目次

第1図

▲96歩-△52玉の相掛かりの先手は、2筋を無難にきれるか、がテーマだった。

一方後手は2筋を安全にきらせたくない。お互いの主張がぶつかる。

2筋をめぐる駆け引きはこちらの記事も併せて見ていただくと理解が深まる。

第1図は1筋の交換が入っている場合もある。先手は△14角のラインが消えているのが大きいが、後手は終盤3筋2筋に逃げだしたとき玉が広くなっている。

1筋の交換があるだけで、できる変化、できない変化が出てくる。

このタイミングで飛車先を交換しようとすると、後手は2筋を保留することができない

その代わり△86歩▲同歩△同飛で、△87歩と△46飛を狙うことができる。

△52玉が53の地点を守っているからできる変化だ。

△86同飛には①▲47銀 ②▲76歩に分岐する。今回は①▲47銀の変化を見ていきたい。

△87歩▲97角△82飛として次に△95歩を狙う。

△82飛に▲86歩は、△95歩▲87金△96歩▲88角△83銀で後手まずまずだ。

よって▲75角から角を転換する。

▲75角に△34歩とすると、▲56歩△74歩▲57角の変化が生じる。これは一局だ。

第2図

▲75角に△74歩▲66角△34歩とすればこの変化が消えるのでは?と思うが、一足先に▲66角と引けているので、▲76歩を優先することができる。

最終図▲77桂に△33銀と形を整えると、▲85歩と押さえることができる。以下△73桂▲75歩△85桂▲65桂のようなイメージだ。

しかし▲77桂に△89角が怖い。▲85歩には△78角成▲同飛△67金がある。△89角には▲56銀△78角成▲同飛△88金▲28飛△79金▲85歩△89金▲45歩と進んで難しいが、先手としては選びきれないだろう。

▲77桂と跳ねる前に▲56銀を入れておけば、△67金がないので△89角に▲85歩で問題ない。

しかし▲56銀と上がると後手ももう一手、手を入れることができる。

▲56銀を保留するメリットは早く▲85歩と打てることだが、△89角が怖い。

△74歩▲66角△34歩でも結局合流しそうだ。

微妙な綾だ。

△34歩に自ら▲66角と引くと、後手は△74歩を保留して駒組できる。

後手が具体的に生かすことができるかは不明だが、手の可能性が広がっているので先手は選べなさそうだ。

第3図

微妙な綾はあったが第3図はなりそうな図で、この図の評価はとても重要だ。

先手はタイミングを見て、▲85歩から▲87金と回収する狙いがある。

第4図

△73桂は▲85歩を消して、強気な手だ。

しかし▲75歩が見えている。△84飛に▲86歩で、△同飛は▲74歩がある。

▲86歩△75歩▲87金で、△87歩の回収には成功したが、代償として桂頭がキズになっている。

△44銀に▲78銀として、次に▲67銀上とできれば形が良い。

しかし▲78銀の瞬間、△76歩がくる。▲同金には△79角がある。

最終図はわちゃわちゃしているが、バランスが取れている局面。

▲86歩では▲83歩も考えられる。△同飛は▲74歩。△同銀も▲82角がある。

▲83歩に△75歩だと▲82歩成△同飛▲74歩が狙いになる。

▲83歩に△71金と辛抱することになりそう。一見辛そうだが、攻めを受け止めることができれば後手に楽しみがある。

△71金に▲82歩成△同金▲74歩△同飛▲65桂には△81金の味がいい。

最終図△83銀として、▲82歩成△同金▲71角を消した図は後手も戦える。

先手は▲75歩△同飛▲86角を狙いたいが、▲75歩には△86角がある。

第5図

△73桂は▲85歩を防いでいるが、▲75歩があった。

一回△42玉と待つ手はどうか。

▲85歩に対して△73桂と跳ねる。▲87金と取られるが、△85桂で桂交換できる。

△85桂に▲同桂は△86歩が好手だ。▲同金は△77角がある。

よって△85桂に▲86歩になるが、後手を引くので先手は悔しい。

最終手では△81飛ー△62金と駒組する手もあるが、△75歩は積極的な手だ。▲同歩は△76歩で、▲同金は△64桂。▲87金は△77角がある。

▲85歩と打たれてから△73桂と跳ねれば対応できそうだ。この変化が後手大丈夫なら、▲85歩を警戒して△73桂と跳ねる必要がない。

先手も▲85歩が打ちづらいとなると、方針が難しい。

第6図

△42玉の局面で、もし1筋の交換が入っていれば▲15歩△同歩▲13歩の攻めができる。

次に▲15香を狙っている。△13同香には▲14歩△同香▲36角がある。

このタイミングだと後手は受けてくれないだろう。

この変化になれば、1筋の交換は先手の得になる。

しかしこの局面に至るまでで、先手が1筋の交換を入れるタイミングが難しい

第7図

▲16歩△14歩の交換を入れて▲46歩とすると、今度△74歩とつきやすくなる。

▲24歩△同歩▲同飛に△23歩を保留できる。△86歩▲同歩△同飛と別の手段を選ぶことができる。

端の交換一つで、全然違う変化になるのが序盤の難しさだ。

もし仮に▲16歩△14歩の交換が入ったとしたら、第4図の△73桂の変化は重要になりそうだ。

端の交換で後手玉が広くなっている意味がある。

第8図

△42玉に▲65銀も考えられる。

△73銀と受ければ▲75歩△同歩▲74歩で攻めが続く。

▲65銀には△86飛が好手。▲74銀に△76飛を用意している。

△86飛に▲88歩は△同歩成▲同銀△73桂で駒組になる。スムーズに駒組できるので後手不満なさそうだ。

▲85歩とふたをされるのは気になるが、△95歩▲同歩△同香で攻めが続く。▲95同香には△96飛がある。

最終図は後手指せる。

第9図

▲16歩は後手の手を見る意味がある。

△14歩と受けたら▲15歩△同歩▲13歩。

▲16歩に今度△73桂と跳ねるのは危険で、▲75歩△84飛▲83歩△71金▲82歩成△同金に、▲74歩△同飛▲65桂や▲71角の変化が生まれる。

▲16歩△52金に▲65銀と出れば、△73銀には▲75歩△同歩▲74歩で先手良し。

▲65銀に今度△86飛と浮く手には、▲85歩△95歩▲82角で先手良しになる。▲71角成とできるのが大きい。

▲65銀には△44銀と繰り出す手が予想される。△52金と締まった手も大きく、先手も怖いところだろう。

まとめ


▲24歩と交換するタイミングは先手の課題だ。

△94歩に▲24歩と交換するのはアイディアの一つ。

後手は△87歩から積極的に動く。

▲75角に△74歩▲66角△34歩とするか、単に△34歩とするかは微妙な綾がある。

以下進んで第3図は重要な局面だ。

△42玉と寄った変化のときは、1筋の交換があると▲15歩△同歩▲13歩の攻め筋がある。しかし第3図に至るまでで1筋の交換を入れるタイミングは難しい。

△42玉に▲16歩の打診は、相手の手を見る意味がある。△73桂は▲75歩、△52金は▲65銀とする作戦だ。

いろいろな変化を見てきたが、先手も十分考えられる変化だ。

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