前回は▲77角と上がる意味について検討した。

▲24歩の前に▲77角と上がる手もあるが、今回は▲24歩とついてから▲77角と上がる変化を検討してみたい。

第6図

▲77角には△同角成とする。対して▲同金と▲同桂のどちらも考えられるが、▲16歩△14歩が入っていれば▲同金、入っていなければ▲同桂と使い分けることができる。後の展開を見れば、どう影響するのかが分かる。

▲同桂には△22銀と受ける。持ち駒に歩を残しておいて、のちに△75歩を狙っている。しかし先手からも▲75歩がある。これにはどう対応するか。

▲75歩に△84飛と受ける。△86歩▲同歩△同飛▲87歩△84飛と突っ張りたいが、△86歩に手抜かれて、▲74歩△87歩成▲73歩成△同銀▲83歩△同飛▲65角で先手良しになる。

△84飛の受けに▲56角とあくまでも桂頭を狙う。対して△23銀が大切な一手。△75歩▲74歩に△23銀だと▲25飛で▲75飛と回る余地がある。▲56角のおかげで△14角がない。△75歩の前に△23銀とすれば、今度▲25飛には△24歩と追うことができる。

▲74歩で先手の桂得が確定するが、形勢は難しい。

▲96歩△94歩ー▲68玉とした変化のテーマ図の一つ

話を脱線して、類型にこんなテーマ図がある。

△33角以下▲同角成△同桂▲88銀は似た対応だ。▲88銀に後手は△35歩とつく。

上の図では▲75歩に△86歩は無理筋だったが、この場合は△35歩に▲24歩とつける。同じように△36歩以下△45角とすると▲26飛と浮いて角が負担になる。

▲26飛に△23角には▲34歩△同角▲21飛成で飛車が成れる。このとき▲58玉型だと△66桂があるが、▲68玉型だと△66桂がないのが重要なポイントだ。

▲26飛に△23金には▲46銀で角をいじめる。

▲26飛に△25歩には▲32とから攻め合って、△26歩▲31とに△66桂が怖いが▲79金と引けば余せる。

▲26飛に代えて▲29飛としたいが、△23角▲34歩の変化のとき△45桂▲46銀△37桂打で先手が悪くなる。

よって後手はやむなく△24同歩になる。▲同飛に△23歩は▲26飛で先手不満ない。後手も強く△36歩と取り込んで、竜を作らせるが桂得になる。最終図で後手がどう手を作っていくかという将棋になる。

この変化は▲68玉型だからこそできた変化で、▲58玉型だと△66桂と打つ手があって失敗する。形によって▲24歩(△86歩)が入るかを見極める必要がある。

本線に戻って、▲74歩打った図だ。

△24歩と守る。後手は桂損だが、△76歩のキズがある、先手は角を手放している、など先手にもマイナスがあるのでバランスが取れている。

通常は「駒得したらゆっくりした戦いに」が原則だがこの場合はゆっくりした展開にすると後手の指したい手が多い。そこで先手は▲15桂から攻め続ける。

この▲15桂と打てるかどうか、が▲77角△同角成▲同桂から▲75歩が成立するかどうかと同じ意味になる。▲16歩△14歩の交換があればその局面で先手に手がなく、後手良しになる。

数学で問題を解くとき、同値関係を見つけることや同値変形をすることが解決のいとぐちになることがあるが、将棋でもこうした関係を見つけると研究しやすい。

▲15桂に△14銀と逃げるか△12銀と逃げるかだが、△14銀だと▲24飛が▲21飛成の先手になる。

以下飛車交換になって、△24飛は両取りだが、両取り逃げるべからず▲65桂△82銀▲74歩と攻め合う。▲65桂に△62銀は▲74歩以下王手で銀が取れる。△82銀はおとりにして手を稼ぐ意味だ。

△34飛に▲73歩成でと金ができる。△71銀には▲72歩がきくし、△92角▲74歩を入れて△71銀としても▲63と△同玉▲41飛で攻めが続く。

最終図▲66歩とした局面は先手良し。

▲74歩に△29飛成と攻め合いを目指すのは、▲38銀△19竜に▲23桂成とできる。

最終図▲31飛と打ち込んだ図は先手良し。

△14銀では▲24飛から▲34飛で攻めが続いた。△12銀と引く方が勝る。これなら▲24飛が先手にならない。

▲24飛に△23歩だと同じような変化になるが、△51角がいい受けだ。これなら▲34飛△同飛▲同角△24飛として、▲65桂に△34飛と取れる。△51角が73の地点にきいているのが大きい。

そこで先手は▲65桂△62銀を入れてから▲24飛と走る。

▲15桂の前に▲65桂とすると、△64銀▲15桂に△14銀を選ぶことができる。▲15桂△12銀に▲65桂なら今度△64銀には▲24飛△23歩▲34飛△33歩▲35飛で先手指せる。以下△44角に▲25飛とできるのが違いだ。

局面は一気に激しくなったが、形勢は難しい。まだまだ変化が続く。

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