今回は角換わりで、後手が▲95歩を取らせる将棋を見ていきたい。
目次
第1図 テーマ図
手順 △73桂▲95歩△44歩。
第1図から△94歩と受ければ通常の角換わりになる。
今回は▲96歩を手抜いて△73桂と跳ねる。
▲95歩と位を取られるが、その分、後手は先手よりも早く駒組みができる。
▲95歩に△81飛▲37桂△62金とする変化は、こちらの記事で検討した。
今回は△81飛に代えて△44歩と突く変化だ。
第2図 ▲37桂には△75歩と仕掛ける準備
手順 ▲37桂△52金▲29飛△75歩▲同歩△65桂▲88銀△35歩▲同歩△86歩。
第2図から▲37桂は自然な手だが、△35歩の攻め筋が生まれるので、先手は△75歩▲同歩△65桂の攻めを警戒しながら駒組みをしなければならない。
▲37桂にすぐ△75歩は、▲同歩△65桂▲76銀△54角▲74歩で先手良し。
後手は▲37桂ー▲29飛(または▲48金)の瞬間に△75歩と仕掛けたいので、一回△52金と上がる。
▲29飛に△75歩と仕掛けていく。
対して▲29飛は△76歩▲同銀△54角で、▲77歩は△74銀。▲75銀は△74歩▲66銀△86歩で後手指せる。
▲75同歩が勝る。
△65桂に▲66銀は、△86歩から一歩交換しておいて、後手番としてはまずまず。
△65桂に▲76銀は△86歩▲同歩△同飛として、▲87金△81飛▲85歩でも▲87銀△81飛▲86歩でも、△88歩▲同金△57桂成▲同玉△79角の攻めがある。
▲29飛が▲48金に代わっている場合は、同じように進めて、△76飛(△87同飛成)▲同金△39銀▲38飛△48銀成▲同飛△39角▲58飛△48金と攻めて後手良しだ。
▲76銀に△54角も打ってみたい手だが、▲74歩で切り返される。
△65桂▲88銀には△35歩と突く。▲66歩には△36歩▲同銀△57桂成▲同玉△69角が痛い。
▲35同歩に△86歩と突く。
以下▲86同歩△同飛▲87銀は、△81飛▲86歩△88歩▲同金△57桂成▲同玉△79角がある。
▲86同歩△同飛▲87金は、△同飛成▲同銀△88歩▲77桂△79角で攻めが続く。
△86歩を取らずに▲48金には、△87歩成▲同銀△86歩▲76銀△87角と打ち込んでどうか。
形勢は難しいところもあるが、先手は怖い格好で、好んで選びたくはない変化だ。
第3図 無難の▲58金
手順 ▲58金△52金▲56銀△54銀▲79玉△31玉▲66歩。
▲37桂と跳ねるのもあるが、△75歩の仕掛けを誘発する。
▲37桂を保留して▲58金と上がるのは無難な指し方だ。
以下△52金▲56銀△54銀▲79玉△31玉▲66歩と進んだ最終図は、9筋以外は同型だ。
最終図以下、△62金▲37桂△81飛と待機する指し方や、△22玉▲37桂△65歩と積極的に仕掛ける順、△63金から△65歩と仕掛ける順などがある。
いずれも一局の将棋だが、後手番としてはまずまずな序盤戦だろう。
第4図 ▲48金と戻る
手順 ▲37桂△54銀▲29飛△31玉▲48金△22玉▲56銀△42金右。
一手損ながらも▲29飛ー▲48金と下段飛車に構える順も考えられる。
▲58金ー▲29飛ー▲48金の手順を踏めば△75歩の仕掛けを警戒できる。
▲48金に△65歩▲56銀△64角とする順も有力。
△22玉▲56銀△42金右と固めるのは自然な順だ。
最終図以下▲45歩と仕掛けたいが、△65銀や△45同歩▲同桂△同銀▲同銀△47歩の反撃、▲45同桂に△44銀▲46歩△65歩ー△64角を狙っても先手今一つだ。
△62金ー△81飛の格好と違って後手玉が固いので、先手は強い戦いができない。
第5図 ▲95歩を後回しにする工夫
手順 △73桂▲37桂。
第1図の△73桂▲95歩△44歩の局面は、一局の将棋ながらも先手の利が分かりにくい展開になった。
△73桂に対して、▲95歩を保留して▲37桂と跳ねる工夫がある。
△94歩なら通常の角換わりに戻る。
▲37桂に△44歩なら▲48金△52金▲29飛のように駒組みして、▲56銀ー▲45歩の仕掛けを狙う。
▲37桂に△81飛ならそこで▲95歩と位を取れば、第1図の最終図を避けることができる。
第1図の局面が先手嫌と見れば、▲95歩のタイミングをずらす工夫は考えられる。