第1図

まずは▲78金と受けずに▲24歩とつくとどうなるかを簡単に。後手が指せるとされている定跡だが、意外と奥が深い。

▲24歩△同歩▲同飛に△86歩▲同歩△87歩と後手が先に角を取ることができる。先手も▲23歩で角を取り返せるが、△88歩成▲同銀△35角で馬を作られる。

▲22歩成に△同飛が大切な一手だ。△22同銀だと▲85角がある。△62銀では飛車の横ききがなくなり、▲22飛成と取れるようになる。両方受けるのは△62飛だが、▲52歩が痛打になる。

▲85角で▲36角も同じようだが、△27歩で▲同角なら△52金右、▲同飛なら△54歩▲同角△86飛▲87歩△56飛のような切り返しができる。

△22同飛に飛車交換は馬の分だけ先手損なので、▲23歩と拒否するが、△82飛が正しい逃げ場所だ。▲22角の打ち込みを怖がって、△12飛と逃げると▲78金から駒組を目指されて、後手の指し方が意外と難しい。ここは△82飛と突っ張りたい。

△82飛に▲78金なら△86飛と走ることができ、先手は歩損がたたる。△82飛に▲22角も△同銀▲同歩成△67馬で、後手良しだ。▲89桂取りになっているが、▲78金は△同馬▲同飛△22飛とできるので受けづらい。

第2図

昭和、平成の頃はお互い飛車先を伸ばして▲78金△32金のあとすぐに▲24歩と飛車先交換していた。

飛車先交換を保留して▲38銀と上がるのは、①▲37桂と跳ねたあと▲29飛と引きたい。②△34歩や△74歩のとき▲24歩と横歩を狙えるようにしている。などのメリットがある。

第3図

▲96歩はメジャーな一手だ。すぐ▲46歩とすると△86歩▲同歩△同飛が、△87歩と△46飛の両狙いになる。▲96歩とついておけば△86歩▲同歩△同飛に▲47銀と受けることができる。△87歩に▲97角とかわすスペースを作っている。

▲96歩では▲58玉も有力な手。これはまた違う将棋になる。

▲96歩に対して後手は△94歩、△14歩、△34歩、△52玉、など分岐する。ここから分岐のオンパレードになる。

今回は△52玉の将棋を見ていきたい。

△52玉は中住まいだが、△64歩ー△63銀の腰掛け銀には不向きの格好だ

そこで先手は△52玉をみて▲46歩から腰掛け銀を目指す。

第4図

第4図で▲46歩とするのか、▲16歩△14歩を入れてから▲46歩とするかで変化が大きく変わる。まずは単に▲46歩を調べてみて端の交換の影響を見てみたい。

▲46歩を見て△94歩をつく。▲96歩に△94歩と受けると先手は▲46歩から腰掛け銀を目指さないので、後手も▲46歩を見て△94歩と端を受けた意味がある。▲46歩に△94歩としない手もあって、ここらへんは一手一手分岐する。

△94歩に▲24歩と飛車先交換する手もある。△23歩に▲26飛もあるが横ききが止まっているので、▲46歩との関連があまりない。

▲28飛に△86歩▲同歩△同飛で、△46飛を見せる。

自然に▲47銀と受けると△87歩と打てる。▲97角△82飛となって、53の地点を△52玉が守っている。

△82飛に▲86歩としたいが、△95歩がある。これが△94歩とついた効果だ。△93歩型なら▲86歩△94歩▲87金で無理筋になるところだった。

よって▲86歩と打てず▲75角になるが、△34歩としてどうか。△87歩が垂れているのが気になるが、先手もすぐに攻められることはない。△87歩をめぐる攻防になる。

▲47銀に代えて▲76歩とあえて歩を差し出す手もある。△76同飛と取らせて▲82歩△93桂▲95歩と反撃する。以下△同歩や△85桂などで、難しい将棋が続く。

△94歩に▲24歩とつくと、△86歩▲同歩△同飛のとき対応が求められる。

△94歩▲47銀△74歩は前例の多い進行だ。この序盤の一番の見どころは、先手は安全に歩交換ができて△23歩を打たせれば満足。後手は△23歩を保留して△86歩から動ければ満足。2筋をめぐる駆け引きが行われる。

そのため先手はどのタイミングで▲24歩とするか、が重要になる。この点に注意して将棋を見るとより楽しめるだろう。

△74歩を見たら▲24歩とつくのは、2筋の歩交換を保留した理由にかなっているが、成立するだろうか。

後手も▲24同飛に△34歩と△23歩を保留するのは▲28飛で△23歩と打たざるを得なくなる。これは先手が満足になる。よって後手の△23歩は仕方ない。

▲74飛と一歩得したいが、▲46歩ー▲47銀の格好と相性が悪い。▲46歩が邪魔になって飛車がスムーズに帰れないし、▲47銀が浮いていて、▲25飛と戻ったとき△14角のキズがある。

△82飛では△84飛もあるが、▲76歩と▲87歩を保留される可能性がある。以下△24飛には▲39金△27飛成▲55角が厳しい。

△82飛に▲76歩なら△73銀と飛車にプレッシャーをかけやすい。

最終図△24歩として▲25飛を消した局面はこれからの将棋だ。しかし、先手の飛車が中途半端で苦労しそうだ。

▲74飛と取らずに▲28飛も考えられる。しかし、▲76歩とついてないので△75歩とできる。これで先手の角が使いづらくなる。

▲68銀に△34歩も細心の一手。すぐ△86歩▲同歩△同飛▲87歩△84飛とすると▲66歩△34歩▲67銀と組まれる。先に△34歩で▲66歩を消している。

これも一局ながら先手の利があるのか分からない。選ぶかどうかは好みの分かれるところ。

△75歩と位を取られるのを嫌がる場合は、▲76歩とつく。

対して△86歩と横歩を目標にするのは▲同歩△同飛▲87歩で飛車の行く場所が難しい。△84飛は▲66角が当たるし、△82飛は▲24歩から安全に飛車先がきれる。△76飛は▲77金△75飛▲86金で飛車を目標にされる。

後手は△23歩を保留して△86歩と動きたい、というテーマだったが、これは即ち△76飛から暴れたい、ということを意味する。

形を万全にして良いタイミングで△86歩とつきたい。そこで後手は△34歩とつく。

対して先手の分岐点になる。

▲24歩には△同歩▲同飛に△73桂と当然△23歩を保留してくる。▲28飛と引くと、△86歩▲同歩△同飛となって、後手は△23歩を保留して△86歩と動きたい、という課題をクリアする。

最終図を再掲。

△86同飛の局面は難しいが、先手はこの図を避ける傾向にある。

そこで先手に2つのアイディアがある。

第5図

一つは▲24歩の前に▲77角と上がる。

第6図

もう一つは▲24歩から飛車先交換をした後に、▲28飛と引かずに▲77角と上がる。▲77角はどちらも△86歩からの攻めを警戒する意味だ。

第5図と第6図のどちらも難解なテーマ図になる。

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