今回は後手雁木に▲37銀と繰り出す将棋を検討したい。
目次
第1図 ▲77角と上がる
手順 ▲37銀△43銀▲68玉△32金▲77角。
図は後手が△32銀型にしているのが工夫だ。
△32銀型に組むメリットは、こちらの記事で検討した。
△32銀型に対して先手は、居玉のまま▲37銀と繰り出すのが有力な対策だ。
こちらの記事で検討した。
△43銀で通常に雁木に戻ったのを見て▲68玉と上がる。
△32金に▲58金右と上がるのは、こちらの記事で検討した▲58金右保留の変化にできなくなる。
▲58金右を保留することで、一手早く仕掛けることができる点と▲58玉と逃げ出せる点にメリットがあった。
△32金に▲78銀もあるが、△85歩▲77角△52金の変化になったとき、こちらの記事の変化ができなくなる。
▲78銀ー▲79玉よりも▲88銀ー▲78玉と組んだ方が8筋が固い。これは重要な理屈で、このあとも出てくる。
先手は▲88銀と上がりたい、△52金を見てから▲58金右と上がりたいと思っているので、▲77角と上がる。
第2図 △84歩型のまま駒組み
手順 △52金▲58金右△54歩▲46銀△74歩。
▲77角に△85歩とすると通常の形に戻る。
後手は△52金と上がる。△52金と上がることで、▲35歩△同歩▲46銀に△34銀▲38飛△43金右と上がれるようになる。
△52金を見て先手は▲58金右と上がる。
▲58金右に△62銀と上がると、こちらの記事で検討した変化になる。
以下▲26銀△54歩▲35歩と仕掛けて先手不満ない。
▲26銀に代えて▲46銀と上がると△74歩▲35歩に△45歩と対応される。▲26銀と上がれば△45歩がない。
▲58金右に△54歩が工夫の一着で、これなら▲26銀に△42角▲35歩△64角と牽制できる。
一方、△54歩と突くと▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀(△同銀は▲24飛)の筋ができるので、先手は▲46銀と上がりやすくなる。
第3図 ▲88銀の場合
手順 ▲88銀△62銀▲35歩△53銀▲38飛△64銀▲34歩△42角▲35銀△75歩。
第3図から▲35歩と仕掛けると、△45歩▲同銀△77角成▲同桂△75歩▲同歩△35歩で次の△76歩が受けづらい。
▲35歩と仕掛ける前に、△77角成に▲同銀と取れるようにしておく必要がある。
まずは▲88銀と上がる場合を見ていきたい。▲88銀ー▲78玉の格好を目指す意図だ。
▲88銀に△62銀▲35歩△53銀▲38飛△64銀と銀を繰り出す。
△64銀に代えて△45歩もあって、以下▲33角成△同金▲34歩△同銀▲35銀△同銀▲同飛△44角で後手良し。最後の図で▲78銀型なら、▲36飛△99角成▲22角として先手指せる。
▲88銀型の場合は△34同銀に▲37銀と引いてどうかという将棋になる。
最終図以下▲44銀△76歩▲66角△55歩と進んで先手の角が狭い。
最終図の△75歩の局面で▲78玉△85歩が入っていると、こちらの記事の変化になる。
その場合は△75歩に▲24歩△同歩▲22歩として攻めが続いた。△76歩に▲95角が王手になるのが大きい。
最終図の局面で、▲88銀が▲78銀になっていれば▲44銀△76歩▲88角と引いて先手良し。
▲88銀と上がると先手の角が狭くなるので、後手は銀を繰り出して△75歩と仕掛ける順を選びやすい。
第4図 ▲78銀を見て△85歩
手順 ▲78銀△85歩▲35歩△75歩▲同歩△45歩▲同銀△35歩。
▲78銀なら△76歩に▲88角と引ける格好なので、第3図の変化はやりにくい。
▲78銀を見て△85歩と伸ばす。
▲88銀ー▲78玉の格好は8筋が固いが、▲78銀ー▲79玉の格好は8筋が薄いので、▲78銀を見て△85歩と突いている。
▲35歩に△45歩▲同銀△35歩とすると、▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀(△同銀は▲24飛で先手良し)△25歩▲43銀成△同金右▲24歩(次に▲21角の狙い)が気になる。
▲35歩に△75歩▲同歩を入れておけば、最後▲24歩に△86歩▲同歩△88歩▲77桂△76歩として後手指せるし、▲54銀にすぐ△86歩▲同歩△88歩も有力だ。
最終図以下▲56銀と引くと△86歩▲同歩△88歩がある。
一回▲79玉と引き、△62銀に▲56銀と引いてどうか。
▲79玉に△55歩の銀挟みが気になるが、▲24歩△同歩▲25歩△44歩(△同歩は▲37桂)▲24歩△22歩▲34歩△42角▲55角△45歩▲23歩成△同金▲24歩として先手指せる。
第5図 ▲58金右を省略した場合
手順 ▲88銀△54歩▲46銀△74歩▲35歩△45歩▲同銀△35歩。
△52金に▲58金右と上がらず、▲88銀を優先させる手も考えられる。
▲58金右の一手分、早く▲35歩と仕掛けることができるが、△45歩▲同銀△35歩と対応され、後手が十分に戦える。
最終図以下、▲24歩△同歩▲33角成△同桂▲54銀は△55角で後手良し。
▲58金右△62銀の交換が入っていれば、△55角に▲46角と切り返して先手良しだった。
最終図以下▲78玉と寄ると、△55歩は▲24歩△同歩▲25歩で先手指せるが、△44歩▲56銀に△72飛や△62銀ー△53銀ー△64銀のように角を目標にされる展開が気になる。
△72飛と寄る展開になると△85歩の一手が不要なので、△84歩型が生きている。
角を目標にされる展開を先手が嫌うなら、最終図から▲33角成△同桂▲56銀とするが、先手が手損になるので後手不満ない。
後手が△84歩で待機し、▲88銀なら銀を繰り出し、▲78銀を見て△85歩と伸ばすのは有力な作戦の一つだ。