今回は先手中飛車の将棋を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 △42銀▲48銀△52金右。
第1図は△64銀▲66銀が向かい合っているので、銀対抗と呼ばれる戦型だ。
中飛車の序盤戦については、こちらの記事で検討した。
第1図から、△52金右▲28玉△44歩と進めば持久戦になる。以下▲38銀と美濃囲いにしたり、▲18香から穴熊に囲ったりして一局の将棋だ。
△42銀は、△33銀ー△44銀と繰り出す狙いだ。
△44銀まで進出できれば、▲55歩の位にプレシャーを掛けられる。
△42銀に対して▲28玉△33銀▲38銀△44銀▲46歩の進行もあるが、以下△73桂ー△65桂を狙われると先手が守勢になる。
△44銀が△52金右に代わっている形は、こちらの記事で検討した。
そこで登場したのが▲48銀だ。
▲48銀に△33銀なら、▲57銀上△44銀▲56銀と対抗できる。
▲66銀+▲56銀の格好は、▲55歩を安定させる意味だけでなく、△73桂ー△65桂の攻めも消している。
このあと先手は▲46歩ー▲45歩と銀を追い返すことができる。
△52金右に対して、先手はいくつか指し方がある。
第2図 ▲28玉から持久戦
手順 ▲28玉△44歩▲46歩△43銀▲38金△33角▲36歩△22玉▲37銀△32金▲59金△42金右▲48金上△12香▲18香△11玉▲19玉△22金▲28金△32金右▲38金左。
△33銀を見たら▲57銀上とすれば良いので、▲28玉と囲う手もある。
対して△44歩は▲48銀に反応した手だ。▲48銀は美濃囲いや穴熊に組みづらくなるので持久戦には不向きだ。
△44歩▲46歩△43銀▲38金△33角▲36歩△22玉に▲47銀△32金▲37桂と組むのが自然だが、以下△12香から穴熊に組まれたとき固さ負けする。
▲37銀と上がるのは工夫の駒組みだ。
これなら後手に穴熊に組まれたとき、先手も▲18香から穴熊に組んで、固さが互角になる。
最終図はこれからの将棋だ。
第3図 ▲57銀上の変化
手順 ▲57銀上△44歩▲56銀。
次に▲57銀上と繰り出す将棋を見ていきたい。
後手番で△53銀上とする将棋をこちらの記事で検討したが、▲66銀が間に合っているので意味合いが違う。
△33銀を見てからの▲57銀上は後手の急戦を受け止める意図だが、第3図の▲57銀上は棒銀の感覚に近い。
先手玉は薄くなるが、銀2枚で中央の厚みを作っている。
△44歩は持久戦を目指した一手だが、初志貫徹に▲56銀と上がる。
第4図 ▲65銀右とぶつける
手順 △33角▲28玉△43銀▲65銀右△22玉▲74銀△32金▲38金。
△33角にすぐ▲65銀右は、△86歩▲同歩△84飛と軽く指されるのが気になる。△86歩▲同歩を入れずに△84飛とすると、▲95角△94飛▲96歩がある。
一回▲28玉と寄り、△43銀に▲65銀右とぶつける。
これなら△86歩▲同歩△84飛には、▲54歩△同歩▲同銀と銀交換できる。
▲28玉に△22玉も△41金が離れ駒になるので、▲65銀右に△86歩▲同歩△84飛がやりづらくなる。▲65銀右△43銀で、本線の変化と合流する。
最終図は形勢をどう判断すれば良いのか難しい。
先手は一歩得できたが、玉が薄い。
後手は、▲74銀が進軍していて嫌、という見方ではなく、▲74銀が負担でまとめるのが大変でしょ、という見方をしている。
先手は玉が薄いので激しい戦いにはしづらく、後手も動く手段が難しい。お互いに手出しがしづらく、また違った感覚が求められる。
第5図 ▲65銀右を防ぐ△73桂
手順 △73桂▲28玉△33角▲38金△43銀▲46歩△22玉▲59飛△32金▲58金△42金右▲47金左。
▲56銀に△73桂と跳ねれば▲65銀右を防ぐことができるが、△72飛ー△75歩という動き方がなくなるので、先手の駒組みの自由度が高くなる。
先手の駒組みはいろいろあるが、▲59飛と引いて▲58金ー▲47金左とくっつけるのは自然な指し方だ。
最終図以下、▲68角ー▲79飛として△73桂を目標にしたい。
最終図は先手まずまずの序盤だ。
後手は▲56銀に第4図の変化を選ぶか、第5図の変化を選ぶか難しいところ。
△73桂を跳ねずに頑張れるなら、第4図の変化をやってみたい。