テーマ図
今回は相穴熊の将棋を検討したい。相穴熊の中でも、△61飛と回る将棋は積極的な指し方だ。昔からある将棋だ。
最近の後手相穴熊は、打開されないように待つがテーマだ。△61飛と回って△65歩の仕掛けを狙うので、その思想とは異なる。
まずはテーマ図に至るまでの後手の分岐を見ていきたい。
態度を保留する△64歩
手順 △64歩。
▲57銀と上がられた局面は後手の分岐だ。△64歩として、囲いの態度を保留する指し方もある。対して▲98香には△35歩、▲67金には△92香の思想だ。
その将棋はこちらで検討した。
△64歩を突かず、ずぐ△92香と上がる将棋もある。
△64歩を突かずに穴熊に組む
もう一つは、△64歩を突かずに穴熊に組む順だ。これが冒頭で紹介した打開されないように待つがテーマの将棋だ。後手番なので千日手は大歓迎だ。
工夫は△64歩を保留している点。最終図で△74歩の代わりに△64歩になっていると、▲36歩で次に▲35歩△同歩▲38飛を狙い、△45歩と▲38飛に△44角の受けを用意するが、そこで▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲65歩の仕掛けが成立する。
▲65歩以下、△77角成▲同銀△22飛だと▲64歩と取り込める。これが大きい。△64歩を突いていなければ▲65歩に△22飛と回って何もない。
最終図から、▲26飛ー▲36飛と揺さぶったり、▲36歩ー▲59角のように角を転換したりという将棋になる。
テーマ図の△61飛
手順 ▲36歩△45歩▲68銀。
テーマ図に戻る。
テーマ図から▲68銀と固めると、△65歩▲同歩△同銀と仕掛けられる。先手の角が目標になっていて、先手不満だ。
一回▲36歩と突いて、▲35歩△同歩▲38飛を狙う。後手は△45歩と突いて、▲38飛に△44角を用意する。△45歩を見て▲68銀と固めるのが良い手順だ。
これなら△65歩の仕掛けには、角交換が見込めるので負担にならない。
手順 △14歩▲24歩△同歩▲65歩△同歩▲33角成△同桂▲24飛。
▲36歩△45歩▲68銀は後手からの△65歩を牽制しただけでなく、もう一つ狙いがある。△14歩と待つと、▲24歩△同歩▲65歩と仕掛けて先手良しになる。
▲68銀と引くところで▲24歩△同歩▲65歩とすると、△77角成▲同銀△39角がある。▲68銀は先手玉を固めつつ、次に▲24歩△同歩▲65歩を狙った手だった。
△65歩の仕掛け
手順 △65歩▲24歩△同歩▲65歩△66歩▲64歩△65銀▲22歩。
▲68銀と引いた局面は、次に▲24歩△同歩▲65歩があるので後手は忙しい。△65歩と仕掛けることができるかどうかが重要だ。
△65歩に▲24歩△同歩▲65歩と戻す。後手に一歩渡すので△66歩と垂らされるが、▲64歩△65銀▲22歩として先手指せる。
△66歩にすぐ▲22歩△65銀▲21歩成△76銀▲11と、としても先手指せる。△33角が浮いているので△67歩成とできない。この順も有力だが、「大駒は近づけて受けよ」で▲64歩は損のない手だろう。
△14歩▲16歩の交換が入っていれば、▲22歩に△13桂と逃げて大変なのだが・・・
手順 ▲65同歩△46歩▲同歩△77角成▲同銀右△57角▲22角△46角成▲27飛。
△65歩に▲24歩△同歩▲65歩の順も先手指せるが、単に▲65同歩も有力だ。
△57角に▲22角と打って、香得が確定する。このときも△14歩▲16歩の交換があれば△13香と逃げることができる。
△46角成に▲18飛は、△65飛▲11角成△25飛が気になる。最終図▲27飛と逃げた図は先手良し。△36馬▲28飛△46馬の千日手狙いも、▲37歩で問題ない。
手順 △65同銀▲33角成△同桂▲55角△39角▲38飛△66角成▲同角△同銀▲67歩△49角。
△65同銀も考えられる。対して▲33角成△同桂▲55角は、△43金や△42金と受けさせてから▲24歩として当たりを強くする意味。しかし▲55角の瞬間、△39角が好手だ。
最終図の形勢は難しいが、先手を持って自信がない。
手順 ▲24歩△76銀▲33角成△同桂▲23歩成△27歩▲18飛△66歩▲33と△67歩成▲同銀△同銀成▲43と。
△65同銀には▲24歩が勝る。△同歩は▲33角成△同桂▲24飛で先手良し。
▲24歩に△76銀が怖いが、強く▲33角成△同桂▲23歩成と攻める。△76銀と取ると▲72歩の叩きができるので後手陣も弱体化する。
△27歩▲18飛で縦に飛車が使えなくなるが、と金の攻めに期待している。
△66歩▲33と△67歩成▲同銀△同銀成に▲同金△同飛成▲85角△61竜▲72歩△同金▲52角成△同竜▲64桂△63竜▲72桂成△同竜▲43と、も目につくが、以下△62歩▲53と△44角で際どい勝負だ。
△67同銀成に▲同金と取らず、▲43とで先手良し。△同金は▲52角、△51金は▲53とで攻めが続く。
まとめ
今回は相穴熊で△61飛と回る将棋を検討した。
△65歩の仕掛けには、▲24歩△同歩▲65歩も単に▲65同歩も先手指せる。△65歩の仕掛けができないとなると、そもそもテーマ図の後手の設定が悪い。
テーマ図は先手は４枚穴熊に対し、後手は２枚の穴熊だ。△52金がまだくっついていない。玉の固さの差が、そのまま形勢に影響している。