テーマ図
今回は後手三間飛車から相穴熊に組む変化を検討したい。
△32飛から△42飛と戻る仕組みについてはこちらの記事で検討した。
三間飛車から穴熊を目指すのか、四間飛車から穴熊を目指すのか、人によって思想が変わるところだ。細かい部分の思想はそれぞれだが、三間飛車から穴熊にする大部分なメリットは、先手の対応によって△35歩から石田流を目指せることだ。
後手は△54銀と出て▲66歩と突かせたいが、四間飛車だと△54銀に▲66銀や▲86歩の変化を選びやすい意味がある。三間飛車で△54銀に▲66銀や▲86歩だと△35歩と突く含みがあるということだ。
▲36歩と突く変化
手順 ▲36歩△45歩▲78金寄△62金寄▲16歩△14歩。
まず▲36歩と突く変化が考えられる。次に▲38飛から歩交換を狙っているので、△45歩と突く。これなら▲38飛に△44角で受かる。
後手は△64歩を突いていないのがポイントだ。△64歩が突いてあると、△45歩に▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲65歩で先手良しになる。△63歩型のままなら最後▲65歩が歩取りにならないので、△22飛で受かる。
最終図から先手の方針に悩む。▲86角から▲75歩を狙ってみたり、▲59角から▲37角や▲26角と揺さぶってみたりする。じりじりとした戦いになる。後手は千日手歓迎なので、△43飛ー△41飛のように待っていればよい。
▲26飛から▲36飛の変化
手順 ▲26飛△45歩▲36飛。
▲36歩と突く変化も一局の将棋だが、先手の打開の目途が立ちづらい。▲26飛から▲36飛と寄る変化を調べたい。
△45歩と突かれてから▲26飛と上がると、△44角▲28飛△33角で千日手模様になる。△42飛の前に△45歩と突けば▲26飛に△44角を用意できるが、▲65歩がある。以下△77角成▲同金△22飛▲66銀と盛り上がって先手作戦勝ちだ。
▲36飛に△44飛は▲65歩で先手良しになる。△43銀か△43金かの分岐になる。
△43銀の変化
手順 △43銀▲78金寄△44角▲46歩△同歩▲同飛△33桂▲36歩△54銀▲49飛。
△43銀の変化から。
▲78金寄に△44角と▲26飛と戻らせないようにする。その角を目標に▲46歩と突く。
△46同歩に▲同銀は△75歩▲同歩△76歩▲68角△66角が嫌味。▲46同飛が良さそうだ。
△33桂▲36歩△54銀▲49飛と進んだ最終図は先手十分。先手玉の方が固いので、先手は強い戦いができる。
手順 △33角▲36歩△32銀▲45歩△43銀▲37桂△54銀▲16歩△14歩▲68銀△62金寄。
△33桂に代えて△33角は有力だ。▲49飛には△54銀。▲68銀には△44銀。▲36歩は△32銀と、先手の手に対応して銀を動きを決める意図がある。
▲36歩△32銀に▲42飛成は△同金で、後手陣へ飛車の打ち込みがない。現代の穴熊は固さだけでなく、バランス感覚が求められる。
最終図はこれからの将棋。先手は4筋がやや重い。先手はうまく駒組して作戦勝ちを狙うか、または打開できるかが焦点になる。
手順 △33角▲45歩△54銀▲34飛△45銀▲74飛△54銀▲46歩△45歩▲55歩△同角▲95歩△73歩▲75飛△95歩▲45歩。
△46同歩▲同飛△33角の他に、単に△33角と引く手も考えられる。▲45歩と取らせて△54銀と出る。
▲34飛△45銀▲74飛△54銀に▲46歩と受けて、先手が歩得で指しやすい。9筋の付き合いがないと、先手はやりづらい変化だ。
▲46歩△45歩に▲55歩が好手。△同銀は▲65歩で、△46歩▲71飛成△同銀▲34金で先手良し。
最終図▲45歩と戻した図は先手指せる。△45同飛は▲56銀があるので、後手の飛車がなかなか捌けない。
手順 △45飛▲24歩△同歩▲22歩△43金▲36飛△49飛成▲21歩成△34歩。
△45銀に代えて△45飛はどうか。▲46歩は△25飛▲33飛成△同桂▲34角△62金寄▲25角△同桂で振り飛車が捌ける。
△45飛に▲24歩と突く。△同角は▲46歩△25飛▲32飛成。△43金は▲33飛成△同金▲23歩成△同金▲86角△62金▲46歩△25飛▲44角で先手指せる。
△24同歩に▲22歩と打つ。△43銀は▲36飛△22角▲46銀△25飛▲26歩△85飛▲65歩と進む。△77角成とすると▲同桂が飛車に当たるので△44歩と受けるが、▲57銀△65飛▲55歩で後手の飛車が狭い。
▲22歩には△43金になって、最終図がどうか。先手の飛車が捌きづらいが、先手玉が固く、先に桂香の駒得したのも大きい。
▲46歩と突かずに▲68銀もある
手順 ▲68銀△24歩▲55歩△25歩▲65歩。
△44角に反応して▲46歩と突くのは有力だが、△33角や△同歩▲同飛△33角と対応して、後手が待ち構えるところでもある。
じっと▲68銀と固めるのも有力だ。離れ駒をなくして、強い戦いができる。
△24歩は▲同歩なら△22飛の狙いだが、▲55歩と大きく模様を取る。△同角なら▲24歩△22飛▲26飛と寄る余地ができる。
△25歩に▲65歩と突いて一歩を犠牲に歩を前に進めることができた。最終図から次に▲54歩や▲46歩が狙い筋になる。とにかく先手玉が固いので、形勢以上に先手が勝ちやすそうだ。
△43金の変化
手順 △43金▲26飛△64歩▲78金寄△63銀▲68銀△72銀▲36歩。
△43金と上がる変化はどうか。手堅い受けである一方、金が玉から離れるのでより薄くなる。
同じように▲78金寄とすると△44角で▲26飛と戻れなくなる。▲46歩としても▲45歩△同銀と取れる格好なので効果が薄い。△43金を見たら▲26飛と戻る。
以下お互い銀をくっつける。先手玉は4枚穴熊で固く、強い戦いができる。後手は△44金と前に進めて、押さえ込みを狙うイメージだ。
最終図は一局だが、先手不満ないだろう。
まとめ
△42飛に▲36歩と突くのも一局だが、先手が少しでも得する駒組を目指すとき、▲26飛ー▲36飛の揺さぶりは有力だ。△43金は▲26飛と戻っておいて、後手玉が薄くなる。
▲36飛に△43銀だと、▲78金寄△44角に▲46歩と反発するか、▲68銀と固めるかの分岐になる。後手は2枚穴熊なので強い戦いができない。押さえ込みを狙ったり、陣形を低くして待つ、バランス重視の将棋になる。
先手は攻めを繋げる技術が求められるので一手間違えると大変な将棋だが、基本的には先手不満なしとみたい。