相掛かりで、後手が△86歩と動く変化を見ていきたい。
目次
第1図 △86歩と動くタイミング
手順 △86歩。
後手が△86歩と動くタイミングはいくつかある。
先手の▲58玉は、▲48金ー▲37桂ー▲29飛と駒組みする意図だ。▲29飛まで間に合うと下段飛車が守りに働くので、後手は△86歩から動きづらくなる。
▲29飛と引かれる前に△86歩と動く順は考えられる。
先手はどう対応するのが良いか。
第2図 △86歩に▲同歩の変化
手順 ▲86同歩△同飛▲87歩△76飛▲22角成△同銀▲77歩△75飛▲82角△92香▲91角成△33桂▲92馬△25飛。
▲86同歩の変化から見ていきたい。
△86同飛▲87歩に△76飛と横歩を取るのが、△86歩と動いた狙いだ。
▲22角成△同銀▲77歩△75飛と収めてから▲82角の打ち込みが気になるが、△92香▲91角成△33桂が強気な一手だ。
代えて△83角もあるが、先手玉の左辺が壁なので後手は強く戦いたい。
▲92馬で香損するが、△25飛とぶつけて後手戦える。
最終図以下▲27香は△同飛成▲同飛△25香▲17飛△29香成とする。瞬間は駒損だが、△28成香ー△25桂と飛車を取る楽しみがある。
△25飛に▲同飛△同桂▲39金も、△15歩と突いて攻めが続く。
第3図 △86歩に▲22角成の変化
手順 ▲22角成△同銀▲66角△81飛▲86歩△同飛▲88銀△64歩▲87銀△81飛▲86歩△65歩▲88角△63銀▲48金△62金▲37桂。
△86歩には▲22角成△同銀▲66角とするのが有力だ。
以下△81飛▲86歩△同飛に▲88銀と上がる。
対して△81飛と引くと▲95歩や▲75歩と攻められるので、後手は△64歩から角を追うが、先手は▲87銀から銀冠に組むことができる。
最終図はこれからの将棋だ。
先手は角を手放しているが、▲88角のラインはよく効いている。
どちらを持ちたいか、人によって分かれるところだろう。
第4図 △64歩▲48金を入れてから△86歩
手順 △64歩▲48金△86歩。
△64歩▲48金の交換を入れてから△86歩と動く順もある。
△86歩に代えて△63銀▲37桂△62金▲29飛△81飛▲56歩△54歩となると、玉の位置以外は同型だ。
この変化はこちらの記事で検討した。
第5図 ▲86同歩と取りたい
手順 ▲86同歩△同飛▲37桂△76飛▲77角。
第1図の△86歩には、▲22角成△同銀▲66角が有力だった。
しかし今回は△64歩が入っている。同じように▲22角成△同銀▲66角とするのは、△81飛▲86歩△同飛▲88銀にすぐ△65歩と角を追われてしまう。
これはこれで一局だが、後手の言い分が通る。
△64歩▲48金の交換が入った場合は▲22角成とせず、▲86同歩としたい。
以下△同飛▲37桂△76飛に▲77角と素直に対応する。
第6図 △88歩▲同銀△65桂にはじっと▲29飛が好手
手順 △88歩▲同銀△65桂▲29飛△75飛▲84歩△24歩▲56銀。
▲77角に△88歩が気になる手だ。
▲88同角は△同角成だし、▲88同銀も△65桂と跳ねられて▲22角成は△78飛成が王手だ。
先手困ったようだが、▲88同銀△65桂にじっと▲29飛が好手だ。△77桂成▲同銀△75飛で角桂交換だが、以下▲86歩と打てば後手の飛車が狭い。
角を取らずに△75飛と引くのが勝り、対して先手は▲84歩と打って次に▲73歩△同銀▲83歩成を狙う。
先手は桂馬を持つと▲26桂が急所の一手になる。▲84歩に△82歩や△62金と受けてきたら▲56銀と上がって△77桂成を催促し、▲26桂を狙えば先手指せる。
ここで検討を打ち切りたいが、▲84歩に対する△24歩が好手なので書いておきたい。
△24歩と突いておけば、将来の▲26桂に△23金と上がって受けることができる。△33玉ー△23玉と逃げる余地ができた点も大きい。
△24歩に▲同飛は、△77桂成▲同桂(▲同銀は△85飛)△87歩▲同金△78角で後手良し。
△24歩に▲73歩△同銀▲83歩成△62銀▲73歩は、△87歩▲同金△77桂成▲同桂△86歩で後手良し。
先手は動くことができず、結局▲56銀と催促することになる。
最終図は形勢不明。△24歩は好手だったが、△75飛が狭かったり後手玉が薄かったりして後手の方が神経を使う展開だ。先手を持って指してみたい。
第7図 △75飛は先手不満なし
手順 △75飛▲29飛△85飛▲88銀△81飛▲56銀。
△88歩を見送って△75飛▲29飛△85飛とするのは、▲88銀と上がって先手不満ない。
先手一歩損だが、手得で主張できる。
▲56銀と上がって次に▲45銀や▲75歩を狙って先手まずまず。
今回は後手が△86歩と動く変化を検討した。
△63歩型なら▲22角成△同銀▲66角、△64歩型なら▲86同歩のように、後手の陣形を見て対応を決めたい。
▲29飛と下段飛車に組む前に△86歩と動かれるのは怖いが、先手十分対応できる。