前回は△54歩とつく将棋にするために4手目△85歩か、△62銀のどちらが良いかを検討した。
今回は後手が△54歩として、先手が中飛車に構えたときの将棋を検討してみたい。
第2図
第2図が先手の分岐だ。ここで▲38玉とすると△34歩とつかれる。
▲68銀△53銀となると、▲55歩は△同歩▲同角△同角▲同飛△44角があり、歩交換がしづらくなっている。
△77角成▲同銀△64銀として55をがっちり守っている。△77角成がポイントで、単に△64銀とすると▲66歩と歩で対抗される。
△77角成▲同銀△64銀としてあれば、▲66歩とすると77の銀の活用が難しくなる。
先手は最終図以下▲59飛ー▲78金ー▲66銀から▲55歩を狙うイメージだ。
もう一つ、後手が持久戦を目指す順もある。
△53銀に▲55歩は交換して、やはり△44角がある。
今度は先手も▲59飛と引ける。△99角成なら▲71角で先手良しになる。
後手は△99角成とせず、△86歩が好手だ。▲86同歩△同飛で飛車成りが受からない。
先手は▲55歩とはできず、▲46歩のような手でお互い駒組に入る。
どうしても5筋の歩交換をしたい場合は、△34歩に▲68銀とせず▲22角成△同銀▲88銀とする手がある。
これは前田流と呼ばれる指し方だ。
これなら△53銀に▲55歩△同歩▲同飛とできる。今度△44角は▲58飛で、88の銀に紐がつく。
ただ▲77角と上がってから▲22角成とするので先手は2手損になる。歩交換の代償が2手損で、先手の利が消えるのが懸念だ。
△34歩とつかれてから▲55歩から歩交換を目指すと△44角の切り返しがあった。前田流を選べば歩交換できたが、代償があった。そこで△34歩とする前に▲55歩と歩交換をしようという発想になった。
後手は素直に▲59飛と引かせたくないので、△34歩から△45角と反撃する。
△27角成よりも△67角成の方が嫌なので、▲78銀と守る。
▲68銀もあって、比較は難しいところ。▲68銀の懸念点は△56桂のキズが残ることだ。
▲65桂と跳ねて、先手は次に▲75角を狙っている。
△32玉と早逃げするのは、▲53歩成△同歩▲同桂不成△同銀▲同飛成と竜を作って先手良しだ。後手はどう受けるか、いくつか手が考えられる。
まずは数を足す受けの△26馬を検討してみたい。
△26馬で数を足しても▲75角△32玉▲53歩成△同歩▲同桂不成で破られてしまう。
▲同桂不成が大切で▲同桂成は△52歩で、銀桂交換では角と馬の差の分だけ先手不満。▲同桂不成なら金が取れそうな格好だ。銀より金の価値が高い。
また△51金右は▲41桂成△同金▲52金として攻めが続く。
△74歩も最強手。▲66角では△53銀▲11角成△22銀で馬を閉じ込めて後手良し。先手も勢い▲41桂成△75歩▲52金としがみつく。対して△83角も好手だ。▲31成桂△同玉▲61金△同角▲52銀は△36桂で飛車先が止まる。
▲54飛と浮いて、△53歩なら▲34飛△33歩▲84飛△52金▲31成桂△同玉▲83飛成△同飛▲61角を狙うが、△65角▲59飛△83角は千日手だ。
△65角に▲55飛△83角は今度△36桂がきかず先手良しになるが、▲55飛に△54歩▲65飛△52金▲31成桂△同玉でさっぱりする。
この進行も馬が大きく、△56桂がいつでも残っているので後手も指せる。
最終図以下▲66角や▲75飛が予想される。後手陣はバラバラで、まとめるのには力が求められる。