今回は角換わり腰掛け銀で、積極的な後手の指し方を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲69玉△44銀▲79玉。
第1図から▲69玉と手番を調整するのが定跡になっている指し方だ。
理屈については、こちらの記事で検討した。
▲69玉に対していろいろな指し方があるが、今回は△44銀と上がる将棋を検討したい。
とても積極的な指し方だ。
△44銀に▲24歩は△同歩▲同飛△23歩▲29飛に△55銀左や△65歩▲同歩△55銀左が予想される。
形勢は難解だが、不安定な▲69玉型のまま戦いになっているのが気になる。
▲79玉は、2筋の歩交換を後回しにして玉の安定度を優先した手だ。
第2図 △55銀左とぶつける
手順 △55銀左▲同銀△同銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲45角。
△55銀左とぶつける変化から見ていきたい。
▲同銀△同銀に▲24歩△同歩▲同飛と歩交換をする。
△23歩に▲29飛と引くのが自然だが、△65歩▲45角△54銀▲34角に△66歩の取り込みが大きい。以下▲23角成は△28歩▲同飛△39角が痛い。
△65歩に代えて△47銀も見えるが、▲45角△54角(△84飛は▲24歩△同歩▲47金△38角▲24飛△23歩▲34飛で先手良し。△51飛と横に逃げるのも▲49金で先手指せる)▲47金△45角▲同桂△38角▲25飛△47角成▲53桂成△同玉▲55飛で先手指せる。
△23歩の瞬間に▲45角と打つのが好手だ。
△24歩は▲81角成で先手良し。
△54銀は▲34飛△42玉▲54角△同歩▲同飛△44銀▲45桂と暴れることができる。
△84飛ならそこで▲29飛と引く。以下△65歩は▲34角△66歩▲23角成△28歩▲同飛△39角▲63歩と攻めて先手指せる。
△23歩に▲29飛△65歩▲45角の手順だと△54銀と打たれるが、△23歩▲45角△84飛▲29飛の手順を踏めば、△54銀に代えて△84飛と浮いた計算になっている。
第3図 △33桂と力を溜める
手順 △33桂▲24歩△同歩▲同飛△35歩▲45歩。
△55銀左とぶつける変化は先手指せる。
△33桂と跳ねて力を溜める手を見ていきたい。
△33桂に▲88玉は、今度こそ△55銀左とぶつけて、▲45角の筋がない。
△33桂に▲24歩△同歩▲同飛と歩交換する。
対して△23歩▲29飛△55銀左は、▲同銀△同銀▲35歩で先手指せる。
▲24同飛に△35歩と反撃する。
▲35同歩は△同銀▲34飛△26角として、次に△23金や△36歩を狙う。
△35歩に強く▲45歩と反撃してどうか。
第4図 △13角の変化
手順 △13角▲29飛△36歩▲44歩△37歩成▲58金△27歩▲34歩。
△13角と打つ順から見ていきたい。
対して▲14飛には△36歩▲44歩△37歩成として、▲58金△46角で飛車が詰む。▲58金に代えて▲43歩成△同銀▲44歩と攻める順が勝るが、▲58金と寄る余裕がないほど忙しいので先手やりづらい。
△13角に▲29飛と引けば△36歩▲44歩△37歩成に▲58金と寄る余裕がある。
△27歩で飛車を押さえ込まれるが、▲34歩と桂馬を攻めて形勢難解。
最終図以下△45桂は▲同銀△同銀▲33銀で先手指せる。△25桂とかわすか、手抜いて△28歩成と攻め合う順が予想される。
▲29飛に代えて▲27飛として、△36歩なら▲44歩△37歩成に▲同飛と取ることができる。
▲27飛に△26歩▲同飛△36歩▲44歩(▲同飛は△35銀)△37歩成▲58金△25歩▲29飛△46桂が予想される。
△27歩ー△28歩成の攻めを消しているが、△25歩と0手で飛車先を止められているので一長一短ある。
第5図 △23歩の変化
手順 △23歩▲29飛△55銀左▲同銀△同銀。
△23歩も考えられるが、△35歩と突いた流れからすると大人しい印象の手だ。
△23歩に突っ張るなら▲34飛だが、△59角▲47金△36歩で、▲同飛は△35歩▲26飛△45桂。▲同金は△48角成や△37角成▲同金△45銀直。▲44歩は△37歩成▲同金△77角成▲同桂△25銀で、いずれも飛車を狙われる展開になって先手が怖い。
無理せず▲29飛と引く。
対して△45桂▲同桂△同銀直▲同銀△同銀は、▲42歩が好手。次に▲41銀や▲41角を狙っていて、△42同玉としても▲63銀△同金▲72角で先手良し。
▲29飛△55銀左▲同銀△同銀の局面で先手に手番が渡る。
最終図以下▲35歩△47銀▲49金△46角▲34歩や▲25桂、▲75歩△同歩▲74歩などが候補。
手番を握っているのは大きく、先手を持って指してみたい。
第6図 △36歩の変化
手順 △36歩▲44歩△37歩成▲82銀△同飛▲21飛成△31歩▲37金。
強く踏み込むなら△36歩▲44歩△37歩成とする順だが、後手玉に手が付くので非常に怖い。
△37歩成に▲同金は△35角で後手良し。
▲82銀△同飛▲21飛成△31歩を入れてから▲37金は、竜を作ることを優先して△35角を消している。
▲82銀に△51飛と横に逃げるのは▲21角で先手良し。
▲82銀に代えて▲58金も有力。▲82銀△同飛▲21飛成△31歩▲37金の順は後手に銀を渡した上に後手を引くので、単に▲58金と寄る方が手としては自然だろう。
以下△46角や△44歩なら、そこで▲82銀と打つ。
他にも、▲82銀に代えて▲43歩成△同銀▲44歩もある。
△44同銀(△54銀は▲43銀で先手良し)▲同飛△43歩(△48とは▲82銀で先手良し)▲64飛△48と(△63歩▲74飛△48とは▲44歩で先手良し。▲64飛のままにしておけば▲44歩に△46角と打てる)でどうか。
以下▲62飛成△同玉▲63銀△同玉▲64銀△62玉(△同玉は▲72角)▲72金のような踏み込みがあって怖いが、この瞬間を耐えれば後手に楽しみが多い。
△44銀ー△33桂は後手の有力な指し方の一つだ。
△33桂▲24歩△同歩▲同飛△35歩▲45歩に、△13角、△23歩、△36歩が候補だが、△23歩は大人しく、△36歩は後手玉が怖いので、その中間の△13角が現実的だろう。