目次
第1図
最初後手は△32飛と三間飛車に構え、穴熊に組み終えたあとに△42飛と戻すのは、最近発見された指し方だ。
先手はどう打開するかがテーマなので、後手が一手損するのはさほど気にならない。
後手としては千日手は大歓迎、もし先手陣にスキがあったら攻め込む、の姿勢だ。
ではなぜ三間飛車から四間飛車にするのか。
最初に三間飛車に構えるのは▲66銀型に組まれるのを警戒した意味がある。
第2図
四間飛車の場合、△54銀に▲66銀を警戒する必要がある。
△45歩は怖いが▲57銀と角交換を迫れば、後手の駒組が不自由になる。
後手はなかなか△45歩とつけないので駒組に入るが、お互い穴熊に囲った図は先手の作戦勝ちだ。
▲66歩の格好よりも▲66銀と格好の方が、銀を攻めにも守りにも使いやすい。
▲66銀型で先手に穴熊を組ませるのは後手不満だ。
そこで▲66銀を見たら穴熊を諦め、△74歩ー△73桂と早い攻めを狙う手は考えられる。
△72金か△72銀かの比較は難しいが、△72金は玉の固さを意識した指し方。
▲99玉に△73桂▲88銀△45歩だと、▲68角と受けられる。▲99玉のタイミングで△45歩ならば、▲68角に△65銀とすることができる。
△45歩に▲57銀は常套手段。このときに△77角成▲同金△73桂▲66歩△65歩と仕掛けるための△74歩だった。
最終図で、すぐ▲24歩は△同歩▲同飛△35角で後手良しになる。▲57銀が紐がついている場合には△33角の打ち直しが効果的だ。
△62飛の転回もあって、たくさん攻めることができるが、先手玉の方が固いので反撃には気を付けたい。先手としては銀桂交換の駒損になっても玉の安全度を優先したい将棋だ。
第3図
後手が三間飛車のときも、▲66銀を見たら後手は穴熊を諦めて△72銀と美濃に組む。
そして△35歩から石田流を目指す。このとき▲66銀と形を決めているので▲46銀と上がる筋がなくなっている。
先手が▲66銀に組むには▲49金型で保留していることがポイントで、△36歩▲同歩△同飛のとき△39飛成を受けている。▲58金右の格好ならより△35歩と石田流を目指しやすくなる。
▲66歩にも△35歩と石田流を目指すと▲46銀がきく。
▲68角ー▲35銀のように後手の△35歩を逆用することができる。
これが▲66銀と▲66歩の違いだ。
後手は終始、▲66銀型の相穴熊を嫌っている。
▲66歩を見て後手は穴熊を目指す。
第4図
第1図について考察してみる。
第1図は、後手が四間飛車で先手が▲66銀型を目指さなければ、後手の手番でも実現しうる局面だ。
後手の手番で△62金寄は固くなっているが、▲51角のキズができていて一概に得とは言えない。仮に△72金まで寄れても▲86角の揺さぶりがある。
△64歩とつくと、▲36歩△45歩に▲35歩以下の仕掛けが成立する。▲65歩に△22飛の受けには▲64歩と取り込むことができる。
これが△63歩型なら、▲65歩に△77角成▲同銀△22飛で何でもなかった。
この仕掛けを消すために、△63歩型にしている。
▲36歩は次に▲35歩△同歩▲38飛を狙っていて、△45歩は▲38飛に△44角を用意した意味がある。
第1図が後手の手番なら、△14歩や△45歩で待つことが予想される。
こう見てみると第1図が後手の手番でも、指したい手が少ないことに気づく。後手陣は現状でも最善形だ。
第1図で先手がどう打開するかが課題になる。