今回は横歩取りで、△44角戦法を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 △88角成▲同銀△38歩▲同銀△44角。
▲34飛に△88角成▲同銀△38歩▲同銀△44角とするのが△44角戦法だ。
△88角成▲同銀に△28歩▲同銀△45角とするのが△45角戦法だ。
詳しくはこちらの記事で検討した。
今回は△28歩に代えて△38歩と打つ。▲77桂と受けてきたら△33金(単に△28歩は▲24飛がある)▲36飛△28歩と打つ狙いだ。
後手無理筋だが、先手が初見だと戸惑う。
第2図 ▲87歩の変化
手順 ▲87歩△76飛▲77歩△74飛▲24飛△77角成▲同桂△24飛▲15角△23歩▲74歩。
先手はいくつか対策が考えられる。
一つ目は▲87歩と打つ手だ。△76飛にも▲77歩と打つ。
△74飛と引いた局面で、次の△28歩と△77角成どう受けるかだが、強く▲24飛が好手だ。
△77角成▲同桂△24飛で飛車が取られるが、▲15角が準王手飛車となり取り返せる。
以下△23歩に▲25歩は、△14歩▲24歩△15歩▲23歩成△同金▲45角△41角で受かる。
攻める方向を変えて▲74歩が急所だ。
最終図ははっきり先手良し。
△74飛に代えて△75飛▲24飛△22銀▲28飛△62玉のように振り飛車っぽくする指し方もあるが、後手が一歩損なうえに角を手放しているので主張がない。
第3図 ▲77角の変化
手順 ▲77角△同角成▲同桂△89角▲68玉△78角成▲同玉△68金▲同玉△88飛成▲78金△99竜▲65桂△69銀。
次に▲77角と打つ変化を見てみたい。これなら△76飛が金取りにならない。
対して△同角成▲同桂△89角と打つ。鋭い一手だ。
▲87銀と上がると、△同飛成▲同金△67角成が△68銀▲48玉△57馬の詰めろと飛車取りになる。
▲68玉の受けには△78角成▲同玉△68金と打つ。
対して▲89玉と引くのは△87歩▲79銀△同金▲同玉△88歩成▲68玉△99とで攻めが続く。
▲68同玉△88飛成▲78金△99竜▲65桂と反撃したいが、△69銀で形勢難解だ。
最終図以下▲53桂成は△78銀成▲同玉△33桂で、意外と後続手が難しい。先手玉は薄く、駒を渡しづらい。
第4図 ▲75角なら先手良し
手順 ▲75角△76飛▲53角成△33歩▲54飛△52歩▲68金△53歩▲84飛△72銀▲82飛成。
▲68玉と上がるのがやや疑問で、△78角成▲同玉△68金の攻めを与えて危なかった。
代えて▲75角なら先手良しだ。
△78角成は▲86角△88馬▲65桂と攻める。
△88飛成▲同金△67角成は、▲75角と効果で先手玉が詰めろになっていない。悠々と▲84飛と逃げておいて先手良し。
△76飛には▲53角成と成り、次に▲32飛成を狙う。
△33歩▲54飛△52歩と受けるが、角を捨てて▲68金と寄るのが好手だ。△53歩に▲84飛と回って先手良し。
瞬間は角損だが将来▲79銀と引けば取り返せる。
△72銀にすぐ▲79銀は△95角が気になるので、▲82飛成と竜を作っておいて次に▲79銀を狙うのが良いだろう。
この▲75角は初見だと難易度の高い手だ。
第5図 ▲77桂の変化
手順 ▲77桂△33金▲36飛△28歩▲26角△29歩成▲44角△同歩▲26飛。
▲77桂も有力だ。△同角成▲同銀△89飛成は▲69角で先手良し。
▲77桂に△33金▲36飛△28歩で後手の狙い通りだが、▲26角と切り返して先手指せる。
以下△29歩成▲44角△同歩▲26飛と回った最終図が、後手歩切れで受けづらい。
△12角は▲75角が痛い。△43角に▲75角なら△76飛と寄って難しいが、△43角に▲22歩が間に合う。
後手の狙いにハマったようだが、これも先手良しの変化だ。
まとめ
△38歩▲同銀△44角には、▲87歩、▲77角、▲77桂のいずれも先手良し。
自然に指して、先手が悪くなることはない。後手無理筋と結論付けられている戦法だ。
ただ、先手も初見だと戸惑う。知識として知っておいて損はないだろう。