すぐ役立つような戦術を紹介したい。
今回は相掛かりで、▲68玉型の将棋だ。
▲68玉に△42玉とする工夫
手順 ▲68玉△42玉。
▲68玉に対して、△14歩、△74歩、△34歩、△52玉など後手の手が広い。
▲96歩△14歩の交換を入れてから▲68玉に△74歩と突く将棋はこちらの記事で紹介した。
▲68玉に△42玉と同型を維持するのが後手の工夫だ。
手順 ▲76歩△86歩▲同歩△同飛▲36歩△74歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛△73銀▲75飛△24歩。
2筋の歩交換を保留し、▲76歩△86歩▲同歩△同飛▲36歩として右桂の活用を急ぐのが現代的な指し方だ。▲37桂を急ぐことで、▲24歩△同歩▲同飛ー▲29飛と手順に下段に引けるようになる。
▲36歩に対して△74歩が、△42玉からの後手の作戦だ。△74歩に代えて△76飛は▲82歩と打たれる。△74歩は、▲82歩に△73桂を用意して次に△76飛と取る狙いだ。
▲68玉型だから△74歩と突く作戦を選ぶ、というのが後手の姿勢だ。▲58玉型だと先手玉が7筋8筋から遠いので、先手が得する。
△74歩に対して▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛で一歩損するが、△73銀▲75飛△24歩と先手の飛車を目標にする。
最終図から▲85歩は△64銀で先手失敗。▲25歩の合わせも△23金で続かない。
最終図以下▲87歩△82飛▲35歩△64銀▲45飛△23金▲46飛△34歩のような進行が予想される。
△52玉型で△74歩と突いた場合
手順 ▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛△73銀▲87歩△82飛▲75飛△64銀▲25飛△73桂▲46歩。
△52玉型で△74歩と突いた場合と比較してみよう。
同じように▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛と動く。
△73銀に▲87歩が何気ないが大切な一手だ。△73銀に▲75飛だと△64銀▲87歩△84飛と中段に引かれる。△84飛と引けないタイミングで▲87歩と打つのが勝る。
△52玉型だと▲75飛に△24歩は後手陣のバランスが悪い。例えば、以下▲35歩△64銀▲45飛△23金▲46飛となったとき、△34歩は▲22角成△同銀▲32角があるので△34歩と突けない。
△24歩と突くための△42玉だった。
△24歩を諦め、△64銀▲25飛△73桂と駒組するが、▲46歩から自然に駒組して先手不満なし。一歩得で2筋に飛車が戻れ、しかも▲25飛が好ポジションだ。
▲16歩△14歩を入れる先手の工夫
手順 △74歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲74飛△73銀▲75飛△24歩▲15歩△64銀▲45飛△15歩▲13歩△同香▲14歩△同香▲15香。
▲16歩△14歩の交換を入れる工夫がある。同じように進むと、△24歩に▲15歩△64銀▲45飛△15歩▲13歩と仕掛けて先手ペース。香を持つと▲87香がある。
▲75飛に△82飛が勝り、▲87歩ならそこで△24歩とすれば▲87香がない。
しかし△82飛にも▲15歩△同歩▲87歩△24歩▲14歩と端を攻める手があり、先手は1筋の突き合いを生かせる。
△82飛に単に▲87歩は△24歩▲15歩に△64銀が利く。▲15歩△同歩を入れておけば、△24歩にすぐ▲14歩と垂らせるので△64銀に▲15飛とできる。
▲15歩と攻める展開になれば▲16歩△14歩の交換は先手の得だが、△14歩が入ると▲24同飛のとき△23歩と打つ一手ではなくなっている。代えて△84飛も有力だ。
▲16歩△14歩の交換の有無で展開がガラッと変わる。研究課題だ。