すぐに役立つ戦術を紹介したい。
今回は相掛かりの将棋だ。
先にこちらの記事からお読みいただくと、より理解が深まります。
第1図 ▲58玉△42玉型
手順 ▲58玉△64歩▲48金△62金▲37桂△63銀▲29飛△81飛▲56歩△54歩。
第1図から▲58玉と上がる。
▲58玉に△86歩と動く手もあって、以下▲86同歩は△同飛▲87歩△76飛▲22角成△同銀▲77歩△75飛▲82角△92香▲91角成△33桂▲92馬△25飛とぶつけて攻めが続く。
だから△86歩には▲22角成△同銀▲66角と打ち、△81飛▲86歩△同飛▲88銀と上がって駒組みしてどうか。
これも一局の将棋だ。
△86歩の仕掛けを後手が見送ると、最終図が予想される。
先後似た形だが、違いは▲58玉と△42玉だ。
最終図以下の指し方は、こちらの記事で検討した。
▲58玉△52玉のまったくの同型の将棋は、こちらの記事で検討した。
第2図 △64歩を突いてから△86歩
手順 △86歩▲同歩△同飛▲37桂△76飛▲77角△88歩▲同銀△65桂▲29飛。
△64歩を突いてから△86歩と仕掛ける順もある。
第1図と同じように▲22角成△同銀▲66角△81飛▲86歩△同飛▲88銀と対応すると、すぐ△65歩と角を追われてしまう。
△86歩▲同歩△同飛に▲87歩△76飛▲22角成△同銀▲77歩△75飛▲82角は、△39角から金を取って△81金がある。
▲48金に代えて▲37桂になっている場合、最後△39角はないが、1筋が薄いので△15歩▲同歩△17歩と攻めて後手ペースだ。
第2図の場合は△86同飛に▲37桂△76飛▲77角と対応するのが勝り、△88歩▲同銀△65桂に、じっと▲29飛と引くのが好手だ。
角桂交換になるが、後手の飛車が狭く、桂を持つと▲26桂の楽しみも残る。
最終図は先手を持って指してみたいが、後手が先攻している点をどう見るか。
第3図 工夫の▲56歩
手順 ▲56歩△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲22角成△同銀▲77歩△75飛▲82角。
第2図の△86歩の仕掛けが成立するか微妙だが、先手としても安全に駒組みしたい。
▲37桂でも▲48金でもなく▲56歩と工夫する。
いきなり玉頭を突くので意表の一手だ。
▲56歩に△86歩と仕掛けるのは、▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲22角成△同銀▲77歩△75飛▲82角と打ち込んで先手指せる。
▲57歩△63歩の格好だと、最後▲82角に△92香▲91角成△33桂▲92馬△25飛とぶつけて攻めが続くが、▲56歩△64歩の格好なら、△25飛▲27香△同飛成▲同飛△25香に▲74馬が詰めろで、絶好の位置になる。
だから後手は△92香を上がらずに△33桂▲91角成△25飛とするが、▲同飛△同桂▲38金△15歩に▲92飛が▲73馬の先手になる。▲92飛に△31玉と逃げても▲82馬と追撃し、先手指せる。
▲82角と打ち込んだ最終図は、▲48金と上がってないので△39角がないし、▲37桂と跳ねてないので△15歩▲同歩△17歩の攻めにも対応しやすい。
先手陣は中途半端な格好だが、▲82角と打ち込んだ瞬間は意外にも隙がない。
第4図 合流
手順 △62金▲37桂△63銀▲48金△81飛▲29飛△54歩。
▲56歩に△86歩の仕掛けは無理筋だ。
▲56歩に△62金や△63銀と上がって駒組みすると、金銀の連結が外れるので△86歩と動く展開ではなくなる。
お互い駒組みし、最終図は第1図に合流した。
第2図の最終図まで進んでも形勢は難しいが、先手がより安全に駒組みをするなら▲56歩と突く工夫は考えられる。