今回は角換わりの相早繰り銀の変化を検討したい。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲96歩△14歩▲58玉。
第1図から▲35歩と仕掛ける変化と、▲96歩△14歩に▲66歩と突く変化は、こちらの記事で検討した。
▲66歩と突くと△55角のラインをケアできるので、次に▲35歩△同歩▲同銀△86歩(▲同歩は△85歩)のとき▲同銀と取れるようになる。
一方で、▲66歩に△75歩▲同歩△同銀▲24歩△同歩▲25歩△76歩▲88銀(または▲68銀)のとき△66銀と歩を取る変化が生じる。
▲58玉は▲66歩とは突かずに駒組みする作戦だ。
▲66歩を突かなければ、△75歩は▲同歩△同銀▲24歩△同歩▲25歩△76歩▲88銀として受かる。
第2図 力戦模様
手順 △73桂▲37桂△62金▲48金△81飛▲66歩△52玉。
△73桂と跳ねる変化を見ていきたい。
△73桂と跳ねると△75歩▲同歩△同銀に▲74歩と打たれる格好になるので、△75歩と仕掛けるなら△84飛と浮く一手が必要になる。
この場合の△73桂は、△62金ー△81飛と下段飛車を作り、先手の攻めに備える意味合いが強い。
△73桂に▲35歩△同歩▲同銀は、やはり△86歩▲同歩△85歩と反撃できる。
先手も▲37桂ー▲48金と駒組みする。
最終図は先後似ている格好だ。▲29飛△44歩となればまったくの同型だ。
後手は△44歩を保留しているのが細かい工夫。
△44歩と突くと▲26飛ー▲35歩の仕掛けを狙われ、▲35歩△同歩▲同銀△86歩▲同歩△85歩のとき、▲34歩△22銀▲44銀と取られてしまう。
最終図から▲26飛△84飛▲35歩△同歩▲同銀には、△55銀や△86歩▲同歩(▲同銀は△54角)△85歩のように反撃できる。
一方で、△44歩を保留すると▲37桂△62金にいきなり▲45桂と仕掛ける変化がある。
成立するかギリギリだが、後手は気にしないといけない。
最終図は力戦模様でこれからの将棋だが、後手番としては不満ない。
第3図 △44歩の変化
手順 △44歩▲35歩△同歩▲同銀△86歩▲同歩△85歩▲34歩△22銀▲26飛△86歩▲88歩。
△73桂は先手の指し手に追随し、千日手歓迎の指し方だった。
それと比べて、△44歩は積極的な手だ。
対して▲38金は△52金▲35歩△43金右と上部を厚くできる。
△44歩で▲35歩を誘い、△同歩▲同銀△86歩▲同歩△85歩と反撃する。
第1図から▲96歩△14歩▲66歩△75歩▲同歩△同銀▲24歩△同歩▲25歩の変化と比べて、先後逆で△52玉の一手が入っている局面と同じだ。
▲34歩△22銀に▲44銀は自然だが△86歩▲88歩△42飛と回って、▲35銀は△36角▲38金△46歩。▲26角は△52金で▲58玉型が生きていない。
▲34歩△22銀に▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛とできれば先手嬉しいが、▲24同飛の瞬間に△86歩▲88歩△95歩▲同歩△97歩や△15歩▲同歩△54角と反撃しやすい。
単に▲26飛は妥協した手だ。
最終図以下△95歩▲同歩△97歩、△95歩▲同歩△87角、△15歩▲同歩△54角など後手に手段が多い。
形勢は互角だが、後手を持って指してみたい。
▲58玉と上がる作戦は、△73桂から持久戦になる変化と△44歩の変化のいずれも先手に課題が残る。