第1図
今回は第1図を調べていきたい。この記事はこちらの記事の続きになります。
第1図から①△35歩 ②△42銀 ③△33金を順に見ていきたい。
手順 △35歩▲同飛△63銀▲36飛△42玉▲86飛△85歩▲36飛△54銀▲76歩△86歩▲同歩△同飛▲22角成△同銀▲88銀△33銀▲37桂。
①△35歩は最も自然な一手だ。しかし▲35同飛で先手の飛車が楽になる。以下は駒組になる。
先手は▲86飛と回り△85歩と打たせる。△86歩▲同歩△同飛のとき▲87歩なら▲86飛と回った甲斐がなくなる。▲22角成△同銀▲88銀と反発したい。これで△82飛と引くと、▲83歩△同飛▲72角と反撃できる。
最終図はこれからの将棋だが、持ち歩が4枚あり、先手が主導権を握っている。
▲65飛の位置は不安定だったが、▲36飛が好ポジションになっている。後手としては先手の飛車を素直に戻したくない。
手順 △42銀▲34歩△63銀▲25飛△44歩▲26飛△43銀▲86飛△85歩▲36飛△54銀右▲37桂△24歩▲76歩△23金▲68銀△34銀▲35歩△43銀左。
△35歩と取らず、②△42銀として歩の損得よりも手得を重視する指し方も考えられる。
先手はぐるぐる飛車を回し、▲36飛と構える。△54銀右で次に△45銀があるので▲37桂で防ぐ。これに後手は△24歩から▲34歩を取りに行く。
最終図は一局に落ち着く。先手はこれからどう駒組するか。▲56歩ー▲55歩と銀を追う手は、先手の飛車が少し楽になるので優先度が高い手だ。どちらを持ちたいか好みによるだろう。
手順 ▲16歩△54銀▲35飛△44歩▲76歩△43銀上▲15歩△同歩▲14歩△24歩▲15飛△23金。
もう一つは、先手の歩の多さを生かして▲16歩から端攻めする順だ。
▲16歩にすぐ△44歩と止めると、一手で▲66飛と四段目に引くことができて先手が得する。一回△54銀と上がり▲35飛に△44歩とする。
対してすぐ▲15歩△同歩▲14歩もあるが、△66歩と打ち捨てられると先手の角が使いづらくなる。一回▲76歩と活用する。
▲14歩に△同香は▲16歩△同歩▲15歩で香が取れる。後手は△24歩ー△23金と端を強化する。
最終図以下▲16飛と引いておいてどうか。さっきの順と比べて、後手は端のキズがある。ただ後手玉が△51玉と遠いので、どれくらい効果があるのか不明だ。この順もこれからの将棋だ。
手順 △33金▲76歩△44歩。
①△35歩と②△42銀は先手に▲36飛の格好を許してしまう。もちろん▲36飛の格好を許しても難しいが、③△33金はそれすら許さない、突っ張った手だ。
角交換になると後手は押さえ込みできなくなる。そこで△44歩と止める。先手はどう駒組するか。
手順 ▲34歩△同金▲66飛△63銀▲27銀△32銀。
▲34歩と取り込んで、▲66飛で▲36飛の格好を目指す。しかし△63銀ー△32銀と駒組され、先手の手が難しい。
最終図以下▲36飛は△43金で、△35歩や△45金が飛車に当たるので▲36飛が不安定だ。▲75歩から▲76飛とすれば石田流に組めるが、先手は右辺から手出ししづらい展開になってしまう。安定した▲36飛を阻止した後手の言い分が通る。
手順 ▲35歩△24金▲37桂△36歩▲25歩△15金▲24歩△32銀▲45桂△24歩▲34歩。
単に▲66飛と引くと▲36飛が安定しない。そこで一回▲35歩と押さえる。対して△33金と引くと▲66飛△63銀▲26飛となって、先手作戦勝ちになる。これは安定した▲26飛を実現できている。
後手も▲35歩に△24金と突っ張る。これなら▲66飛に△35金と取れる。
▲37桂△36歩▲25歩は激しい攻め合いだ。対して△15金とかわすと▲24歩で先手良しになる。△37歩成は▲23歩成。△24同歩は▲23歩がある。やむなく△32銀と受けるが、▲45桂で桂馬が助かる。
最終図は先手良し。
後手は▲25歩に△37歩成と踏み込む手が勝る。
手順 △37歩成▲24歩△38と▲同金△32銀▲23歩成△同銀▲24歩△同銀▲23金△54銀▲66飛△13角▲22歩△33桂▲21歩成。
後手は△37歩成と踏み込む。以下ほぼ一本道だ。
▲23金に単に△13角は▲44角と出られてしまう。一回△54銀と飛車を追い、▲66飛で角を影にしてから△13角とかわす。▲75飛は△63桂で飛車が詰む。
最終図の形勢はまだまだ難しい。
これから先の変化は研究以上の変化なので、疲れた方はここまでで打ち切ってもらって大丈夫。研究は机上の空論になることが多い。実戦でやってみないと分からない。
手順 △36歩▲11と△35銀▲13金△63銀上▲97角△64歩▲56香△37歩成。
▲21歩成となった局面は後手の手が広い。△74桂と飛車を追う手も考えられるが、▲56飛と逃げられて先手の飛車も角も働くので微妙なところだ。
△36歩▲11と△35銀は角を見捨て、先手の飛車を狙った手だ。▲13金にじっと△63銀上とする。
指しづらい手だが、バランスが取れている。
手順 ▲37同金△45桂▲38金△65歩▲54香△66歩▲71角△72飛▲53角上成△54銀▲同馬△71飛。
▲37同金は自然だが、この場合は甘い手になる。△45桂▲38金を入れて△65歩と飛車を取りに行く。
△66歩に▲53香成は△56歩がド急所だ。
△72飛に▲53角引成も△同金で、▲同香成は△56歩。▲同角成も△54銀▲同馬△56歩で後手優勢。
最終図も後手良しだ。▲53銀は△同金▲同馬△57桂成▲同玉△55飛で抜かれるし、▲43銀も△46桂▲同歩△25角で抜かれる。▲63銀も△同金▲同馬△46桂▲同歩△36角▲47桂△57桂成で馬が抜ける。先手は迫り方が難しい。
手順 ▲54香△同銀▲37金△55銀▲16飛△15香。
△37歩成に一回▲54香と取ってから▲37金と戻す。▲54香に△38とは▲71角で先手良しだ。
しかし今度▲37金に△55銀がある。▲16飛に△15香で飛車が詰んでいる。
最終図の形勢自体は難しい。どちらを持ちたいかは分かれるところだろう。先手は駒を蓄えて、▲71銀を狙いたい。後手は飛車を取って分かりやすい攻めがある。
まとめ
第1図から①△35歩 ②△42銀 ③△33金のいずれも有力だ。
①と②は▲36飛型に組めるので穏やかな展開になる。組んだあとの駒組は先手の課題だが、先手の言い分は通る。
③△33金は▲36飛型すら許さない手だ。こうなるとお互い主張を通しにいき、激しい展開になる。この展開は後手は知らないと指せない手が多い。駒損だが、バランスが取れている。
いずれも後手有力な変化だろう。