今回は横歩取りで、後手△45角戦法を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 △88角成▲同銀△28歩▲同銀△45角。
▲34飛に△88角成▲同銀△28歩▲同銀△45角とするのが、△45角戦法だ。
昭和の頃に指されていた戦法だ。
流行したが、どんどん研究されて無理筋と結論付けられた。
しかし先手も正しく対応しないと一気に不利になる。
横歩取りは△45角戦法はじめ、△88角成▲同銀△38歩▲同銀△44角や△88角成▲同銀△76飛など一気に激しくなることがある。
横歩取りを指すのが怖い方もいるだろう。
私も奨励会級位者の頃は横歩取りを指すのが怖く、▲34飛に代えて▲26飛や▲28飛と相掛かり模様にしていた。
それでも一局だが、将棋を極める身としてはいかがなものなのか、というように感じていた。
そこで師匠に「横歩取りを指したいが、怖い」と相談したところ、『横歩取りは生きている』という本をいただいた。
この本を熱心に読んで、堂々と横歩取りが指せるようになった。
思い出の本だ。
ソフトが出てくる前の本だが、研究の精度が高く、今なお色褪せない。
第2図 △45角に▲77角の変化
手順 ▲77角△88飛成▲同角△34角▲11角成△33桂▲36香△35歩▲同香△25飛▲33馬△同金▲27桂△62玉。
△28歩を打たずに△45角と打つと、▲24飛△23歩に▲28飛と引かれる。▲28飛と引かれると△67角成▲同金△88飛成と出来なくなる。
△45角に▲77角と打つ手から見ていきたい。
以下△88飛成▲同角△34角▲11角成と駒を取り合う。
対して△33桂と跳ねるのがポイントだ。
▲36香が見えているが、△35歩▲同香△25飛で切り返せる。▲34香△28飛成は後手良し。
▲33馬△同金▲27桂は両方を防いだ手だが、つらい。
△62玉から駒組みして後手不満ない。
第3図 △45角に▲24飛の変化
手順 ▲24飛△23歩▲77角△88飛成▲同角△24歩▲11角成。
▲77角と打つ前に▲24飛が勝る。△67角成▲同金△88飛成は▲21飛成で先手良し。
△23歩と打って、▲25飛なら△67角成で後手良しだ。
△23歩に▲77角と打つ。代えて▲87歩は△76飛▲77歩△66飛が好手だ。▲同歩は△78角成なので▲68玉になるが、△67飛成▲同金△24歩で先手陣が乱れる。
最終図は先手の銀香交換で駒損だが、角を成り込めている。
第4図 △33桂の変化
手順 △33桂▲36香△66銀▲33香成△67角成▲同金△同銀成▲69飛。
△33桂は馬の利きを止める自然な手。
対して▲36香と打つ。代えて▲85飛が▲81飛成と▲33馬△同金▲45飛を見て良さそうだが、△25飛▲26歩△同飛▲39金△38歩▲同金△27銀とされると先手が嫌。
▲82歩△同銀▲85飛も△25飛▲26歩△84歩で切り返せる。
▲36香に△66銀と打つ。△87銀▲79金△67角成もあるが、スピード感に欠ける。
△66銀▲33香成に△67銀成は、▲32成香△78成銀▲31成香で先手一手勝ち。これもスピードに欠ける。
後手は△67角成と角から踏み込む。これに▲32成香△78馬▲31成香なら△57銀成で後手勝ち。
▲67同金△同銀成▲32成香は△38飛が必殺の一手になる。
△67同銀成に▲68歩も考えられるが、△79飛▲48玉△57成銀▲同玉△49飛成▲32成香△同銀で意外と難しい。先手玉が露出しているので怖い。
▲69飛が有力だ。△79飛を消しながらの銀取りだ。
△38飛は▲67飛△28飛成▲32成香△同銀▲63飛成で先手指せる。
△64飛は▲65歩△同飛▲56角や▲32成香△同銀▲79金で受かる。
△87飛は▲98角△68金▲同飛△同成銀▲同玉△66飛(△88飛成▲78金△99竜は▲42成香が王手飛車)▲79玉△67右飛成▲59金打で耐えている。
いずれも先手玉が怖いが、後手の攻めは細い。
第5図 △87銀の変化
手順 △87銀▲77馬△76銀成▲68馬△88歩▲85飛△89歩成▲45飛△99と。
△33桂に代えて△87銀とする変化を見ていきたい。
対して▲同金もあるが、△79飛▲69香△67角成で食い破れられる。
▲77馬は飛車を打ち込まれないようにする指し方だ。
△78銀成▲同馬は先手陣にスキがないので、△76銀成とする。▲同馬は△26飛が両取りだ。
▲68馬に△88歩と打ち、▲77歩△67成銀▲同金△89歩成▲56歩△88飛は互角の将棋。
▲77歩に代えて▲85飛が有力だ。代えて▲46飛でも合流する。
最終図から▲85飛としたいが、△77香の打ち込みにどう対応するか。△77香を避けて▲48玉と上がると△89飛と8筋に先着される。
最終図は先手指せるが、実戦的には難しいところもありそうだ。