テーマ図
今回は△56歩の仕掛けについて検討したい。先手は▲46銀と繰り出して、さらに▲77銀と左銀も繰り出している。両サイドの銀を上がって△55歩の目標にする狙いだ。それなら負担になる歩を交換してしまおう、というのが△56歩の意図だ。
△56歩▲同歩△同飛で、次に△51飛と戻れれば一安心。▲55歩から飛車を取りに行く手が成立するか。
テーマ図の前の、▲36歩の局面が後手の分岐だ。△62玉ー△72玉と軽い捌きを狙う指し方もある。その指し方はこちらで検討した。
今回検討する、△42銀▲37銀△53銀▲46銀△44銀と銀を合わせに行くのは「銀対抗」と呼ばれる指し方だ。△44銀が角頭を守っているので手堅い指し方だが、一方で捌きづらさがある。
手順 ▲56同歩△同飛▲55歩△同銀▲45銀△57飛成▲58金右△56銀▲57金△同銀成。
△56同飛に▲55歩△同銀▲45銀△57飛成▲58金右となって、後手の飛車の行く場所がない。△56同飛の次に△51飛と戻れれば一安心、と言ったが▲66銀△51飛▲96歩△94歩▲37桂△82玉▲58金右△72銀▲68金寄のように駒組する手も有力。激しい戦いが嫌な方はこちらの指し方がおすすめだ。
△57飛成▲58金右に△56歩は▲34銀△22角▲68銀で先手良し。
最終図は先手の飛金交換の駒得だが、後手陣へ飛車の打ち込みがない。自陣をケアする必要がある。
手順 ▲53飛△56歩▲43飛成△52金左▲54竜△43金打▲65竜△64歩▲85竜△44歩。
後手陣の唯一の飛車の打ち込みが▲53飛だ。しかし△56歩と支えられて打った飛車が目標になる。▲43飛成△52金左で、▲32竜や▲34竜は△55角が実現する。
△55角を防ぐには▲54竜だが、△43金打▲65竜△64歩とさらに竜を追う。▲64同竜は△63金▲75竜△74歩と追って、5段目をキープできない。
最終図は、銀が取れて後手指せる。
手順 ▲66銀△65金▲54銀△67成銀▲同玉△66金▲同角△同角▲65飛△44角▲63飛成△82玉▲61竜△52銀。
▲53飛と打つと飛車が目標になるので、飛車を使わず▲66銀とアタックする。対して△65金が攻めを繋げる好手だ。▲同銀は△88角成▲同玉△55角で王手飛車が掛かる。△65金に▲77銀と引いても△76金の追撃がある。
▲54銀には△67成銀▲同玉△66金▲同角△同角とする。先に△66金▲同角△67成銀でも合流する。
△66同角に▲同玉は△39角▲48飛打△27銀で後手良し。△66同角に▲65飛は角取りと▲63飛成の両狙いだが、△44角が良い受けだ。
最終図△52銀として後手良しだ。このとき△44角のおかげで▲72金△同銀▲71銀とできない。▲65竜と引き上げるが、△64歩▲56竜△99角成と進んで玉の安定度が違う。
手順 ▲57銀△88角成▲同玉△55角▲77桂△28角成▲65桂△55馬▲66金△45馬▲53桂不成△51金右。
△65金には▲57銀と取るのが勝る。△88角成▲同玉△55角で王手飛車が掛かるが、▲77桂が金取りだ。△76金と出ると▲78飛で受かる。
後手困ったようだが、△28角成▲65桂△55馬が王手銀取りだ。お互い技の掛け合いだ。
▲66金は△45馬のとき△67馬を防いだ意図。▲77金もあるが、将来△65桂と打たれるキズがあるし、△65馬と取る手もある。
▲53桂不成に△51金右は指しにくいが、飛車の打ち込みは許せないところ。
手順 ▲22飛△32銀▲61銀△同金▲41桂成△52飛▲51金△41銀▲52金△同銀▲21飛成。
▲22飛△32銀に▲61銀が好手だ。△32銀に▲41桂成△同金▲52銀も見えるが、△31金▲32飛成△同金▲61銀打△82玉▲53角△72桂で攻めが細い。
▲61銀に△82玉と逃げると▲41桂成△同金▲53角で寄せ切れる。△61同金▲41桂成△52飛は最善の頑張りだが、▲51金が続く好手。
最終図は駒得が大きく、先手良し。
手順 ▲66角△45馬▲78銀△62金。
▲66金に代えて▲66角も考えられるが△45馬が△67馬の先手になり、もう一手▲78銀と手を入れることになる。
先手陣の安定度はあるが、手番が後手に渡るので△62金と後手も手を入れることができる。やはり強く▲66金と打ちたいところだ。
まとめ
銀対抗で△56歩で突くのは、目標になる歩を捌く意図がある。▲56同歩△同飛に▲66銀か▲55歩かの分岐になる。
▲66銀から駒組しても先手不満のない戦いだろう。▲55歩は後手の動きを真っ向から咎めている。
以下△51金右まではほぼ一本道。ここで▲22飛△32銀▲61銀が面白い攻め方だ。先手指せる変化だ。
後手が△56歩と突くのは無理筋と見たい。