角換わりで両端をお互い受けるのがオーソドックだが、受けない手もある。後手は▲95歩と取らせる代わりに早く陣形を整備しようとする作戦だ。

先手は▲95歩を生かして端に逃げ込む展開にしたい。

また後手は△95歩のような攻めがなく、攻めるとき少し細い。△94歩のような仕掛けもあるが、次に△95歩としても何でもない。△94歩と仕掛けることができるのは場合による。

いくつかテーマ図がある。

第1図

▲48金を▲38金と寄った図。

一手で行けるところをわざわざ二手かけて行くのだが、これには意味がある。

すぐに▲38金と上がる手もあり、また違う将棋だ。その場合後手は△44歩を保留した指し方が考えられる。この変化も後で検討してみたい。

▲38金に代えてすぐ▲45歩とすると△41飛▲44歩△同銀で、▲45歩に△同銀直と取られる。

以下△38角となって▲68玉型がたたる。▲28飛△47角成が△69金の詰めろになる。▲79玉型なら成立する筋だ。

▲45歩を打たずに▲79玉なら一局。以下△55銀左や△33銀なら▲47歩としておく。

しかし、先手番らしくない。打開できるか不透明なうえに△33銀▲47歩に△35歩や△75歩の攻めも気になる。

▲38金は次に▲45歩を目指した手。4筋に飛車が回られたときに、金が当たらないようにした意味と▲49飛と回れるようにした意味がある。

▲95歩ー▲38金型の検討に入る前に、ざっとした全体図から。

第2図

これは▲95歩ー▲79玉型。▲38金と違って、7筋方面に玉が近づいたので△75歩や△65銀の仕掛けがある。先手は▲95歩の位が取れているのでこの仕掛けは大丈夫でしょう、というのが先手の主張だ。

第3図

▲95歩ー▲88玉型。▲56銀を保留しているのがポイントで、△35歩の仕掛けを警戒している。一方で▲45歩の仕掛けがないので、スキを作らないように駒組する展開になる。やや守勢な感じだ。

ざっとこの3つが大きなテーマ図になる。

まずは第1図から。

▲38金に△22玉は自然な一手だが、▲45歩と仕掛ける。

△44銀に▲46歩と支えておいて次に▲24歩を狙う。

△65歩は次に△64角を狙った手だがその瞬間に▲75歩がきく。

最終手▲29飛とした図は次に▲74歩を狙っている。△63銀と受けたら▲15歩△同歩▲35歩△同銀▲55角の要領で攻めることができる。

後手の△65歩は危険で、代えて△43歩のような展開なら穏やか。

しかしこの展開は第3図で△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87金△81飛▲86歩とした局面と似ていて、その場合は▲95歩の位が取れていたのが主張になったが、後手は△15歩の位がないのであまり面白くなさそうだ。

▲45歩を取らずに△41飛もあるが、▲44歩で△同銀は▲24歩で2筋の歩交換ができる。

△44同飛には自然に▲45歩△41飛▲46角と置いておく順もあるが、▲35歩と攻めるのも魅力的だ。

▲35歩に△同歩だとすかさず▲66角で先手ペース。▲66角に△34飛は▲45銀で攻めが続く。▲33歩成まで進んできれいに十字飛車が実現し、先手大成功だ。

▲35歩に△41飛と辛抱が勝り、これはこれで難しいが▲35歩を取れないのは後手気持ち悪いだろう。

第1図

戻って第1図。ここで後手は

△65桂とちょっかいをかける手。

②△41飛として▲45歩の仕掛けを防ぐ手。

いずれも考えられる。まずは①の△65桂から。

△65桂に対しても▲88銀と▲66銀が考えられる。

▲88銀に対して後手は有力な手がいくつかある。

一つは△75歩▲同歩△86歩と仕掛ける順。▲86同歩は△35歩▲同歩△86飛となって収拾困難だ。▲87銀と上がっても△57桂成▲同玉△56飛▲同玉△65角がある。

最終図の△37歩と垂らした局面は難しいが、先手番としては不満だ。

もう一つの攻め方は、△75歩と仕掛けずに△35歩とする手だ。

最終図以下△45歩と△65歩のいずれも有力でこれも難しいが、先手番としては不満だ。

先手はやはり主導権を握った戦いにしたい。

あと面白い手として▲88銀に△55角もある。▲同銀△同銀で、▲66歩を防ぎつつ△46銀を狙った手だ。△55同銀以下は▲77桂が予想される。早々に駒損するので後手はやりづらい変化でもある。

▲88銀では後手にたくさん攻められ、先手は受け身になってしまった。ここは▲66銀とかわした方が前向きだ。

対して後手は△22玉だと▲45歩の攻めるターンがくるし、△41飛だと▲77桂で、桂馬が持ち駒に加わると攻める手段が増える。△65桂と跳ねたからには後手が待機するのは難しい。

△86歩から無難に歩交換できれば、△35歩や△75歩と攻める味がある。先手も黙って歩交換を許したくない。

そこで▲97角が反撃の一手だ。この一手は▲95歩型を生かしている手だ。少し進むと分かるが、▲97角と引いたとき△95歩がない。▲86角と引いたときも△85歩▲97角△95歩と追われない。角を攻める場合は△94歩ー△95歩になるがこれでは間に合わない。

▲95歩型だからこそ▲97角と打ちやすい意味がある。

▲97角に△96飛と逃げると▲77桂で▲29飛がスーッと通る。以下△86歩と垂らす手には▲65桂△同歩▲77銀としておけば後手の飛車狭い。△86歩に慌てて▲88角とすると△98角でうるさい。

▲82歩と打った図で後手は△71飛、△61飛、△41飛の逃げ場が考えられる。△51飛では働きが弱い。

後手はどこに逃げるのが良いか。

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