今回は後手雁木に先手が矢倉に囲う指し方を検討したい。
目次
第１図 テーマ図
手順 △52金▲78金△64歩▲69玉△73桂。
後手雁木に先手が矢倉に囲う変化だ。
△85歩を保留して、△84歩型で待機しているのが工夫だ。
△85桂と跳ねる余地を残している。
第２図 ▲46角の変化
手順 ▲46角△73桂▲78金△54歩▲69玉△41玉▲66歩△42角▲67金右△64歩▲79玉△63銀▲88玉△81飛▲96歩△94歩▲16歩△14歩。
第１図の検討に入る前に、先手が▲46角と牽制する変化を見ていきたい。
後手が△64歩を保留しているのは▲37銀ー▲26銀と棒銀で攻めてこられたとき、△54歩ー△42角ー△64角と転換する余地を残す意味だ。
△64歩保留を咎めようと、▲46角と牽制する指し方がある。
こちらでも紹介した。
最終図、△81飛が△85歩に代わっていればこちらの記事になる。
どう違いが出るか。
△85歩型の変化と比較して見ていきたい。
第３図 △84歩型が生きる
手順 ▲57銀△31玉▲55歩△同歩▲同角△54銀右▲37角△45銀▲26飛△22玉。
第３図から▲37銀と上がると、△85桂▲86銀△45歩▲68角△33角で後手ペース。
角のラインで玉を狙うことができる。
△85歩型で検討したように▲57銀△31玉▲55歩と仕掛けるのは、△同歩▲同角△54銀右▲37角△45銀と進出する。
△45銀に代えて△35歩▲同歩△36歩▲48角△65歩もあるが、▲56銀△66歩▲同角のように進んだときは△85歩型の方が先手玉を攻めやすい。
△84歩型を生かす意味でも△45銀を選びたい。
△35歩に対して、△85歩型のときは▲46角が用意の切り返しだったが、それは△36歩に▲75歩△63銀▲74歩△同銀▲75歩△63銀▲56銀とできるからだ。
△84歩型では▲75歩に△95歩▲同歩△85桂とされるので、△35歩に▲46角は利かない。
△45銀▲26飛に、じっと△22玉と入る。
最終図以下、▲55歩で銀挟みになるが、△95歩▲同歩△97歩として攻めが続く。
△95歩に▲46歩は△36銀▲同飛△96歩。△95歩▲同歩△97歩に▲46歩も△36銀▲同飛△95香で後手ペースだ。
△97歩に▲86銀も、△65歩▲46歩△36銀▲同飛△86角▲同歩△85歩で後手指せる。
いずれも△36銀と捨てるのが急所で、先手の飛角の位置が悪く、△35香や△35銀のキズが残る。
第４図 補足
手順 ▲57銀△31玉。
▲88玉に代えて▲57銀と上がるのはどうか。
対して△81飛だと、▲55歩△同歩▲同角△54銀右▲37角△45銀▲26飛のとき、△22玉の入城が間に合わない。
▲26飛に△31玉と寄ると、第３図の変化よりも▲55歩と打ちやすい。
△22玉と入城できた方が後手は強い戦いができる。
▲57銀に△31玉を優先させる手は考えられる。
以下▲55歩は△同歩▲同角△54銀右▲37角△45銀▲26飛に△22玉と入城できる。
△81飛の価値も高いので、先手の駒組みを見て△81飛と△31玉の優先度を決めたい。
▲46角と牽制する変化は、後手が得する。
△84歩型にすることで▲46角と出る変化を警戒している。
第５図 ３筋歩交換する将棋に合流
手順 ▲35歩△同歩▲同角△85歩▲68角△54歩▲37銀。
第１図の変化に戻る。
▲35歩△同歩▲同角と歩交換するを変化を見ていきたい。
▲35同角に後手の駒組みの分岐になる。
▲35同角に、△63銀▲68角△81飛▲37銀△34歩▲36銀△65歩▲35歩△62玉と右玉に組む順も有力。
手順中△34歩とキズを消し、▲66歩なら△42玉ー△62飛と右四間飛車にして、▲36銀△65歩と６筋の位が取れたら△62玉と右玉に組む。
もう一つは、▲35同角に△85歩と突く順。
以下▲68角△54歩▲37銀となった最終図は、こちらの記事で検討した変化に合流している。
▲37銀以下、△55歩、△86歩、△42角など後手の手が広い。
上記の記事は、2024年1月に書いた記事だが、現在でも評価が揺れている。
また改めて検討したい。
ちなみに、第５図から▲37銀△85歩▲35歩とすると、△同歩▲同角△86歩▲同歩（▲同銀は△65桂）△85歩と反撃される。
▲37銀と上がらずに３筋の歩交換をすることで、一手早く▲68角と引ける。
▲37銀に△63銀▲35歩△同歩▲同角△34歩▲68角△81飛▲36銀△65歩▲35歩△62玉と、右玉の変化にもできる。
△85歩と△63銀のどちらもあって、どちらを選ぶか棋風によるところ。
△84歩型のまま駒組みすることで、先手は▲46角の将棋がやりづらくなる。
第５図の変化をどう評価するかが、先手後手どちらにとっても重要だ。
△84歩型の工夫は、今ホットな作戦だ。