今回は後手四間飛車の変化を検討したい。
現状、後手四間飛車にはこちらで検討した▲68金寄の作戦と、今回検討する作戦が有力と見られている。
いずれも有力な作戦で、棋風によってどちらを選ぶか分かれるところだ。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲36歩△82玉▲77角△72銀▲88玉。
第1図から▲36歩と急戦を見せつつ、後手の手を見る。
△62金上や△74歩、△54歩のような手には、▲46銀ー▲35歩と仕掛ける。
△82玉は囲いを優先した手だが、△82玉を見て先手は▲77角から穴熊に組みに行く。
慎重な駒組みだ。
第2図 ▲36歩を突かずにすぐ▲77角から穴熊
手順 ▲77角△74歩▲88玉△73桂▲66歩△64歩▲67金△82銀▲98香△81玉▲99玉△71金▲88銀△45歩▲79金△54銀。
▲36歩を突いて△82玉を見て穴熊を組むのが慎重な駒組みだが、すぐ▲77角から穴熊を目指す順も考えられる。
▲77角を見たら、△74歩から駒組みがしやすい。
△82玉ー△72銀と美濃囲いに囲わず、△82銀ー△81玉とミレニアムに囲うのが後手の工夫だ。
美濃囲いよりも固く、深い。一歩持ったら△95歩▲同歩△85桂と攻めることができるのも利点だ。
△81玉に代えて△62金上とし、▲99玉を見て△93銀ー△84銀と繰り出す作戦もあるところ。
最終図はこれからの将棋で、後手も十分戦える。
第3図 ▲36歩を咎める△32飛
手順 △32飛。
▲36歩△82玉▲77角と駒組みすれば、後手は第2図のようにミレニアムや△93銀と上がる作戦はできない。
第3図から△74歩▲98香△73桂▲99玉△54銀(△65桂は▲55角)▲66歩△84歩▲88銀・・・のように駒組みになれば、先手不満ない。
早めの▲36歩と咎めようと、後手は△32飛と寄る。
次に△35歩▲同歩△45歩と動く狙いだ。
先手はどう待つか。
第4図 ▲78銀の変化
手順 ▲78銀△74歩▲86歩△64歩▲87銀△73桂▲66歩△84歩▲78金△83銀▲67金右△72金。
次に△35歩▲同歩△45歩を狙っているので▲78銀と連結を良くしておくのは自然な一手。
▲78銀に△35歩▲同歩△45歩は、▲66銀△44角▲24歩△35飛▲37歩△24歩▲同飛△33桂▲55銀で先手良し。
▲78銀に仕掛けるのは無理筋だ。
一方で、先手は穴熊に組みにくくなったので、後手は駒組みする。
△73桂に▲68銀と引いて▲98香ー▲99玉ー▲79銀ー▲88銀のように穴熊を目指す順もあるが、手数が掛かるので、△84歩ー△85歩や、△52飛と回って△55歩▲同歩△45歩の仕掛けが気になる。
最終図は一局。
先手としては打開できるかどうか不透明で、もっと先手番の利がある指し方を選びたいところだろう。
第5図 ▲78金の変化
手順 ▲78金△35歩▲同歩△45歩▲66銀△44角▲24歩△35角▲37歩△24角▲75銀△33歩。
▲78銀に代えて▲78金は妥協していない一手だ。
先手は穴熊の余地を残しているので、後手は第4図のように駒組みしづらい。
一方で、▲58金が浮いているので△35歩の仕掛けが気になる。
△35歩▲同歩△45歩▲66銀△44角▲24歩に△35角と出る。
▲23歩成は△79角成▲同金△39飛成で後手ペース。
▲78銀型だと△79角成と切れないので、△35角は利かなかった。
△35角▲37歩△24角と手順に歩を取ることができた。
△24角に対して▲57銀は△33桂が利く。以下▲36歩△12香▲68金右のように指すと、△25桂▲同飛△36飛と捌かれる。
このとき▲57銀に代えて▲75銀になっていれば、後手玉にプレッシャーがかかっているので先手指せる。
よって▲75銀には△33歩と辛抱することになり、一見辛そうだが、後手が一歩得なのでいい勝負だ。
最終図以下、後手は次に△42飛ー△54銀や、△22飛ー△35角と活用したい。
最終図は後手の飛角が凝っている格好だが、ほぐれれば後手ペースになるので、ここ数手が先手の勝負所だ。
△32飛に▲78銀か▲78金か、研究課題だ。