後手雁木に対する先手の対策を検討したい。

目次

第1図 テーマ図

手順 ▲58金右△74歩▲35歩△同歩▲88銀。

図から▲58金右と▲88銀に分岐する。

▲88銀は▲58金右を保留する工夫だ。こちらの記事で詳しく検討した。

▲88銀には△54銀と上がる手がある。こちらの記事で検討した。

▲88銀に代えて▲58金右なら、△54銀は▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲46銀と仕掛けて先手良し。

一方で、▲58金右には△74歩と突ける。以下▲35歩△同歩▲46銀の仕掛けに△75歩を用意している。スムーズに反撃できるので後手ペースだ。

△74歩に▲55角と出ても、△45歩▲82角成△同銀で香取りが受けづらい。▲58金右が▲88銀に代わっていれば、▲55角△45歩▲82角成△同銀のとき▲78金としっかり受けることができる。

▲58金右△74歩に▲88銀とすると、△62銀▲35歩△73銀で後手の主張が通る。

先手は▲88銀と▲58金右の2手を入れてから▲35歩と仕掛ける展開にしたくない

▲35歩△同歩を入れてから▲88銀とする工夫がある。

▲58金右と▲88銀の2手を入れると後手は▲35歩を取ってくれない。そこで▲58金右だけを指して▲35歩と仕掛け、後手が3筋を手抜いたら先手は▲88銀を省略して指し、△35同歩を見たら▲88銀とじっと駒組みをする。

やや難しめの理屈だ。

第2図 △34銀だと▲68角と引く変化に合流

手順 △34銀▲78玉△62銀▲26銀△52金▲56歩△43金右▲68角。

△34銀と位を守るのは自然な手だ。しかし後手は△35歩を維持しづらい。

▲78玉から駒組みし、▲26銀ー▲56歩ー▲68角と△35歩を狙う。

▲26銀ー▲38飛でも取れるが、△43金右と組まれ、▲35銀△同銀▲同飛△34歩▲36飛となった形が良くない。

▲68角と引いて▲35銀△同銀▲同角となれば、次に▲24歩△同歩▲同角の狙いが残るので、駒の効率が良い。

最終図から△36歩▲38飛△45歩▲36飛△44金や、△75歩▲35銀△同銀▲同角△76歩▲24歩△同歩▲同角△同角▲同飛△23歩▲26飛が予想される進行。

難解な将棋だが、先手を持ちたい。

△34銀と上がる変化は、第1図の▲58金右に△52金と上がった変化に合流している。

△52金と上がる変化は、こちらの記事の変化で詳しく検討した。

第3図 すぐ▲26銀は△45歩が気になる

手順 △34銀▲26銀△45歩。

第2図の変化では、△34銀に▲78玉と寄った。代えてすぐ▲26銀はどうか。

これに△52金と上がるのは、▲38飛△43金右▲55角△92飛▲35銀△同銀▲同飛△34歩▲36飛として先手指せる。△62銀が間に合っていない。

▲26銀には△45歩が勝る。以下▲38飛と寄ると、△77角成▲同銀△86歩▲同歩△88歩▲同銀△55角と反撃できる。

△34銀に対する▲78玉には、△86歩▲同歩△88歩の反撃を消す意図があった。▲78玉△52金▲26銀に△45歩なら、先手は安全に▲38飛と寄れる。

第4図 ▲88銀に△54歩の変化

手順 △54歩▲26銀△75歩▲35銀△76歩▲66角△45歩▲24歩△66角▲同歩△24歩▲33歩△同桂▲24銀。

△54歩と突く手も考えられる。▲26銀に△75歩と仕掛け、▲同歩なら△76歩▲66角△64歩と角をいじめる狙いだ。

先手は△75歩を手抜いて▲35銀と進出する。

以下△76歩▲66角△45歩▲24歩△66角▲同歩△24歩となって、そこで先手の手が広い。

▲37角もあるが、手抜いて△86歩が気になる。▲同歩△87歩▲同銀△88歩と進むと後手良しだ。

▲78玉は有力。この一手を指すだけでぐっと先手陣が安定する。ただ△76歩がある状態で▲78玉と寄るのは違和感がある。

激しくいくなら▲33歩だ。△同桂▲24銀と進んだ最終図は先手好調だ。以下△25歩の受けに、▲38飛△34歩▲35歩△同歩▲同銀として攻めが続く。

まとめ

今回は後手雁木に対して▲37銀と繰り出す将棋を検討した。

▲88銀と▲58金右はともにメリット、デメリットがあり比較が難しい。

▲88銀だと△54銀があるが、▲58金右だと△54銀は成立しない。

一方、▲58金右だと△74歩と突きやすい。

対して▲35歩△同歩▲88銀とするのが先手の工夫だ。

①△34銀▲78玉△62銀▲26銀△52金▲56歩△43金右▲68角の進行は、後手が△52金と上がる将棋に合流していて、先手不満ない。

▲35歩△同歩の突き捨てを咎めるなら、②△54歩▲26銀△75歩だが、構わず▲35銀と出て先手持ち。

▲35歩△同歩▲88銀の指し方は先手有力だ。

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