今回は相掛かりの将棋を検討したい。
目次
第1図 後手の分岐点
手順 ▲96歩△52玉▲16歩△14歩▲46歩△74歩▲47銀。
第1図から2筋の歩交換を後回しにして駒組みを進める。
後手が△74歩や△64歩、△34歩と突いた瞬間に▲24歩と突いて横歩を狙う意図と、▲37桂と跳ねてから2筋の歩交換をして手順に▲29飛と引く意図がある。
▲96歩は、次に▲46歩や▲36歩と突く意味だ。
▲96歩と突いてあれば、△86歩▲同歩△同飛▲47銀(▲36歩と突いた場合は▲58玉や▲37桂になる)のとき、△87歩▲97角と逃げることができる。
ちなみに、△94歩と突いてあれば△87歩▲97角△82飛として、次に△95歩と狙いがあるので成立するケースが多い。
△87歩と打つ将棋の類型として、こちらの記事がある。
この△94歩の有無はとても重要で、このあとも出てくる。
▲96歩にいろいろ指し方があるが、今回は△52玉と上がる将棋だ。
△52玉ー△74歩ー△73桂が一つの理想形で、早い動きに適している。
最終図が後手の分岐点。
第2図 △94歩は△75歩と突く狙い
手順 △94歩▲76歩△34歩▲77角。
△94歩と突く作戦がある。
すぐ△75歩と突くと、▲97角で取られる。
△94歩は▲97角に△95歩を用意して、次に△75歩と突く狙いだ。
△94歩に対して、▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛(▲74飛は△86歩▲同歩△同飛▲75飛△82飛▲87歩△24歩で先手が苦労する将棋。横歩取りと▲47銀型の相性が悪い)△75歩▲68銀・・・のように△75歩を取らせて駒組みするのもあるところ。
△75歩を嫌うなら、先手は▲76歩と突く。
△34歩に▲24歩△同歩▲同飛と交換するのは、もう△23歩と打ってくれない。
△73桂▲28飛△86歩▲同歩△同飛と動いていく順が後手有力になる。次に△76飛を狙っている。
△86同飛の局面は、後手が目指している図の一つだ。
先手が2筋歩交換するなら、△23歩と打ってくれるタイミングで交換したい。
第1図で先手が2筋歩交換を後回しにするメリットを紹介したが、後過ぎると後手に咎められる。
▲77角は8筋の歩交換を拒否した手だ。
最終図に至るまでの手順は、こちらの記事でも検討した。
第3図 雁木に組んで先手作戦勝ち
手順 △33角▲68銀△22銀▲66歩△42角▲67銀△33銀▲36歩。
▲77角に、後手も同じように△33角と上がるのは、▲68銀△22銀に▲66歩と止めて先手が一本取る。
△22銀に代えて△42銀も▲66歩で、後手は駒組みに苦労する。
最終図は先手の作戦勝ち。△52玉の一手が不要になっていて、このあと△41玉と囲うと後手が一手損になる。
第4図 △73桂で先手の応手を見る
手順 △77同角成▲同金△73桂。
△77同角成が勝る。
▲77同桂は△22銀で、▲77桂型が負担になる。
▲77同金に△73桂と跳ねて、▲66歩か▲56銀かを見て、後手は駒組みを変える。
▲56銀だと△33金と上がりやすく、▲66歩だと△33金には▲56角△84飛▲36銀△44歩▲45歩のように動く順があるので△33金と上がりづらい。
この理屈は、第5図で重要になってくる。
第5図 2筋歩交換してから▲77角
手順 ▲24歩△同歩▲同飛△73桂▲77角△同角成。
第2図に戻って、△94歩▲76歩△34歩に、▲24歩△同歩▲同飛とする変化を見ていきたい。
以下△73桂▲28飛△86歩▲同歩△同飛の局面を後手が目指している、と第2図で紹介した。
この局面を避けて、△73桂に▲77角と上がる作戦がある。
第4図と似ているが、意味合いは変わる。
△77同角成▲同金で、△22銀なら▲56銀と上がり、第4図最終図以下、▲56銀△33金の変化を消している。
第4図△73桂に▲66歩△22銀▲24歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△85歩▲75歩には、△86歩▲88歩が入るが、▲66歩が▲56銀に代わっていると△86歩に▲74歩と取り込む手が成立する。
▲47銀型だと、△86歩▲74歩△23銀▲28飛△87歩成▲73歩成△同銀▲83歩△同飛▲65角に△74角の切り返しがある。
第5図最終図、▲77同金△22銀▲56銀となれば先手が得するが、▲77同金に△23歩▲28飛△65桂▲55角△93角という変化がある。
いずれも難解だ。
ちなみに▲77同桂だと、△22銀▲75歩△84飛▲56角△23銀(△75歩▲74歩△23銀だと▲25飛と引かれる。手順前後に注意)▲28飛△75歩▲74歩△24歩で後手指せる。
このとき1筋の交換が入っていなければ▲73歩成△同銀▲15桂で攻めが続く。
こちらの記事で検討した。
第6図 △73桂の変化
手順 △73桂▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△64歩▲76歩△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛。
△94歩は突っ張った手で、一気に激しくなる可能性があった。
代えて△73桂だと穏やかだが、先手の駒組みの自由度も上がる。
△94歩と違って、△75歩と突かれる心配がないので▲76歩を保留できる。
▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛と無事に歩交換して、△23歩保留の形を避けることができた。
一方で、後手は手順に△81飛と下段飛車に構えることができる。
最終図はこれからの将棋だ。
こちらの記事のような進行が予想の一つだ。
この変化も深いので、また検討したい。