性があるときは△64歩を保留したい。△64歩を保留すると▲37銀には△54歩▲26銀△42角▲35歩△64角と角を転換して切り返せる。

△64歩とついても後手は悪くならないが、作戦に含みがある。

▲37銀と出た将棋はどうなるか。後手にはいくつか対策がある。

どうしても△64角と出たいなら直前の△64歩に代えて△31玉や△81飛としてあくまでも保留する指し方もあるが、△64歩とついて問題ないだろう。

△54歩から△42角は一番普通で、無難な対応。

最終図以下、▲34歩△同銀▲38飛は△33歩として先手はこれ以上進めない。単に▲38飛とすると攻めは確実だが重い。△65歩▲同歩△86歩から角交換できれば先手陣は角に弱く後手ペースになる。

△54銀右から△45歩という対策もある。

このとき△94歩がないと▲75歩に△63金になる。△94歩があれば△84飛で形良く受けることができる。

△45歩以下▲34歩△同銀▲38飛△43銀左▲35銀か、△45歩に▲同歩か。ここから一手一手難しい将棋になる。この手順は攻めに比重のある指し方だが、攻めるなら以下の手順の方が勝る。

細かいが、後手が玉の位置を保留して△64歩ー△63銀を急ぎ▲37銀を見て△42玉にシフトする指し方もある。△42角はなくなるが、△45歩から攻めることができる。△41玉でも同じことができるが、△42玉の方が上部に強い(下段に落とされていない)、飛車に強い、という点で思い切り攻めることができる。

△86飛と走った図は後手ペースだ。▲37銀ー▲26銀と出ると△55角のラインができるので後手は角交換を目指したい。

▲37銀からの攻めは十分対応できる。

他の指し方として、▲38飛と寄って一歩交換を目指すのもある。歩交換はできるが手が遅れるので、その間に攻めの形を作りたい。

△34歩を打たない順もあるが、打つのは手堅い順。そして△54銀右を急ぐ。

▲68玉にしたのは▲56銀右と合わせられるようにした意味がある。△65歩▲同歩△75歩と攻められたとき上部を守っている。

最終図で、▲79玉とすると△65歩▲同歩△75歩と後手に先に攻められる。▲37桂とすれば反撃の含みがあるので仕掛けづらいが、今度△35歩▲47金△34銀と盛り上がられる。どちらを選んでも一局だろう。ただ先手番でこの順を選ぶかは別問題だ。

▲35同飛の瞬間に△86歩とつくのも有力だ。▲同歩なら△85歩で継ぎ歩する。▲同歩△同桂で、▲88角は△86歩、▲86角は△45歩で攻めが続く。▲79玉ー△31玉型でも成立する筋だ。

△85歩は取りづらいが、△86歩▲88歩の格好になるのは先手不満だ。

やむを得ない▲86同角だが角道が逸れたので△45歩から攻めることができる。

△45歩では△34歩と打ってから△45歩とする順も有力だ。他にも△34歩▲38飛△65歩▲同歩△54銀右▲77桂△45歩とする順もある。

いずれにせよ、△86歩▲同角と逸らせたので△45歩から攻めるイメージが大切だ。

▲37銀と▲38飛はやや変化球だ。いずれも先手の形が乱れるので後手は十分対応できる。

そこで第1図の同型に戻る。

第2図

第1図から▲29飛△81飛▲68金右とした図。先手の駒組はほぼ終わったので次は▲45歩と仕掛けたい。

後手は①△42金右 ②△22玉 ③△42玉 ④△41飛のどれで待つのが良いか。それ以外の待つ手となると形が乱れそうだ。

△65歩と仕掛ける手もあるが、先手が▲68金右まで寄れているのに対し、後手は△52金。この仕掛けはやりづらいだろう。①△42金右で▲45歩と仕掛けた変化と比較してみると損得が分かりやすい。

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