テーマ図

今回は6手目△14歩について検討したい。初めて見ると意味不明の手だが、考えてみると奥が深い。△14歩に対して先手は大きく分けて▲24歩、▲78金、▲68玉、▲16歩の4つある。先手の態度を見て後手は作戦を選ぶ意図がある。順に見ていきたい。

①▲24歩

手順 ▲24歩△同歩▲同飛△88角成▲同銀△22銀▲28飛△27歩▲48飛△33金▲38金△31銀▲27金△22飛▲28飛△45角▲49角△72銀。

▲24歩から見ていきたい。△同歩▲同飛に△23歩は▲28飛で無事に一歩交換ができる。これでは△14歩と突いた甲斐がない。▲24同飛に△88角成▲同銀△22銀が工夫した手だ。

次に△35角がある。▲48銀と上がると△33角が両取りになる。よって▲28飛と引くが、△27歩とたたく。▲同飛は△45角だ。

△27歩に▲48飛と横に逃げるが、△33金が見慣れない駒組だ。▲38金に△31銀▲27金△22飛と飛車を回る。▲28飛と受けるが、△45角▲49角と打ち合ってから△72銀と美濃囲いを目指せば後手十分だ。

角の打ち合いは後手の角の方が働きが良い。先手は一歩得しているが、形が悪いのが気になる。

②▲78金

手順 ▲78金△33角▲同角成△同金▲38銀△22飛▲68玉△62玉▲77玉△72玉▲88玉△42銀▲46歩△24歩▲同歩△同金。

▲78金には△33角から坂田流向飛車を目指す。このとき▲78金と上がっているので先手の駒組に制約がかかる。

▲77玉から▲88玉は工夫した駒組だが、機を見て△24歩と仕掛けて後手の主張が通っていると言える。

△24歩▲同歩△同金の仕掛けには▲36歩ー▲37桂のように応対するのが一般的だが、この場合は△55角や△26歩▲同飛△44角のラインがちらつく。通常の坂田流向飛車の場合は▲78玉の格好なので、ラインがなく、右辺に手を掛けることができた。

比較

手順 △24歩▲同歩△同金▲36歩。

▲25歩にすぐ△33角と上がるのがよくある坂田流向飛車だ。この場合は▲78玉型が安定している

△24歩▲同歩△同金には▲36歩と突いて問題ない。以下△25金には▲38金△26金▲27歩△25金▲37桂と追い返せる。

最終図は先手不満がない序盤戦だ。

③▲68玉

手順 ▲68玉△84歩▲78金△85歩▲24歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△同飛▲34飛△33桂。

▲68玉には△84歩から横歩取りを目指す。進んで▲34飛に△33角では△14歩が緩手になる。▲68玉型は勇気流と呼ばれる作戦と合流している。

そこで△33桂戦法を選ぶ。

比較 

通常の△33桂戦法には、先手は▲58玉と中住まいに囲う。このあと先手は▲36飛からひねり飛車風に戦うか、右辺から手を作っていくかに分岐する。とにかく、▲58玉が安定している。

6手目△14歩からの横歩取りで、△33桂とした図と比較したい。先手は▲68玉と形を決めている。このままでは戦いづらいので、どこかで▲58玉と戻ることが予想される。後手が一手得できそうだ。もちろんこれからの将棋だが、後手の主張は通っているだろう。

手順 △88角成▲同銀△27角▲38銀△45角成▲24飛△22銀。

△33桂の他にも△88角成▲同銀△27角の変化もある。▲38銀△45角成▲24飛に△23歩は▲25飛△34馬▲65飛で、▲63飛成と▲77角が受からず先手良し。

最終図以下、▲75角は△82飛▲53角成△56歩と勝負する。▲75角と打たずに▲77桂△33桂▲36歩のように馬を目標にしていく指し方も有力。後手の馬がどれほど大きいのか微妙なところだ。

④▲16歩

手順 ▲16歩△84歩▲78金△85歩▲24歩△同歩▲同飛△86歩▲同歩△同飛▲34飛△88角成▲同銀△76飛▲77銀△26飛▲28歩△52玉。

最後に▲16歩と受けた場合を見ていきたい。1筋の交換が入ったら、横歩取りに誘導する。

▲34飛に△88角成▲同銀△76飛▲77銀△26飛とできるのが、△14歩▲16歩を入れた効果。▲15角の王手飛車がない。

将来△15歩と端攻めができそうで、この後も△14歩▲16歩の交換が生きる展開が出てくる。

まとめ

6手目△14歩を検討した。後手は居飛車も振り飛車の知識が求められるので、オールラウンダー向けの作戦だ。

△14歩に▲68玉と▲16歩は横歩取り。▲78金は△33角。▲24歩は△同歩▲同飛△88角成▲同銀△22銀だ。先手はどに変化を選ぶか個性が出る。自分の棋風に合った指し方を選ぶと良いだろう。

先手の態度を見てから後手は作戦を選べるので、後手番らしい戦い方だ。

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