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第1図
第1図に至るまでの手順はいろいろある。上記の順は、先手が同型を目指すときの一つの手順だ。
先手が▲58玉とすると、後手は早めに△86歩から飛車先交換をする傾向にある。後からだと先手が▲87歩を保留し、ひねり飛車にする指し方があるからだ。
先手のひねり飛車を警戒して、後手は早めに△86歩から歩交換し▲87歩を打たせるのが主流になっている。
△52玉では△42玉で囲いを済ませ、早めの動きを見せる展開もある。
△52玉で後手も同型を目指せば第1図までは自然だろう。
第1図から①▲22角成 ②▲45歩とする2つの指し方が考えられる。
どちらも似ているが、ちょっとした違いがある。
第2図
①▲22角成は、一手損になるが▲68銀と銀を中央に使おうとする主張だ。
後手が銀を中央で使おうとすると、時間がかかる。よって後手は△24歩から銀冠を目指す。
先手は▲66歩ー▲67銀に、後手は△23銀と銀冠に、お互い目指したい格好に組めた。
▲45歩の位を嫌って、△44歩とつくのは自然のようでも危ない。
▲89飛で次に▲86歩を狙って、△85歩と受けたら、▲45歩△同歩▲同桂が面白い仕掛け。最終図▲46歩で桂を取り返すことができ、桂馬が取れれば▲44桂の先手になる。
先手は打開がテーマだったが、桂交換できるのは大きなポイントだ。
▲89飛と回るのも細かい手で、単に▲45歩△同歩▲同桂△同桂▲46歩とすると△41飛と回られる。
▲89飛△85歩の交換があれば、最後△41飛に▲45歩△同飛▲46歩△41飛▲86歩として先手良しだ。
後手の△44歩は自然のようでもスキを作っている。
第3図
後手は△44歩とつかず、△12香から△11飛を見せる順は有力だ。
▲45歩には△11飛と早速狙っていく。以下▲27飛と受ける手には、△15歩▲同歩△16歩の攻めが狙える。
後手が銀冠に組めるとこの攻めは常に狙える。
第4図
後手の銀冠を嫌って、▲88角と牽制する手も考えられる。これでも△23銀なら▲11角成△33桂▲13香△22角▲12馬で先手指せる。
これには銀冠を諦め、△23金で代用するのが一案だ。
▲45歩ー▲57銀ー▲46銀左ー▲35歩の仕掛けを目指したいが、△75歩が急所の攻め方。
最終図△76角まで進むと、自陣角より持ち角が生きている。
△95歩ではもちろん単に△76角も有力だ。
第5図
打つなら▲66角と打ち、△65歩を突かせた方が勝りそうだ。
これなら▲77角と引きつつ、▲57銀を目指せる。つまり、△65桂が消えている。
一方で最終図以下、△64銀と銀を活用されるので一長一短あるが・・・さっきの△75歩の攻めと比べて後手の攻めの足が遅いので、先手も十分戦えそうな変化だ。
▲66角に△65歩▲77角△23金とする順も有力だったが、△42角と打つ手も有力だ。
すぐ△33角は▲同角成△同桂▲24飛△25歩▲同桂と踏み込む手がある。このとき▲45歩がついてあれば、△45桂と跳ねてはっきり後手良しだ。
つまり、先手の▲45歩を見てから△33角とぶつける意図だ。
といっても、単に△33角▲同角成△同桂▲24飛△44角の変化は案外難しく、単に△33角には▲77桂として、△65歩や△23銀には▲57角と引いて9筋の攻めを狙う方が勝る気もする。
△42角に▲77桂と跳ねると、△65歩▲57角△75歩で後手指せるので、この変化を牽制している意味もあるだろう。
▲66角に△65歩▲77角△42角としなかったのは、▲55歩△同歩▲同角の攻めを牽制した意味がある。先手が5筋の歩をきると、▲56銀右と上がれたり、将来▲53歩の叩けるようになる。
▲66角△42角に▲55歩とすると、△同歩▲同角△54銀▲88角△65銀のドリブルがきく。以下▲77銀△41玉となって、△51飛を見せられると先手不満だ。
まとめ
相掛かり同型の先手は、無難に銀冠を組ませたくない。
銀冠を組ませる場合には、先手陣を後手陣よりも充実させたい。そして先手は打開の目途をある程度立てておく必要がある。
▲66角や▲88角は銀冠を牽制する手であったが、当然ながら角を手放すのでリスクがある。
対して△23金と△42角のいずれも有力だ。先手の手によって後手は使い分けることができる。
そこで▲22角成とせずに▲45歩として、もう一手角交換を我慢する手が有力になる。